どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは東崎惟子さんの

「美澄真白の正なる殺人」

です!
⚠︎ネタバレありです。
img_ 9784101803012

☆感想☆

9歳の頃に一緒に遊んでいた親友・紫音を突如として離れ離れになってしまった真白。高校生になった彼女は刑事になるという目標のために日々自分の正義を信じて正しく生活していた。そんなある日、8年ぶりに紫音と再会することに。最初は親友との再会を喜ぶ真白。しかし彼女の体には虐待と思われる痣が。さらには死んでいるはずの母親が生きていると言い出して…

東崎惟子さんの新作。これまで「竜殺しのブリュンヒルド」「少女星間漂流記」と楽しく拝読させていただいたので新作楽しみにしてました。今作は少女たちの鮮烈な印象を残す百合とサスペンスということでこれまでの作品とは異なるテイストの作品で存分に楽しませていただきました。面白かったです。

序盤では幼き日の真白と紫音が仲良くなる過程が描かれていきます。長崎の隠れキリシタンを舞台にした街というのがいいですね。最初は微笑ましく見守っていた2人のやりとりが、衝撃的な展開に変わる瞬間が印象的でしたね。雨の日にあんな出来事があって親に夢だよとか言われたら決して忘れないと思います。

そして物語の時間は進み真白が高校生に。正義の味方として日々「正しく」生活する真白。そんな彼女はかつて衝撃的な別れ方をした紫音と再会します。紫音に再会できたことを無邪気に喜ぶのも束の間、彼女の体に痣があったり、死んでいるはずの母親がいると言い出したり…序盤の恐怖は瞬間的なものでしたが、ここからは静かな恐怖が感じられますね…

紫音を虐待している彼女の父親を、正当防衛気味とはいえ殺してしまった真白。とはいえ凶器が凶器だけに罪に問われれば有罪は確定。そんな真白と紫音が導き出した答えは殺してしまった紫音の父親をバラバラに切り刻んで<なかったことにしてしまう>こと。女子高生2人による罪の共有は百合の波動を感じるとともに、自分の正義や自分の親友のために誰かをバラバラにすることができる2人にサイコパスを感じます。

真白の計画を持って紫音の父親を完璧に処理した2人。父親から解放され、罪の意識がありながらも、自由に暮らす2人。しかし真白のしていることに刑事である父親と彼女の腐れ縁である潤は気づき初めていて…それでも完璧な真白がのらりくらりとかわしていく様子は圧巻でした。

終盤ではついに罪を隠しきれなくなった真白が…いやこのラストは本当にすごいです。最初の1ページでどういう結末が待ち構えているのか知っているとはいえ…言葉が出ない。頭をブン殴られました。これは、ちょっとすごい作品を読んでしまったかもしれません。

女子高生同士の百合のサスペンス。最後までとことん楽しませていただきました。個人的には超名作です。気になった方はぜひご一読を

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

美澄真白の正なる殺人



著者

東崎惟子



レーベル

新潮文庫nex


ISBN

978-4-10-180301-2

表紙画像のリンク先