どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
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さて、今回紹介するのは似鳥鶏さんの「理由あって冬に出る」です!
芸術棟と呼ばれる文化系の部活が集まる場所。美術部に所属する葉山はある日、芸術棟にフルートを吹く幽霊がいるという噂を聞く。怖くて送別会に向けた練習を行えないという吹奏楽部の要望の元、葉山は夜の芸術棟へ。まさか幽霊などいないと思っていた葉山だが予想に反して幽霊が現れる。葉山は伊神と共ににわか高校生探偵団として事件の解決に乗り出すが…
似鳥鶏さんのデビュー作。前々からずっと読もう読もうと思っていて、気づいたら高校生が終わり、大学生が終わり社会人になってしまいました…ですが、社会人になった今、こうして葉山たちの等身大の学園ミステリを読むことができてある意味良かったのかもしれません。
⚠︎ネタバレには配慮しますが、ミステリなので未読の方はお気をつけください
物語は意味深なプロローグから始まります。思えばこのプロローグがしっかり伏線となり最後に繋がるのは読んでいてとても気持ちよかったです。
序盤は葉山による某市立高校の実状と芸術棟で騒ぎになっている幽霊について語られます。10年前の作品なので、多少今と違うと感じる部分もありましたが「高校生活」を生で感じられる描写は好きでした。
そして夜の芸術棟で本当に幽霊を見てしまったことで伊神と葉山の2人を中心に「にわか高校生探偵団」の活動が始まります。最初は噂話程度だった夜の芸術棟の謎がどんどん大きくなり、次第に手に負えなくなる様子には驚きました。しかしそうした謎も伊神を中心に丁寧に謎が解けていく過程が描かれます。ミステリの重要な要素の一つである「なぜ?」と「どんな方法で?」がきちんと説明されていて読んでいてとても楽しかったです。また冒頭や作中の地図で登場人物がどのように動いているのか想像できるのもちょっとした探偵気分が味わえ楽しかったです。
立花先輩の部分から終盤にかけてはまるで予想のつかない展開で、特にラストは驚きましたが丁寧な伏線回収と謎解きを最後まで楽しませていただきました。シリーズで続刊もあるので、余裕があれば続きもまた読んでいきます。
それではこの辺で(≧(エ)≦。)
ISBN 978-4-488-47301-3