どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは杉井光さんの

「世界でいちばん透きとおった物語2」

です!
⚠︎ネタバレはしないつもりですが、ミステリなので未読のかたはご注意ください。
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前巻の記事



☆感想☆

新人作家の藤阪燈真は自身の体験を元に上梓した「世界でいちばん透きとおった物語」が長編1作目にしてヒットし知る人ぞ知る作家になっていた。しかし長編2作目がなかなか書けずに苦労していた。そんな彼の元にとある依頼が舞い込む。それはコンビ作家・翠川双輔のプロット担当である菊谷が死去したため未完となっている「殺導線の少女」の解決編を探って欲しいという依頼だった。藤阪が解決編を追うなかで驚愕の真実が明らかになるが…

この感想を読みにきた方ならご存知「世界でいちばん透きとおった物語」の続編。まさか続編がでるのかという驚きと、ただヒットしたから無理やり続編を出したのではないかという疑念で読む前はどうなんだ?と思っていました。しかしミステリとしても人間ドラマとしてもあまりにも完成度が高く流石の杉井光さんといった作品でした。2巻の方が好きという方がいても全くおかしくない、というか仕掛け部分を除けば僕は2巻の方が好きです。最高の作品でした。

まず序盤。なかなか2作目が書けずにいる藤阪が描かれます。1巻で知ってたとはいえ、こういう形で2巻が描かれるのはなんか感慨深いですね…何者でもなかった藤阪が作家になって推理作家協会を手伝っている。長編2作目に苦労している。彼の感じる全てが新鮮で鮮烈な印象を覚えます。

そして物語はコンビ作家・翠川双輔の片割れであるプロット担当の菊谷が死去したことをきっかけに未完となった「殺導線の少女」の解決編を探って欲しいというお話を軸に進んでいきます。ミステリ専門誌で連載されていたが故に、執筆担当である宇津木すらその後の展開がわからない。そんな謎に藤阪が挑むことになります。

連載されていた「殺導線の少女」がそのまま読める構成なのが憎いですね。この物語のどこに謎があるのか考えてしまいます。敏腕編集の霧子さんが藤阪が関係者から聞いてきた証言を元に謎の糸口を見つけ、解決していく過程が見事です。

ミステリ部分についてはやはり杉井光さんというか「神様のメモ帳」を彷彿とさせるようなもので、個人的にはこれが大好きでした。1巻で見せた仕掛けも好きですけど、杉井光さんの本領はこっちですよね。古の杉井光ファンとして後方彼氏面しています。

ラストも素晴らしいですし、あの1巻からこの2巻が出るなら誰もが満足すると思います。「世界でいちばん透きとおった物語」はまだ続けられますし、不朽の名作になります。太鼓判。1巻で満足せずに2巻も読んでほしいです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

世界でいちばん透きとおった物語2



著者

杉井光



レーベル

新潮文庫nex


ISBN

978-4-10-180300-5

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