どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのはこまつれいさんの「101メートル離れた恋」です!
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ストーリー A
内容は、札幌近郊に住む普通の男子高校生浅田ユヅキはある日目覚めると女の子のオートマタになっていた!?なんとユヅキが目覚めた世界は魔法によってオートマタが普及した世界だったのだ。一流の魔法使いであり人形師である朝霧キョウコが作り出した、世界最高峰のスペックを持つ人形としてのユヅキの役割は依頼者からの会話、家事、警備…そしてメインは性行為だった。そんな中、男性客との性処理で精神をすり減らしていたユヅキを新たにレンタルしたのはイチコという女子高生の少女だった。2人は次第に惹かれあっていくが…とこんな感じです!

〜圧倒的才能による百合SF〜
第8回講談社ラノベ文庫新人賞大賞受賞作!まず言わせてください…この作品めっちゃ面白いです!発売前変な風に話題になっていたのでちょっと読みづらくて一旦寝かせていたのですが(^_^;)めっちゃ面白いじゃないですか!TS!百合!SF!と三拍子揃った俊足巧打のオールラウンダータイプの作品でした!面白かったです!
男子高校生のユヅキが目を覚ますと別の世界線の世界で最新型女性オートマタになっていて…とかなり衝撃的な展開から物語は始まります。TSとか女装とかって新人賞受賞作だとかなり勇気のいる作品だと思うんですけど、SF(魔法的な裏付けはありますがあくまでサイエンス・フィクションしてるなという印象なのでこの作品は僕の中ではSFです)面でユヅキが女性型オートマタになることがうまく飲み込めましたね。そして作り手である朝霧キョウコからユヅキの人格を認められたことで、バグとして処理されずに女性型のオートマタとして生きていくことを選びます。が、その先は地獄。ひたすら男性客の性処理の道具として扱われる日々。休みはほとんどなく娼婦のように働きます。元は童貞の普通の男子高校生だったユヅキの中身は、しかし最高の女性型オートマタとしての外見の前ではなにも意味をなさず、ユヅキの精神を磨耗させていきます。この辺りは詳しく描かれるわけではないんですけど、本当にこのツラさは想像できませんね…中身が男子高校生のユヅキはもちろん男性客の性処理なんてしたくない。でもそれを拒否すれば自分という人格がオートマタから消されるから拒否できない。死ねないから道具になるしかない。タバコを吸って体内を浄化させることも本当にストンと理解として落ちてきます。そんな中で出会ったのがイチコ。父親が出張で家を離れる四日間の間、ユヅキはイチコの世話役を担うことになります。イチコにユヅキが「変なオートマタ」だと気づかれたところから始まる些細な交流は、時間が経つに連れてより親密なものに変化していきます。学校に馴染めなかったイチコとオートマタとして異端なユヅキ。外見上は女子高生と美しいオートマタ。でも内面上は女子高生と傷ついた男子高校生…そんな背景がある種の背徳感を感じながらも百合として昇華していきます。百合じゃない?うるせーTSは百合じゃないですけど百合SFにTSが絡むと百合になるんだよ。覚えておけ。終盤の展開は王道ですけど、色々と辛いことがあるのがあったことがわかるからこそ本当に感動しました。久しぶりに新人賞受賞作で才能を感じる作品でした!最後まで面白かったです!

キャラ A
ユヅキは本当にすごいです。どうやったら童貞の男子校高校生が女性型オートマタにTSして何度も何度も性処理の道具として扱われて精神とか人格を保てるんですか?本当にすごいと思いました。イチコはかわいい女の子でしたね…ユヅキのことを好きになってくれてありがとうってユヅキに代わって言いたいです…勉強も頑張ってお化粧もしっかりして女子高生してました。

最後に
マジですごい才能が講談社ラノベ文庫に来たと思うので2作目もはちゃめちゃに期待してます。てか期待していいんですよね?こまつれいさんの作品待ってます!

どんな人にオススメか?
TSとか百合とかいう前にSFが好きなら圧倒的にオススメです!とにかくSFとしての骨子ががっちりしているからこそTSとか百合(かどうかは読む人次第ですが)が肉としてしっかりついているので。ジャンルはかなり特殊ですが、物語としては王道です!気になった方はぜひ!オススメです!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



101メートル離れた恋



著者



こまつれい



レーベル



講談社ラノベ文庫



ISBN



978-4-06-516474-7


表紙の画像は「版元ドットコム」様より