カテゴリ: 一般文芸・キャラ文芸・ライト文芸

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは遠宮にけさんの「あなたを愛しているつもりで、私は――。 娘は発達障害でした」です!
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深町夕子には七緒という他の子に比べて賢い娘がいた。しかし七緒は奇妙なこだわりを持ち一方的に他人に話し続けたり、同世代の子たちとは一才会話をせずに大人と話したがるなどコミュニケーションに問題を抱えていた。夕子は保育園からの勧めもあり七緒に検診を受けさせる。そこで七緒に発達障害の可能性があることを告げられる。普通とは異なる七緒に向き合いながら夕子は自分の進む道を探して行く…

第8回ネット小説大賞受賞作。担当が岡田さんというところから興味を持って手に取ってみました。普通とは何か、発達障害の七緒のために夕子は何をしてあげられるのか。読んでいる中でいろんなことを考えさせられ、そして彼女達の一つのゴールを見届けることができた作品でした。面白かったです。

普通とはちょっと違うこだわりがある七緒。七緒と同い年くらいの子が興味を示すものには無関心で数字や魚、機械に興味津々。そんな七緒のことをどこかおかしいと思いながらも母親として彼女に接する夕子の姿が序盤は描かれます。

そして夕子が教職に復帰するために七緒を保育園に預け始めてから問題が徐々に表面化してきます。他の子と遊ぼうとせずに自分の世界に閉じこもる七緒。そんな彼女の様子を見た保育園から検診を勧められます。そして発達障害(ADHDとASD)の傾向にあると診断されます。

ここから物語は本格的に動き始めます。どうしても七緒に普通になってほしい夕子。自分の親に縛りつけられた過去と夕子を縛り付けている現状。誰かに頼ることができない夕子は夫である誠司にも、同じ母親である妹の朝子にも、根っこの部分で相談することができずに七緒と2人の世界に閉じこもっていきます。

そんな彼女を誠司が、そして朝子がサポートしていく中で夕子は七緒に対して本当の意味で向き合っていきます。七緒もこれまではずっと自分の世界に閉じこもっているように見えましたが、夕子が変わったことでそうではないことに少しずつ気づかされました。

発達障害という昨今話題になる要素を物語の中に取り入れて、向き合って進むべき道を見つける。発達障害という言葉だけではわからない、根っこの部分を少しでも知ることができる作品でした。もちろん物語としても素晴らしく、七緒のこれからの人生が輝かしいものであることを願わずにはいられませんでした。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



あなたを愛しているつもりで、私は――。 娘は発達障害でした



著者



遠宮にけ



レーベル



宝島社



ISBN



978-4-299-01986-8


表紙の画像は「版元ドットコム」様より


どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは神戸遥真さんの「ニセモノ夫婦の紅茶店 ~あなたを迎える幸せの一杯~」です!
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千葉県の館山でひっそりと営まれる紅茶専門の喫茶店「Tea Room 渚」。そこではちょっと神経質で毒舌な店主の秀二と社交的で明るいあやめの二人で切り盛りしていた。しかし2人には4つのルールで繋がった偽装夫婦だった。お互いの部屋には入らない、共同生活に関わることは1人で判断しない、本当の夫婦であることは他言しない、どちらか一方の申し出でいつでも関係を解消できる…そんな偽装夫婦が営む喫茶店には訳ありな客ばかりが訪れて…

神戸遥真さんの作品。以前読んだ「声が出なくなったので、会社辞めて二人暮らし始めました。」がめっちゃよかったので本作も購入。人間味あふれる秀二とあやめのやりとり、渚に訪れるちょっと?困った事情を抱えるお客さんとのやりとりに元気付けられて優しい気持ちになれる作品でした!面白かったです!

東京でとあるサロンのアシスタントとして働いていたあやめ。しかし同棲したいあサロンのオーナーの浮気が発覚し、サロンも同棲も辞めてふらりと電車に乗って館山へ。いいっすね…僕も仕事を辞めて館山までいきたいですw そして海をぼーっと眺めていたところ自殺志願者と勘違いした秀二に声をかけられます。

近々喫茶店を開くという秀二のお店に案内されるも家電ポンコツな秀二は洗濯機を壊していたり、さらにはお店の準備もできていなかったりとひどいありさま。あやめはお節介を発動して、壊れた洗濯機を修理したりお店の片付けを手伝ったりします。そして行くあてのないあやめはそのままお店の手伝いをするのですが、近所の人たちに夫婦と勘違いされてしまいます…

