どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは石川博品さんの

「冬にそむく」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、突如氷河期に入り冬に閉ざされた世界。神奈川県の出海町で暮らす高校生の天城幸久は同級生たちに内緒で真瀬美波と付き合っていた。高校からこの町に引っ越してきた美波と幸久は密かにデートを重ねていく。九月、十月、十一月と徐々に強まる冬に幸久と美波の関係も少しずつ変化していき…とこんな感じです!

〜冬に閉ざされた世界で〜

石川博品さんの新作!石川博品さんが新作発表されるのは「ボクは再生数、ボクは死」以来ですかね?まず言わせてください…素晴らしい。この一言に尽きると思います。冬に閉ざされた世界で紡がれる2人の物語。美波の住む広すぎる別荘と時折出歩く町やその先の世界が舞台となり、冬が伸びるたびに少しずつ変化していく2人の関係。ど真ん中の青春ものをこれでもかと味わうことができました。最高でした。
まず序盤。幸久と美波の関係が描かれます。雪が降らないような町で降り積もる雪。世界は氷河期に入りどこか絶望的な世界観を感じるのに2人の関係は瑞々しくてどこか不器用で初々しい。等身大だなと感じる2人のキャラや心の揺れ動きが心に沁みて最高です。そんな2人は誰にも知られることなくデートを重ねていきます。美波の家の前を雪かきして彼女が住む広すぎる別荘で一緒にオンライン授業を受けたり、時折町に出てみたり遠出してみたり…冬という制約がある中でお互いがお互いを繋ぎ止めるような、そんな関係がただ美しい。冬というのが(作者の意図しているところかは不明ですが)コロナを暗示していると思うんですけど、物理的な制約がある中で幸久と美波の等身大の恋を青春をこう描くんだと読めば読むほど刺さります。2人の日常には大きな起伏はないのですが、真っ白な世界で少しずつ変化していく2人の関係であったり徐々に明かされていく背景であったりが印象的でしたね。冬という外部的な制約がいつの間にか自分たちに害を及ぼす存在になっていた。冬が日常になっていく。そんな過程が印象的でした。終盤の展開であったりラストもこの作品、この2人の物語でしか味わえないような読後感でしたね。間違いなく傑作といえる作品でした。最高です。

キャラ A
幸久は本当にいいやつでなんで美波が彼のことを好きなのかよくわかります。当たり前のように人を助けたり、辛い時に側にいてくれたり…いい男の子でしたね。美波は綺麗でかわいい女の子、というだけではなくて弱いところも強いところもたくさん見せてくれましたね。こういう女の子すごく好きです。

最後に
終わらない冬という設定を生かしたこの作品でしか味わうことができない読後感を味わえる作品でした。1巻完結ですかね?石川博品さんの作品は定期的に摂取したいので新刊はずっと待ってます。

どんな人にオススメか?
青春ものが好きな方は!この作品でしか味わえない読後感を味わうことができます!冬に閉ざされた世界で2人だけの関係を築き、デートを重ねていく。まだこの作品を未読の方は僕を信じて黙ってこの作品を買ってほしいです。お願いします。年1のお願いです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

冬にそむく



著者

石川博品



レーベル

ガガガ文庫


ISBN

978-4-09-453122-0

表紙の画像は「版元ドットコム」様より