3月29日 東京某所

「あいつは生きているのか?」
夏鎖芽羽は不安な気持ちでLINEを見た。そこには綱垣とのトーク履歴が表示されている。
そこには三日前に夏鎖が綱垣に送ったメッセージがある。
「あれから一週間経つけど設定は進んでいるか?」という趣旨のものだ。しかし、そのメッセージに既読がつかないことすでに三日も経つ。
「うーん……」
夏鎖はしばらく悩んでからメッセージを送る。
『生きてるか?』
すると、ほとんど間を置かずに返事がきた。
『寝てました』
「はあ?」
夏鎖は思わず笑ってしまった。寝ていた? 三日もか? お前はどこの眠り姫だ? そうツッコミたくなった。
『三日もか?w』
そう返すと、またすぐに返事が返ってくる。
『違います。最近忙しいんです』
「……本当かよ?」
夏鎖は懐疑的だった。綱垣は要領がとにかく悪い。他人が一時間でできることもあいつに任せると、三時間かかることもざらだ。その代表例が学校で綱垣と共に取り組んでいた図書館だよりだ。あいつはただ原案を作るのに二週間もかかっていた。夏鎖がその原案を元にたった三日で短編小説を書き上げていたにもかかわらずだ。
しかし、今それを気にしていても仕方ない。
『で、設定はどうよ?』
本題に入るが、返ってきたのは相変わらず衝撃的な答えだった。
『それなんですけど、設定根本的から変えています』
「はあ?」
思わず口からため息とも呆れとも言えないものが出た。根本的に設定を変える?先週の時点で半分とは言わないまでも、三割は出来ていた設定をか? 
『もう少しお待ちください』
いや、お前のお待ちくださいはあてにならねーよ。夏鎖は思わず天を見上げた。
SUNder BIRDは相変わらずというか、まだまだ飛び立ちそうにない。

ーto be continued