毎年20作とかラノベの新人賞受賞作を読む。
大当たりもあれば、もちろん大外れもある。最近はあんまり大外れはないけど。
そんなこれまで読んできた新人賞受賞作の中でとりわけ印象に残っている作品がある。飛田雲之さんの「《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!」だ
この作品が面白いかどうかいったん置いておく。そんなことを話題にしたいのではない。この作家さんが徹底的に計算を尽くしてこの作品を世に送り出し、そして2作品目を出すことなく今日まで沈黙を続けていることだ。とにかく今日はこの作品を、この作家さんのことを知ってほしくてこの記事を書く。
「《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!」はありとあらゆる計算が緻密に詰め来られた作品である。リーダビリティの高いタイトルはラノベ読みなら思わず「おっ」とか「おいおいw」となるに違いない。そんなタイトルから始まるのはいまは完全にあったことすら忘れ去られたライトノベル系のまとめサイトの管理人を主人公にしたラブコメだ。あらすじはこんな感じ
このあらすじだけでいくつものツッコミどころをネット民は、ラノベ読みは見つけられるだろう。「ネット民の悪ふざけでランキング上位にされてしまった作品」「2018年当時でも完全に廃れたラノベまとめサイト」「売れるライトノベルの条件」…ラノベが好きなら、ラノベブロガーなら反応してしまう要素がこれでもか!と散りばめられている。
ストーリーはある意味王道。クリエイター×ラブコメという今の流行の先取り。これもすごい。しかしなによりもすごいのは作品全体に無駄が一切ないことだ。文章ひとつ、単語ひとつ、助詞ひとつとっても無駄なく洗練された文章。
その文章が、ラノベの感想を書く身としては狂おしいほど求めていたセリフを生み出す。
前者はライトノベル作家のヒロイン陽文に向けて主人公の新が放った言葉だ。
そうだ。少なくとも僕は作品を否定することはあっても作家さんを否定しているわけじゃない。これを作家さんが物語の中で言ってくれることがどれだけ救いか…
後者はまさに「そうだよな」とうなずいてしまうセリフ。いや、僕は声はちっともデカくないんですけど、ラノベの感想やラノベを話題にする僕らはどこまで言っても外野で作家さん側、クリエイター側には絶対になれないんですよ。作家さんとTwitterでいくら距離が縮まっても、しょせん読者は感想を言うやつらは外野なんですよ。
ということを当時Twitterで散々わめいたw
そしてこの「最高に話題性を秘めた作品」の唯一の誤算は「ラノベ読みたちがたいして話題にしなかったこと」だ。話題になれば売れてた。話題にする要素を存分に取り入れていた。誰が読んでも60点にはなる万人受けのストーリー。個人的には面白くて、すごく手のひらで踊らされてすごく楽しかった作品。本当に惜しくて惜しくてたまらない作品だ。
飛田雲之さんという超計算型作家(個人的に)の2作目が早く読みたい。
ちなみに僕の感想はこれ
大当たりもあれば、もちろん大外れもある。最近はあんまり大外れはないけど。
そんなこれまで読んできた新人賞受賞作の中でとりわけ印象に残っている作品がある。飛田雲之さんの「《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!」だ
この作品が面白いかどうかいったん置いておく。そんなことを話題にしたいのではない。この作家さんが徹底的に計算を尽くしてこの作品を世に送り出し、そして2作品目を出すことなく今日まで沈黙を続けていることだ。とにかく今日はこの作品を、この作家さんのことを知ってほしくてこの記事を書く。
「《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!」はありとあらゆる計算が緻密に詰め来られた作品である。リーダビリティの高いタイトルはラノベ読みなら思わず「おっ」とか「おいおいw」となるに違いない。そんなタイトルから始まるのはいまは完全にあったことすら忘れ去られたライトノベル系のまとめサイトの管理人を主人公にしたラブコメだ。あらすじはこんな感じ
「面白い=売れる」なんて幻想だ――。大手ライトノベル系まとめサイト「ラノベのラ猫」の管理人をしている高校生、姫宮新。彼はとある記事作りをきっかけに、最近行われたネット小説賞《このラブコメがすごい!!》で三位に輝いた小説の作者が意中の少女、クラスメートの京月陽文であると知ってしまう。彼女の投稿作品は厳密な意味でのラブコメではなかったが、ネット民の悪ふざけで炎上気味に盛り上がり、三位に押し上げられてしまったのだった。そして、その悪ふざけを煽った張本人は「ラ猫」管理人の新。だが、それを知った陽文は怒るワケでもなく、こう言った。「わたしにラブコメの書き方を教えてほしいの」新は陽文にドギマギしながらも、自分の考える「売れるライトノベル」の条件を示し、陽文が次の《このラブ》に向けて小説を書くのを手伝うことになる。陽文が書いて、新がまとめサイトで宣伝する。そうすれば、話題作になること間違いなし、と。ついでに陽文との距離も縮まれば言うこと無し。だが、青春&恋愛偏差値ゼロの新は、陽文と距離が近づくほどに自分は陽文にはふさわしくないと思うようになってしまい……?まとめサイト管理人と作家志望の少女が紡ぐ青春サクセスラブコメ!
このあらすじだけでいくつものツッコミどころをネット民は、ラノベ読みは見つけられるだろう。「ネット民の悪ふざけでランキング上位にされてしまった作品」「2018年当時でも完全に廃れたラノベまとめサイト」「売れるライトノベルの条件」…ラノベが好きなら、ラノベブロガーなら反応してしまう要素がこれでもか!と散りばめられている。
ストーリーはある意味王道。クリエイター×ラブコメという今の流行の先取り。これもすごい。しかしなによりもすごいのは作品全体に無駄が一切ないことだ。文章ひとつ、単語ひとつ、助詞ひとつとっても無駄なく洗練された文章。
その文章が、ラノベの感想を書く身としては狂おしいほど求めていたセリフを生み出す。
「(前略)作品を否定しても、君自身を否定しているわけじゃない」132p
「(前略)俺たちは所詮、外野だよ。ちょっと他のやつらよりも声がでかくて、影響力を持っているだけの外野だ。」223p
前者はライトノベル作家のヒロイン陽文に向けて主人公の新が放った言葉だ。
そうだ。少なくとも僕は作品を否定することはあっても作家さんを否定しているわけじゃない。これを作家さんが物語の中で言ってくれることがどれだけ救いか…
後者はまさに「そうだよな」とうなずいてしまうセリフ。いや、僕は声はちっともデカくないんですけど、ラノベの感想やラノベを話題にする僕らはどこまで言っても外野で作家さん側、クリエイター側には絶対になれないんですよ。作家さんとTwitterでいくら距離が縮まっても、しょせん読者は感想を言うやつらは外野なんですよ。
ということを当時Twitterで散々わめいたw
そしてこの「最高に話題性を秘めた作品」の唯一の誤算は「ラノベ読みたちがたいして話題にしなかったこと」だ。話題になれば売れてた。話題にする要素を存分に取り入れていた。誰が読んでも60点にはなる万人受けのストーリー。個人的には面白くて、すごく手のひらで踊らされてすごく楽しかった作品。本当に惜しくて惜しくてたまらない作品だ。
飛田雲之さんという超計算型作家(個人的に)の2作目が早く読みたい。
ちなみに僕の感想はこれ