どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
イマイチ調子が上がりません(。-(ェ)-。 )
明日模試なのに…出るかなーA判定…

そんな模試前なのに体調がイマイチに加えて勉強もすっぽかして紹介するのは窪美澄さんの「ふがいない僕は空を見た」です!
窪美澄さんは2009年に女による女のためのR-18文学賞を本作収録の「ミクマリ」で受賞しデビュー、ミクマリに短編四つを加えて「ふがいない僕は空を見た」を刊行し、2010年本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞2位、山本周五郎賞を受賞、さらに二作目の「晴天の迷いクジラ」で山田風太郎賞を受賞するなど、近年稀に見る超大型新人として輝かしい経歴を持つ作家さんです。

あと、よく覚えていないのですが、確か去年か一昨年の文庫ランキングで1位を獲得していました。

窪美澄さんは僕が大好きな作家さんの一人で、特にこの作品は家で最初の一編を読んで、今までにないほど衝撃を受け、次の日、先生に怒られながらも授業中に読了した貴重な一冊ですw いやー、あの時は本当に手放せなかったなー…

この作品には前述のミクマリの他、四つの短編が収録された連作短編集となっています。各話はミクマリの主人公である斎藤くんを中心に登場人物が見事に絡み合う傑作となっています。去年読んだ小説の中では一番面白かったです。

各話の簡単なあらすじ。

まずはミクマリ、高校一年生の斎藤くんはたまたま知り合った年上の主婦と週に何度か性交をしている。その場では、その主婦が書いた台本通りに性交しなければならない。斎藤くんは始めは性欲だけで主婦の相手をしていたが、次第に彼女に惹かれて…

次のは世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸、こちらはミクマリに出てきた主婦の視点から斎藤くんとの関係を描いています。
あらすじはミクマリとほぼ同じですが、こちらでは主婦を縛る夫と姑が描かれます。

次のは2035年のオーガズム。
斎藤くんに恋をする七菜、彼女はあくつちゃんから斎藤くんが主婦と性交しているとの情報を手に入れる。
斎藤くんとうまくいかない七菜、更年期障害になった母、変な宗教が原因で引きこもりになった兄、様々なものを抱えながら成長していく。

次はセイタカアワダチソウの空。
認知症の祖母と暮らす斎藤くんと同級生の福田は、崩壊した家庭でアルバイトをしながら生計を立てていた。
しかし、そんなある日福田の母が福田がアルバイトで貯めたお金を持って雲隠れしてしまう…

最後は花粉・受粉です。
こちらは今までの四編の総まとめ的ニュアンスを持つ短編で、斎藤くんの母の視点から描かれます。

以上が各話のあらすじです。

この作品の特徴はもちろん窪美澄さんの卓越した文章力なのですが、実は裏要素として注目していただきたいのが、随所に挿入されるサブカル的な文言の数々です。

アニメ、同人誌、コミケ、コスプレ、掲示板…窪美澄さんと同年代の人ならまずわからないような要素が最初の3話では特に顕著に見られます。

普通に読めば読み流してしまう小説を面白くするだけの要素のように見えるこれらも、作品を読んだ後で思い返してみると、現代社会の逃げ場=二次元みたいな図式が見えるような気がして、大分純文学よりの一般文芸にもそういった認識がなされる時代がきたのかと思うと、この作品は後10年したらそういった部分でパイオニア的役割を担うような気がします。

ある意味近代(戦後から20世紀末まで)への無言の叛逆かもしれません。
特にライトノベル、漫画から太宰治や芥川龍之介やドストエフスキーまでの純文学を読むものとしては裏テーマとして強く響くものがありました。

さて、上では色々と書きましたが、この作品は現代社会でありそうな人間関係をこれまで誰もやらなかった新たな切り口で切り開いた名作です。
どこか当たり前、でも心を抉るような新鮮さ、そんな一冊を求めている方は是非ご一読を。

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 
明日は模試を頑張ってきます!