どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは綾里けいしさんの「魔女の愛し仔」です!
⚠︎ネタバレありです。
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ストーリー A
内容は、魔女集会の夜。生贄として魔女に捧げられた少女・サラはエルこと古き魔女・エンゲル・ヘクセンナハトに拾われる。サラはエルの愛し仔として彼女の身の回りの世話をすることに。幸福になれなかった物語の管理を行うエル。そんな幸せになれない物語を終わりに導くためにサラは禁忌を破って物語の中へ飛び込むが…とこんな感じです!

〜幸福になれなかった物語は救えますか?〜
綾里けいしさんの新作!物語のメインは幸福になれなかった物語を在るべき結末へ導く、というのがメインなのですが魔女のエルと人間のサラの関係もグッドな作品でした!面白かったです!
物語は魔女集会に招かざれる生贄少女・サラがやってくるところから始まります。エルという魔女に気に入られて?彼女と愛し仔として彼女は成長していくことになります。幸福になれなかった物語を管理するエルが書架に管理する物語に興味を持ち、それらの物語を幸せな結末に導くべくサラは物語に飛び込みます。お話は短編連作形式で構成されていて、サラが飛び込む物語ひとつに対して一話という形式ですね。幸福になれなかった物語はどれも有名な童話で白雪姫や人魚姫、ちょっとマイナーなところでいばら姫なんかもあったり…みんなが知っている通りの幸せな結末ではない物語を正しく導くべく奮闘するサラとエル、そして物語の登場人物たちのやりとりは見ていて楽しかったですね!しかし物語の終わらせ方は驚くべきものもあり…こういうダークテイストは綾里さんらしさがありましたね…物語の世界を終わらせる一方で展開されていくエルとサラのお話は…これもまたハッピーエンドかバッドエンドか解釈が分かれそうですね…最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

以下僕の解釈とネタバレです(文字の色を白くしてます)。
個人的な解釈として、この物語自体、エルとサラのお話自体が「幸福になれなかった物語」だと思うんですよね。そうだとすると、247pまでの物語で「幸福になれなかった物語」が成立して、最後がうまく繋がるのかなと。最後にエル視点で「幸福になれなかった物語」にダイブしているからこそ、もう一度、物語を始めようという言葉が成立する…そうだとするとこの物語の終わり方としてはバッドエンドですね。多分。幸福になれなかった物語なので。

キャラ A
サラは好奇心旺盛で物語を幸せな結末に導くために奮闘している姿が印象的でしたね。エルのことをお師様と呼ぶ姿はめっちゃ可愛かったです!エルは魔女っぽいというか、物語に対しては合理的だったりするくせにサラのことになると涙を流したり人間らしい感情を見せてその二面性が印象的でした。

最後に
ダークテイストなファンタジーとして楽しく読ませていただきました!1巻完結ですかね?また綾里さんが星海社から作品を出すなら読みたいです!

どんな人にオススメか?
ダークなファンタジーが読みたい方は!魔女と人間の少女の関係性、幸せになれなかった童話を幸せに導くお話は読んでファンタジーの醍醐味であるワクワク感を味わえる上に、物語の結末には考えさせられます。気になった方は!
それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



魔女の愛し仔



著者



綾里けいし



レーベル



星海社FICTIONS



ISBN



978-4-06-520439-9


表紙の画像は「版元ドットコム」様より