どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
最近ギターの弦がよく切れます(−_−;)アーニーボールのレギュラー使ってるんですけど、1、2弦がすぐに切れます。お金ないんだから少しは持ってくれよ(苦笑)
さて、そんな気分の中紹介するのは中村文則さんの「何もかも憂鬱な夜に」です!
中村文則さんは「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー、その後「遮光」で野間文芸新人賞、「土の中の子供」で芥川賞、代表作の「掏摸〈スリ〉」で大江健三郎賞を受賞し英訳版が大ヒットしてウォール・ストリート・ジャーナル紙で2012年のベスト10小説にも選ばれました。
中村文則さんといえば海外で人気のある作家と聞かれたら、村上春樹さん、吉本ばななさんの次に名前が上がるほど有名な純文学作家で、有名な文学賞を幾つも受賞したエリート作家です。
また、純文学作家としてはメディア露出も多くこの前は朝井リョウさんや西加奈子さんと共に王様のブランチにも出演されていました。
作品の発表は年に一作程度と特別筆が早い作家さんではありませんが、流行に流されない普遍的要素が強いので、過去の作品や様々な年代の人が読んでも楽しめるように作られています。
中村文則さんは現代純文学の中で田中慎弥さんと並んで数少ない素晴らしい表現力と文章力を持っていて、正直この二人の作品さえあれば今の時代に他の純文学作家はいらないのではないかと思う程です。まあ、あくまで個人的な感想ですが(苦笑)
ざっくりとしたあらすじ。
刑務官として働く主人公の僕は夫婦を刺殺した未決囚の山井の担当をしていた。
一週間後に迫る控訴期限が切れれば死刑は確定するが、山井は控訴をしようとはしなかった。
山井の控訴期限が迫る中、僕は山井や過去の記憶に翻弄されながら、山井と、そして自分と向き合っていく…とこんな感じです。
文庫のあらすじはいかにもミステリっぽいですが、がっつり純文学です。
この小説でとにかく注目してもらいたいのが、真下というかつての僕の親友で自殺してしまった人が書いた日記と、最後の場面で出てくる山井の手紙です。
この真下のノートが思春期の少年が感じること、考えること、劣等感、焦燥、苛立ち、憂鬱を全て詰め込んでごった煮にした混沌極まるものなのですが、とにかく胸を打つ。これがどうしようもなく痛いです。
この日記は自分そのものだと錯覚しそうになるのに、こんなのは自分じゃないという矛盾もあり、下の奴を見て覚える優越感と、傷を舐めてくる嫌味たらしい同情と、とにかく思春期を引いては青春を経験したひとなら誰でも感じたことのある全てが詰め込まれていて、ある種の畏敬を抱かせます。
山井の手紙のほうはネタバレになるのであまり多くは語れませんが、最後の一文に山井の全てが詰まっていて、それが物語の箱を開けるためのある種鍵のようになっています。
この小説は中村文則さんの作品の中ではあまり有名ではないかもしれませんが、自分が忘れかけていたことを思いださせてくれるので、自分を見失ないかけている人にオススメです。また、解説はピースの又吉が書いているので、そちらのほうに興味がある方もぜひご一読を。
それではこの辺で(≧(エ)≦。)
明日は雨か…