2022年07月

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回紹介するのは南木義隆さんの

蝶と帝国

です!
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孤児として血のつながらない祖父と祖母に育てられた少女キーラ。彼女は数奇な運命の末に帝政ロシアの貴族の一人娘エレナ一家の従者となる。キーラには思いを寄せる女性がいたが、彼女には夫がおりキーラの想いが届くことはなかった。そんな日々の中でキーラは主人と従者という枠を超えエレナと体を重ねていく。永遠に続くかと思われた2人の関係はエレナの祖母の死とユダヤ人の迫害をきっかけに変わっていく。モスクワで料理人として成功していくキーラ。貴族の娘として、またバレリーナとして成功を収めていくエレナ。革命の時代に2人はすれ違っていく…

南木義隆さんの作品。pixiv百合文芸コンテストを受賞し、デビュー作の短編はハヤカワから発売されている「アステリズムに花束を」に収録されています。そちらは未読ですので、今作が初挑戦になります。

一言で言うと帝政ロシア×百合×料理ものという作品ですが、帝政ロシアからソビエトへと変わっていくロシアを舞台に1人の少女が主人を愛し、想い人に恋をし、過酷な運命に流されながらも強く生きていく素晴らしい作品でした。面白かったです。

本作は三部構成となっています。エレナと共にまだ穏やかなロシアで平穏な少女時代を過ごす第一部。エレナと別れモスクワで料理人として名を馳せ1人の女性として逞しく生きていく第二部。そして革命が起きロシアからソビエトへと変わっていく激動の時代からラストを描く第三部。どの章も圧倒的でした。

第一部では孤児として拾われ、エレナの家で従者として働き今は独り立ちしている少女時代のキーラが描かれます。オデーサの地で怠惰な料理人として働き、友達と笑い合い、孤児とふれあい、想い人に恋心を募らせ、そして主人と従者の関係であるエレナと酒を酌み交わし体を重ねる…瑞々しくあまりにも美しすぎるこの光景は物語の最後にたどり着くと愛おしくてたまらなくなります。

しかしそんな平穏な日々はいつまでも続きません。オデーサの地で名を馳せたエレナの祖母の死、帝国によるある事件をきっかけとした苛烈なユダヤ人弾圧…死と暴力が永遠と思われたキーラとエレナを離れ離れに仕向けます。そして少女から大人になっていくキーラはモスクワの地で料理人として名を馳せる第二部が始まります。

エレナの家や料理の師匠であるヘンダーソンのおかげで料理の腕に自信があったキーラは紆余曲折を経て自分の店を持ち、それは彼女の心の隙間を埋めるように拡大を続けいつしかキーラはモスクワで一財を成した実業家になります。しかし成功と引き換えにキーラは徐々に精神を病んでいきます。この頃のキーラの空っぽさは胸が痛いです。

そして時代は革命へ。ロシアはなくなり労働者のための国ができ、キーラは時代と運命に翻弄されながら生きていきます。大切だったものを失い、迷い、復讐n走り、時に傷つきながらそれでも忘れられないもののために歩みを止めないキーラは獣のような美しさがあります。

ラストも文句なし。久しぶりに物語とはこういうものだという感覚を味わえる作品でした。圧倒的面白さ。やや過激な描写もありますが、この読後感を味わえるのはこの作品だけです。オススメです。
それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

蝶と帝国



著者

南木義隆



レーベル

河出書房新社

ISBN

978-4-309-03051-7
表紙の画像は「版元ドットコム」様より

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回紹介するのは氷高悠さんの

【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。4

です!
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前巻の記事↓


ストーリー A
内容は、文化祭を終えてさらに距離が縮まった遊一と結花。そんなある日、結花はアリステ内の企画としてらんむ先輩とユニットを組むことに!全国を回ってライブを開催という大きなお仕事だが、なんと修学旅行の日程と見事にバッティング。なんとかライブと修学旅行を両立させようとする結花。さらにはらんむ先輩と結花のマネージャーである久留実さんが結花がラジオでよく話している【弟】と会いたいと言い出して…とこんな感じです!

〜ゆうなと沖縄へ〜

シリーズ第4弾!文化祭編に続いて修学旅行編ですね!今回は結花のお仕事にフォーカスをあてつつ修学旅行も楽しめる盛りだくさんの内容でしたね!面白かったです!
まず序盤。いつも通りイチャイチャする遊一と結花が描かれます。相変わらず結花の「〇〇じゃんよ」の口調が可愛すぎて即死攻撃です。かわいいじゃんよ。そんな結花に大きなお仕事が。アリステ内でらんむ先輩とユニットを組んでデビューすることに!さらには全国ライブも決定!盛り上がる結花ですが、なんと沖縄でのライブが修学旅行とバッティング。仕事と遊一との修学旅行のどちらを優先するか悩むことになります…でもここはやっぱり結花。修学旅行が沖縄ということもあり両方ともという選択肢を選びます。こういうところが結花らしくていいですよね。そして始まる修学旅行!結花とちょっとドキドキする沖縄での修学旅行イベントにらんむ先輩とのユニットでのライブ。後半は怒涛の盛り上がりを見せてくれましたね!ラストもめちゃくちゃいい!一緒に住んでいてもこういうことでドキドキできるのいいですよね!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
遊一は相変わらずゆうなが大好きで結花のことをよく見て行動していてグッドでしたね!結花は相変わらずの「〇〇じゃんよ!」口調のかわいさが…かわいい…学校と家でのギャップ、ゆうなと結花のギャップが素晴らしかったですね!今回から登場した結花のマネージャーの久留実さんもよかったですね!普段は仕事のできるかっこいい社会人女性!という感じなんですけど、オフになると…こういうギャップいいですよね!

