どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
文化祭でへとへとです(苦笑)焼き鳥を一人で500本も焼くという苦行をしてきました…目の前に焼き鳥があるのに食べられないのは案外苦痛です(´・_・`)
さて、そんな体力的にもきついなか紹介するのは、中村航さんの「あなたがここにいて欲しい」です!
中村航さんは僕が大好きな作家さんの一人で2002年に「リレキショ」で文藝賞を受賞しデビュー、その後は「夏休み」、「ぐるぐるまわるすべり台」で芥川賞候補、また前述の「ぐるぐるまわるすべり台」で野間文芸新人賞を受賞。さらに「100回泣くこと」、「デヒクロくんの恋と魔法」は映画化されるなど活躍をされている作家さんです。
芥川賞候補に名前が挙がったことのある中村航さんですが、作風はどちらかといえば優しく角のない柔らかい筆致で、純文学に中村航作品が分類されることはほとんどないと思います。
この作品は中編一つと短編連作一つ、さらに短編という分類としては短編集の形式をとっています。では、それぞれの作品について紹介していきます。
まずは表題作の「あなたがここにいて欲しい」ですが、こちらは芥川賞候補にもなった「夏休み」の外伝的なエピソードが描かれます。「夏休み」が未読でも充分に楽しめる作品となっているので、これを読んだ後に「夏休み」を読んでみるのもいいかもしれません。ちなみに僕は「夏休み」から読みました。
ざっくりとしたあらすじ。
同じ研究室で働く舞子さんに恋をする吉田君は、一年間連絡が取れずにいる古い友達の又野君に会いたいと願っていた。又野君との思い出を回想しながら、舞子さんに想いを寄せる日々、そんなある日突然又野君から電話がかかってくる…とこんな感じです。
吉田君はカメラを分解するのが好きなちょっとおかしな青年、又野君は元不良の憎めない奴、舞子さんは丸い笑顔が素敵な女性。登場人物全員が、何かしら読者を惹きつける魅力を持っていて、読んでいて飽きのこない素晴らしいお話となっています。
また、登場人物同士の些細なやりとりもユーモアに富んでいて、思わず微笑みながら読んでしまいます。
次は五つの短編連作となっている「男子五編」です。
このお話は子供時代から現在に至るまでの中村航さんの過去をまとめたようなものとなっていて、バンドをしていたときや、普通に働いていた時のこと、小説家になろうと思ったことなどが描かれます。中村航さん好きの人にはもちろん、中村航さんの世代の人はとても共感できると思います。
最後は短編「ハミングライフ」です。
このお話は僕が今年読んだ80冊ほどの小説の中で一番面白い小説です!
輸入雑貨店で働くリアルに生きる女藍は、輸入雑貨店の休憩の度に公園で猫に餌をあげていた。そんなある日、藍は木のうろにかわいい猫の絵をみつける。
その日から、藍はうろの中に絵を置いていく名前も顔も知らない青年と短い手紙で繋がっていく、というお話です。
このお話の最大の特徴は短編ながら、お話な中の時間の進みが穏やかなところです。
うろを通して行われる手紙交換は一日、一日、短い内容でゆっくりと行われてほのぼのとした気持ちで二人のやりとりを追うことができます。また、合間に挟まれる中村航さんのイラストもかわいいです。
中村航さんのお話はどれも読みやすく、暖かい気持ちになれるのでオススメです! また、これを読んだ後にはぜひ「夏休み」も読んでみてください!
それではこの辺で(≧(エ)≦。)
明日も文化祭頑張ります!