どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)

さて、今回はなんとか続けていきたい雑談です。ネタはTwitterでアンケートをとってきめました。喋らない女の子と学園のアイドルという二択で僅差だったんですけど、喋らない女の子が勝ったのでそちらの方でいきたいと思います。

⚠︎今回はちょっと長めです

僕がその女の子と出会ったのは中学一年の頃でした。出会ったといっても、まあ普通にクラスが一緒になったというだけです。中学に入学してしばらく経って学校にも慣れて当時体育会系のノリでわちゃわちゃ騒いでいた頃、友達の1人が言いました。

「そういえばAさん(仮)って全然喋らなくない?」

それを聞いた友達たちは確かになと納得。Aさんの声を誰も聞いたことがなかったのです。

ここでAさんについて簡単に説明。Aさんは背が低くて体育会系の女の子で、成績はちょうど真ん中くらい。女子にも男子にも自分の言葉を伝えることはせずに頷くと首を振るでコミュニケーションをとるちょっと不思議な女の子でした。喋らないといっても決して存在感がないわけではなく、体育会系女子の中心に当たり前のようにいて他の女の子話をニコニコ(といってもそこまで表情豊かではなかったです)聞いているような感じでした。

さて、お話を戻します。そんなAさんの声を聞いたことがないという僕たちはその話題で少し盛り上がりました。

「でも入学式のときの自己紹介で聞いただろ。あの子の声」
「そうだっけ?覚えてねーや」
「この前授業で当てられた時も声出してたぞ」
「でも聞き取れなくて先生がわざわざ席の近くまで行ってだろ?俺のとこまで聞こえてねーよ」
「俺小学校一緒だったから聞いたことあるぞ」
「へえー、どんな声だった?」
「覚えてねー」
「ダメじゃん」

と、多分聞いたことがある人もちらほらいたものの、ほとんどの人が聞いたことがないという始末。女子に聞いても声を聞いたことがあるという人は僅かでした。とそんな感じでほとんど喋らない女の子として認識されていました。ただ別に喋らないからといって特に困ることはなく(コミュニケーションはちゃんととってくれますからね)普通に同じクラスの女子として一年を過ごしました。接点はほぼなかったですね。

そして学年は二年生へ。ここで僕は本を読むかスポーツしている以外はほぼ寝てるか、ひたすらぼーっとしているかというまさに人生の無駄の無駄の時間を送りました。朝起きて学校行ってちょっと騒いで、授業中は寝るかひたすら窓の外を見る。家に帰ったらご飯まで寝るかちょっと本読むか。ご飯食べたらちょっとトレーニングしてお風呂入って9時には寝る。1日15時間寝るようなそんな生活をしていました。もちろん成績なんてゴミみたいなものでどんどん落ちこぼれていしました。多分人生で一番先生に呼び出しくらいましたねw

そんな怠惰に怠惰を極めた僕でしたが、この中学二年生のときもAさんと同じクラスになりました。二年生になってからも接点なんてなかったんですけど、秋になってからは委員会で一緒になることがありました。

僕が通っていた中学ではクラスの全員は必ず委員会に所属する義務がありました。前期と後期に分かれていて、生徒会選挙のタイミングで前期が終了し後期の委員会を決めるというシステムでした。

そんなシステムの元、後期の委員会を決めることになったんですけど、ある行事を担当する委員会に所属していた僕はその行事でとんでもないポカをやらかして前期と同じ委員会に所属できなくなっていました(八割は前期と同じ委員会に入ります)そこで美化委員会に入ることになりました。美化委員会は放課後各クラスがきちんと掃除をしているか確認したり、時々校内の普段掃除をしない場所を掃除したりするようなかったるい委員会でした。そこでAさんと同じ委員会に入ることになったのです(委員会は基本的に男女1人ずつ選びました)

月一回の委員会に出て担当が回ってきたら各クラスの掃除チェックという仕事。会話はそれほど必要ないですが、2人で行う以上最低限の会話は必要でした。例えばクラスの掃除チェックにはいくか項目があったんですけど、これは2人で半々に分かれてやるのが普通でした。

「黒板のチェック終わったけどそっちは?」
「(コクコク)」
「汚れてなかった?大丈夫?」
「(コクコク)」
「それじゃ次の教室行こうか」
「(コクコク)」

こんな感じで各クラスの掃除チェックをするんですけど、これがまあ疲れました。だって普段は話してコミュニケーションとるんですよ?いきなり違うコミュニケーションを要求されても困ります。しかもAさんの首を振る(コクコク)ってはっきり振るわけじゃないんですよ?とまあ、そんな感じで委員会やっていきました。

なかなかAさんとの意思疎通に慣れない中で委員会をやっていたらいつの間にか季節は冬に。進路のことで悩みながら(当時やってたスポーツの強豪校に行くかそれとも地元の学校に行くか。そもそも怠惰のせいで成績が亡くなってゾンビ以下の状態だったので選択肢がなかったこととか)委員会をやっていたとき、Aさんの友達がやってきました。

「あっ、Aちゃん!委員会仕事?」
「(コクコク)」
「そっか。夏鎖もお疲れ」
「あぁ」
「この子喋らないから大変でしょ?」

いきなり直球。僕は「マジ大変」と返したかったですけど、堪えて愛想笑い。

「(無言でやめてよと友達をどつくAさん」
「えっ?あぁ、ごめん。Aちゃん私たちとも話してくれるまで半年かかったんだよ」
「へーそうなんだ(警戒心強っ⁉︎)」
「大変だと思うけど頑張ってね」

とAさんは去っていきました。てか、仲のいい友達でも喋ってくれるまで半年かかったって…あっ、でも喋るのね。そんなことを考えながら再び教室のチェック再開。その時Aさんがポツリと言いました。

「ごめんね」

一瞬誰の声かわかりませんでした。だって聞いたことがない声でしたから。それがAさんの声だと気づいたのはだいぶ後になってからでした。

背の割には落ち着いたアルトボイス。たった4文字にこめられたAさんの思い。ほとんど初めて聞くその声は今でもきちんと覚えています。というか、中学二年生の頃の記憶がこれしかないですw それくらい印象的な出来事でした。

とまあ、そんなことがあったんですけど、その後はAさんは僕に口を開くことはなく三年になってクラスが分かれついに何もなく卒業しました。まあ、ラノベじゃないんですからそんなもんですw

でも一度だけAさんの声を聞くことがありました。あれは多分高校二年生の頃。あのときは週5のバイトとラノベと好きなバンドを追っかけることだけで生きていましたね。ダラダラと通学路を自転車で走っているときです。十字路で反対からきた自転車とぶつかりそうになりました。その自転車に乗っていたのがAさんです。

Aさんは僕のことに気づいたようで一瞬変な顔をした後に、自分が悪かった(Aさんの自転車が僕の自転車に突撃してきた感じだったので)に気づいてこう言いました。

「ごめんね」

多分2回目となったであろうその声は3、4年前と聞いた声となにも変わらず落ち着いたアルトボイスでした。まあ、それ以上なにもないんですけど。ラノベじゃないんですよ。現実は。

というわけで最後に唐突なオチ。そのAさんですが、当時僕がめっちゃ嫌いだった男と付き合っていたことがあって、それもあって僕はAさんのことがそんなに好きじゃなかったですw いや可愛かったんですけどねw