どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは筑紫一明さんの「竜と祭礼 -魔法杖職人の見地から-」です!
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ストーリー A
内容は、師匠であるムンジルが死に半人前のままとなってしまった杖職人見習いのイクス。彼の元のユーイという少女が壊れた杖を持って現れる。その杖は師匠のムンジルが制作したもので、壊れた際の修理を受けるという約束がされていた。イクスは未知の素材を使用した杖の修理に悪戦苦闘するが、姉弟子であるモルナの助けで杖の核となる素材を特定する。それは竜の心臓で竜は千年以上前に絶滅していた…杖を修理するために竜の心臓を求める調査を開始するが…とこんな感じです!

〜千年前に絶滅した竜を追え〜
第11回GA文庫大賞奨励賞受賞作!発売前からEnjiさんの褐色娘イラストが話題になっていましたね!とてもデビュー作とは思えない圧倒的な密度のあるファンタジーでした!すごく面白かったです!
師匠を亡くし半人前のままでいたイクス。そんな彼の元に現れたのはユーイという少女で、彼女は父の形見である杖を修理して欲しいとイクスに依頼するところから物語は始まります!序盤の掴みはバッチリでしたね!サクサクと物語が進行して何が目的なのかしっかりと見せてくれるので物語に入り込みやすかったです!半人前であるイクスは杖の修理に必要な芯材の特定ができずに姉弟子のモルナの元を訪ねます。そこで杖に使われているのが千年前に絶滅した竜の心臓であることが明かされます。そして始まる杖を修理するための調査。図書館で資料を探したり、冒険者ギルドで過去の依頼からヒントを探したり…調査自体は派手なものではないんですけど魅力的な世界観と設定、イクスやユーイの背景を織り交ぜながら丁寧にお話を展開していましたね。そしてあるヒントを掴み2人はアグナスルズというかつて竜を祭りに取り入れていた街にたどり着きます。ここからはすごかったですね。宗教、祭り、街の歴史、無意識のうちに形成された畏怖、慣習をヒントに真実へドンドン迫っていきます!とにかく圧巻なのが祭りに関する部分。わずかなヒントから答えに近づいていくのはもちろんのこと、祭りが滅んだ理由などの設定も緻密でしたね…そして終盤の展開には本当に感動しました。一本の杖をめぐる物語が、人の、そして人と竜を巡る歴史の転換点となる…圧倒されました…ラストもよかったですし、GA文庫からまた新たな才能が誕生した瞬間を目撃しました!最後まで面白かったです!

キャラ A
イクスはぶっきらぼうで他人のことを考えずにドカドカいくタイプなんですけど、半人前とはいえ杖のことを1番に考えているからこそだとわかると彼の仕事、というか生業に対する気持ちや覚悟が本当なんだと伝わってきましたね。ユーイは迫害される東方の国の女の子。褐色で民族衣装の女の子っていいですよね!とそれはさておきいろんなものを背負いながらも、杖を修理しようとするイクスのいい支えになっていました!その他の登場人物ももちろん魅力的だったんですけど、個人的に印象だったのが街の人々。本当に物語の中の街で生きているような生活感のある人々でした。

最後に
めっちゃ面白かったので2巻も楽しみです!1巻で割と綺麗に決着はついていますが、これからイクスとユーリがどんな物語を歩んでいくのか…続刊楽しみです!

どんな人にオススメか?
学生時代歴史の授業が好きだった方は!考古学とかそういうの興味ある方も絶対に楽しめます!竜の心臓と杖をめぐる最高のファンタジーです!気になった方はぜひご一読を!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



竜と祭礼 -魔法杖職人の見地から-



著者



筑紫一明



レーベル



GA文庫



ISBN



978-4-8156-0396-0


表紙の画像は「版元ドットコム」様より