最後に
4巻も楽しく読ませていただきました!5巻は積んでしまっているので早く読ます…!


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。4



著者

氷高悠



レーベル

富士見ファンタジア文庫

ISBN

978-4-04-074398-1

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回紹介するのはとしぞうさんの

百合の間に挟まれたわたしが、勢いで二股してしまった話 その2

です!
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前巻の記事↓

ストーリー A
内容は、百瀬由那と合羽凛花の<聖域>2人と付き合うことになった間四葉。二股もなんとか2人からお墨付き?をいただき正しく毎日を過ごす四葉。2人の協力のおかげでテストの赤点もほぼ回避して充実の夏休みの突入!しかし由那と凛花のデートを妹の葵と桜に目撃されてしまう⁉︎二股もバレ大ピンチな四葉が妹たちに嫌われたくないがためにとった作戦とは…とこんな感じです!

〜妹が姉のことを好きすぎる〜

シリーズ第2弾!ハイテンション二股ラブコメとして1巻ははちゃめちゃに楽しく読ませていただきましたね。今回は妹たちがメイン!ということで四葉の姉としての愛が伝わってくるお話でした!面白かったです!
まず序盤。由那と凛花と過ごす四葉が描かれます。お二人公認の二股をすることになった四葉。2人のおかげで赤点も英語以外回避し、相変わらずイチャイチャ…四葉さんの天然たらしっぷりが見ていて楽しいですね!そして由那と凛花とそれぞれ夏休みデートに。由那ちゃんとは映画を見に行ってプレゼントしあったり、凛花さんとはランチを食べてカラオケに行ったり…とても非常に百合百合しくてよきですね。しかしそんなデートを妹たちに目撃されてしまいさらには二股発覚!四葉はピンチを迎えます。妹が大好きな四葉はもちろん葵と桜に嫌われたくない。小金崎さんや咲茉ちゃんにも協力してもらって仲直り作戦へ!勢いとテンションと本音で押し切るのが四葉ちゃんらしくて非常に良きだと思います。葵と桜ちゃんの実は…という展開もよかったですし、最後のプールシーンもグッド!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
四葉は相変わらず四葉でしたね…聖域とだけではなく…というところが天然たらしっぷりが発揮されていて非常に良きです。妹思いな側面も見れてグッド!由那ちゃん、凛花さんはもちろん魅力的でしたが今回はやっぱり葵と桜!ネタバレの関係上なかなか2人に言及できないのですが、こんなにもお姉ちゃんのことが好きで2人で共同戦線張っているんだと思うと愛おしいですね…

最後に
今回もハイテンションな二股百合ラブコメを楽しませていただきました!四葉シースターズもかわいい!3巻はどんなお話になるのか…続刊待ってます!


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

百合の間に挟まれたわたしが、勢いで二股してしまった話 その2



著者

としぞう



レーベル

オーバーラップ文庫

ISBN

978-4-8240-0184-9

表紙の画像は「版元ドットコム」様より


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回紹介するのは伊尾微さんの

あおとさくら

です!
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ストーリー A
内容は、色々と問題を抱え笑えなくなった藤枝蒼は放課後に図書館で1人で本を読むことを日課としていた。そんなある日、日高咲良という他校の女の子が話しかけてくるように。最初は彼女の存在を疎ましく思っていた蒼だが明るくよく笑う咲良に次第に心を許していく。図書館だけしか接点のなかった2人は徐々に距離を近づけていくが、ある日を境に咲良は図書館にこなくなってしまう。果たして咲良に何が起きたのか…とこんな感じです!

