その日はバイト先の先輩後輩とタラタラオールしていた。

都内某繁華街の某午前5時までやってる居酒屋のチェーン。僕たちの他に何グループかいる客はみんな酔客で、半分は寝ていて半分は酔ってわけのわからないことを喚いていた。

隣には夢の国の住人になった後輩の男の子。目の前には先輩の女子と後輩の女子と同学年の男子。寝てる後輩はほったらかしてバイト先にくるクソ客の悪口とバイト先の人間関係について話していた。先輩は美しい指先にマルボロを挟んで、時々ハイボールの入ったジョッキを傾けている。後輩の女の子は無垢な笑顔で甘い甘いカシオレを飲んでいた。同学年の男は梅酒をロックを右手に。僕の手にあったのは確かグレープフルーツサワーだったと思う。その日10杯目近いグラスだったけれど、酔いはそれほど回ってはいなかった。

同学年の男子が後輩の女の子に時々本能をギラつかせる視線を投げるたびに、僕は意味のない焦燥感に襲われて目の前にいるタバコを吸う先輩を見た。なぜこんなにかわいい女の子がマルボロなんて吸うのだろう。

きっとこの時間は大学生三年生の夏を浪費するものなのに、僕はアルコールで乾いた喉にアルコールを注いだ。タバコの煙と同学年の男子と後輩の女の子の楽しげな会話。そして後輩の男の子のかすかないびきに身を任せていた。

電車が動き出す頃までそうして飲んで、僕たちは立ち上がった。駅に先輩と後輩の女の子を見送りに行き、同学年の男子と一緒に後輩の男の子を引きずりながらチェーンのラーメン屋に入った。オールをするとなぜか朝方にラーメンが食べたくなるのだ。日本語の怪しい外国人のアルバイトが作る美味しくも不味くもないラーメンを啜る。後輩はまだ寝ている。ラーメンを口に運ぶたびに一言ずつ交わす会話はなんだったのか覚えていない。でもきっと大したことではない。

同学年の男子と別れて後輩を肩に担いで始発から3本目の電車に乗る。乗っているのは同じく夜明けまで飲んでいた大学生くらいの金髪が何人かと、顔を見せずに身を寄せ合うカップル。僕はラーメン屋を出た近くの自動販売機で買ったポカリを飲んで電車の窓から朝焼けを見た。

後輩が降りる駅より先に僕の降りる駅がきて、後輩を起こしてからホームた降りた。この後知ったことだが、後輩はこの後二度寝して始発駅と終点を3往復したらしい。本当にバカだ。

最寄駅近くのラブホの前にしゃがみこみスキニージーンズの隙間から尻を覗かせる女の子がいて、スマホをひたすらいじっていた。何をしているのだろうか。こんな朝に。

サラリーマンとすれ違う。コンドームが並ぶ自動販売機は蛍光灯が切れてチカチカする。そんな景色を太陽の光が支配していく中で、僕は家に帰った。アルコールとラーメンとポカリが混ざった胃を重たく感じながら、今日はきっと昼頃まで寝るのだろうと他人事のように思っていた。