どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
今日は久しぶりに少し家から遠い古本屋に行ったんですけど、お金がない時に限って欲しい本が置いてありました(。-(ェ)-。 )マジでタイミング悪い…

そんな憂鬱気分の中紹介するのは青柳碧人さんの「ブタカン~池谷美咲の演劇部日誌~」です!
青柳碧人さんは2009年に「浜村渚の計算ノート」で講談社Birth小説部門を受賞しデビュー、浜村渚の計算ノートシリーズは累計50万部を売り上げ、コミカライズもされるなど主にライトミステリのジャンルで活躍されている作家さんです。

ちなみに、講談社Birthは29歳以下の応募者を対象にした小説賞で、受賞者は青柳碧人さんの他にタレントや女優としても活躍されているうえむらちかさんがいます。

青柳碧人さんの作品は浜村渚の計算ノートだけは読んだことがあったのですが、1巻の作中の割り算の描写で「0で割ったらいけません!」みたいなのがあって(ネタバレになるので詳しくは触れませんが)ガッツリ文系の僕は「はあ?」となって理系ミステリは、トコトン肌に合わないことを実感しました(苦笑)

ざっくりとしたあらすじ。
都立駒川台高校に通う池谷美咲は父親が開いたギョーザ専門店の事業失敗のおかげで、家計のため日々アルバイトでお金を稼ぐ日々を送っていた。
このまま青春が終わるのか、そう思った高校二年生の6月、なんと叔父が宝くじを当て、借金の肩代わりをしてくれたおかげで美咲はアルバイトから解放され、人並みの青春を送れる環境を手に入る。
部活を始めようと親友のナナコに話を持ちかけると、彼女は自身が所属する演劇部の舞台監督をやらないかと美咲に勧め…と、こんな感じです!

ジャンルは青春学園部活もの(文化系)、ミステリ要素はありますが、断じて部活ミステリなどではありませんw なので米澤穂信さんの古典部シリーズや、初野晴さんのハルチカシリーズような作品に期待している人は注意が必要です。

どうして新潮文庫nexはミステリではないのにやたらミステリミステリと帯で謳うのでしょうか? MW文庫のビブリアの後追いでしょうか? 別にキャラノベ、ボーダーライン、中間小説のジャンルでそればっかりやっても中身がミステリしてなくちゃ別ものだって(苦笑)

お話としては、とある病気で入院することになった親友ナナコな代わりに美咲が演劇部の舞台監督略してブタカンをやることになり、奇人変人の集まりである演劇部に振り回されながらも文化祭で最高の劇を披露するために奮闘するという感じでしょうか? 
こういったタイプの作品は熱血に走りがちなんですけど、主人公が女性故に適度にメリハリがあって非常に親しみやすかったです。

ただ、奇人変人の集まりという割りにはあまり奇人変人感が足りないような…最初に紹介される親友ナナコの武勇伝がどうもハードルが高くて、それを見てしまうと他の演劇部のメンバーがどうしても普通に思えてしまうんですよね。鼻血をよくだすまい先輩や、夜の学校に侵入してすき焼きを食べる早乙女先輩、やたら色んなことに詳しくトミー、大工道具の扱いが非常にうまいりかぽん…各キャラは個性的ではあるんですけど、どうも弱い。
後、女性主人公だから、今後も続きが出るから、そういった理由からか早乙女先輩以外の男子メンバーの紹介は非常にあっさりしていてあれ?そんな奴いたっけ? 状態に陥ることもありました。

また前述したミステリ要素は作者vs読者の謎解き対決が出来るタイプではないので「あー、なるほどね」くらいで読む感じがちょうどいいと思います。

少し批判的な意見を上に書きましたが内容は総じてレベルが高く、同じくシリーズものして始まった河野裕さんの「いなくなれ、群青」より続きが楽しみな作品でした。
演劇部という題材にされることはありながらも、その裏方にスポットライトを当てた作品は珍しく思いました。初めて見るような演劇用語も解説を読めばすんなり理解できるよいになっていて、そこは好印象でした。

青春部活ものが読みたい方には是非オススメです。また、アナウンスはされていませんが、読んだ限りでは回収されていない伏線や続きを示唆する文章があったのでシリーズものとなるようです。今後新潮文庫nexの看板作品になるかもしれないので、気になる方は是非ご一読を。

さて、毎月新潮文庫nexの新刊を紹介してきましたが、来月はなんと読みたい小説がないという悲劇が起こりました(´Д` )どうして杉江松恋さんの小説しか出ないんだよ、もう弾薬切れかよ!
ということで、月1の新潮文庫nex紹介企画は既刊の中から選びたいと思います。今のところは「天久鷹央の推理カルテ」か、「スキュラ&カリュブディス」を紹介するつもりです。再来月の新刊は秋田貞信さんの「ひとつ火の粉の雪の中」を紹介します!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 
明日は時間が取れそうなので久しぶりにライトノベルの調査企画やります!