〜笑えない蒼は少しずつ〜

第14回GA文庫大賞金賞受賞作!表紙とあらすじから気になっていましたが想像を超える青春ものでしたね!主人公の感情を丁寧に描写したいい青春ものでした!面白かったです!
まず序盤。青と咲良の出会いが描かれます。色々あって笑えなくなり友達もいない蒼は放課後図書館で過ごすことを日課にしています。そんな彼は咲良という明るくてよく笑う蒼とは対照的な少女が話しかけてきたことをきっかけに少しずつ変わっていきます。笑えなくなったが故に卑屈になっていた蒼がしつこく絡んでくる咲良に徐々に心を許していき、少しずつ会話するようになっていく過程が純粋で見ていて微笑ましかったですね。放課後の図書館を接点にして交流を重ねていく2人。最初は少し話すだけだった2人が少しずつお互いのことを知って一緒に出かけるようになって…そんな中で主人公の心情がすごく丁寧に描かれるのがよかったですね。この主人公の心情描写がしつこくなく、かつ十分すぎるほどに描かれるので笑えずに卑屈になっている主人公がなぜ咲良という少女に心を許し彼女のことをもっと知ろうと思っているのかすごくよく伝わってきます。と順調に青春を深めていく2人ですが、ある日を境に咲良と連絡が取れなくなります。ここからが本当にめちゃくちゃよかったですね…咲良と連絡が取れなくなって初めて彼女のことを何にも知らないことに気づいて…咲良に会いたいけど会えないことの焦燥感とかわずかな手がかりをヒントに咲良にもう一度会おうとする蒼は序盤とはまるで別人でその変化がめちゃくちゃいいですね。終盤の蒼と咲良のシーンは文句なし!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
蒼がすごくよかったですね!笑えなくなって卑屈っぽくなている理由とか丁寧に語られる心情とかがすごく印象的でした!咲良は蒼から見ると明るくてよく笑う素敵な女の子なんですけど実は…というギャップがすごくよかったですね。青春真っ只中の少女とはまた違った魅力がありました!

最後に
蒼と咲良の関係を丁寧に描いたいい青春ものでした!1巻完結でもいい気がしますが2巻があっても…なので今後が楽しみですね。2巻でも新作でも伊尾さんの作品がまた読めるの待ってます!


どんな人にオススメか?
恋愛要素少なめの主人公とヒロインの1対1の青春ものが読みたい方は!主人公の心情がすごく丁寧に描かれるのが好感度高いです!椎名くろさんのイラストもグッド!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

あおとさくら



著者

伊尾微



レーベル

GA文庫


ISBN

978-4-8156-1628-1

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回紹介するのは三上康明さんの

メイドなら当然です。 濡れ衣を着せられた万能メイドさんは旅に出ることにしました

です!
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ストーリー A
内容は、地味で小柄なメイドのニナはある日お屋敷にあるお高いツボを割った濡れ衣を着せられてクビにされてしまう。途方に暮れて旅に出るニナだがなんと彼女は超優秀なメイドだった⁉︎優れた才能を持つものの上手く魔法を使えないエミリ、天才的な頭脳を持つのになぜあ実験が成功しない発明家のアスリッド、食事が合わずに力が全然出せない月狼族のティエン。そんな彼女たちの才能を開花させていくニナの旅が始まる…とこんな感じです!

〜メイドさんならなんでもできます〜

三上康明さんの新作。個人的には初挑戦の作家さんの作品ですね。表紙に惹かれて購入してみましたが大当たりでしたね。とんでもない能力を持つメイドたちの旅ものとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!
まず序盤。物語はニナがお屋敷から追放されるところから物語は始まります。地味かつ「メイドは目立ってはいけない」という教えを忠実に守るが故に、華があるお屋敷のメイドたちから何かと反感を買っていたニナ。宝物庫にあるツボを割った濡れ衣を着させられてクビにされます。この後もニナが追放されたお屋敷の描写がちょくちょく出てくるんですけど、ある種追放もののような「実はあいつできる奴だったんだ…」という描写が痛快でしたね。ニナちゃんマジ優秀。そして物語はニナお旅を中心に進んで行きます。旅先で最強メイドとして活躍しつつ、出会う女の子たちの秘められた能力を解放していきます。ニナは本当になんでもこなせてメイドとしてのお仕事である家事全般はもちろん、貴重な薬草の知識や魔法に関する知識などを発揮し、さらには人の能力を解放する力まで…しかもそれを一騎当千の力で「メイドなら当然です」と当たり前のようにこなしていくのがまたすごいですね…天才的な魔法の才能を持つのに魔法がうまく使えないエミリ、天才的な頭脳を持つのになぜか実験が成功しないアスリッド、食事が合わずにお腹が空いて力が出せない鉱山で働く月狼族のティエン…彼女たちに寄り添って問題を解決するのがいいですね…途中からは彼女たちが逆にニナを監視してとんでもないメイド力を発揮しないようにと立場が逆転するのも面白かったですw 4人のやりとりも楽しかったですし最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
ニナはなんでもできる超スーパーメイド!メイドとしての仕事は一騎当千でなんでもこなし、誰も知らないような知識で問題を解決していく…しかもそれをメイドなら当然ですという感じでこなすのが最高でした。ニナちゃんかわいいよ。魔導師のエミリ、発明家のアスリッド、月狼族のティエンの3人もとても魅力的でした!

最後に
最強メイドの旅ものファンタジーとして楽しく読ませていただきました!これはぜひ2巻も読みたいですね!すでにコミカライズも決まっているようなので今後が楽しみです!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
女性主人公の旅ものファンタジーが読みたい方は!追放ものっぽい「あいつ実は優秀だったんだ…」的なシーンもありそちらの方面でも楽しく読めます!ニナと3人の女の子たちとのやりとりは見ていて楽しい!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

メイドなら当然です。 濡れ衣を着せられた万能メイドさんは旅に出ることにしました



著者

三上康明



レーベル

アース・スターノベル


ISBN

978-4-8030-1671-0

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



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