結局、ルールを決めて偽装夫婦として一緒に喫茶店を営むことにした二人。最初は近所の人や観光来たひとたちで賑わっていた渚ですが、家出少女がやってきたり、大切なパートナーを失くした人がきたり、さらには秀二と確執のある彼の母親がお店を訪れます…

トラブルを抱えたお客様に最初は空回り気味で接するあやめですが、秀二の言葉に冷静になったり時には反抗したりしてそんなトラブルを抱えたお客様に寄り添っていきます。こういう人間味のあるやりとりが、温かくて時に優しい。読んでいて元気がもらえますね!

エピローグも彼ららしくてすごく微笑ましかったです!続きもあるので早いうちに読みたいと思います!人間味があふれるヒューマンドラマを楽しみたい方はぜひ!
それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



ニセモノ夫婦の紅茶店 ~あなたを迎える幸せの一杯~



著者



神戸遥真



レーベル



メディアワークス文庫



ISBN



978-4-04-912465-1


表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは高橋佐理さんの「赤いパーカーの花子さんとカゲフミさま」です!
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中学に入学したばかりの千明は目立つことが苦手な大人しい女の子。ある日、クラスの男の子・瑞樹に誘われて天文部という名のオカルト部へと足を踏み入れる。そこで学校の怪談の一つ真っ赤なパーカーを着た花子さんの話を知る。花子さんを探しに行こうという話になり女子トイレを探すがそこには誰もおらず奇妙な音だけが聞こえた。しかしその日から千明の日常は一変する。千明をいじめようとしていたクラスメイトがなぜか千明と仲良くしようとしたり、他のクラスメイトの女子を突き飛ばしたり…その原因はカゲフミ様という学校の怪談だと考えた千明たち。真っ赤なパーカーの花子さんも現れ、千明たちは花子さんと協力してカゲフミさまと戦うことになるが…

富士見ファンタジア文庫で「さよなら異世界、またきて明日」や「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを」を発表されている風見鶏さんの別名義作品。レーベル的には児童書?YA?な感じです。朝読書にオススメだから読書タイムっていうみたいですね。
肝心の作品ですが、オカルト×ホラーな学園ものでとても読やすく大人でも楽しく読ませていただきました!面白かったです!

中学に入学したばかりの千明は目立つことが苦手な大人しい女の子。そんな彼女がいじめのターゲットにされかけ、そして読書好きの瑞樹とオカルト大好きなスバルと出会うところから物語は動きだします。

千明をイジメのターゲットにしようとしていたクラスメイトたちがなぜか急に親しくなりはじめ、さらには千明をいじめようとしていた他のクラスメイトを突き飛ばしたり…そんな奇妙な事件が起こります。このあたりのイジメ描写はなかなかリアリティがあり、ある意味花子さんやカゲフミさまより怖かったですね…いつだって1番怖いのは人間です…

そんな中、学校の怪談と噂されていた赤いパーカーの花子さんに出会い千明たちは協力関係となります。クラスメイトが豹変した理由はカゲフミさまという別に学校の怪談だと考えた千明、瑞樹、スバルの3人はカゲフミさまを倒すために行動を始めます。

終盤は千明の過去を交えながらしっかりと問題が解決されて、エピローグも爽やかで非常によかったですね!児童書?YA?なので読む前はちょっとどうかな?とおもっていましたが大人もしっかり楽しめました。気になった方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



赤いパーカーの花子さんとカゲフミさま



著者



佐藤佐理



レーベル



カドカワ読書タイム



ISBN



978-4-04-680132-6


表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは古宮九時さんの「彼女は僕の「顔」を知らない。」です!
⚠︎致命的なネタバレはないですがミステリ作品の感想のため未読の方は注意してください
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夏休みのフリースクールで起きたキャンプ場放火事件。複数の死者を出したその事件から10年。生存者である新塚良の前に現れたのは同じく生存者である静葉だった。放火事件の当日に怪しい黒い男に遭遇したという彼女の証言から、放火事件の真実を追い求めることになるが彼女は人の顔が認識できない失貌症を患っていた。差出人不明の脅迫状が届く中、果たして良と静葉は真実にたどり着くことができるのか…

古宮九時さんの新作。最近では電撃の新文芸からファンタジー作品を出版されていますね。もちろんそちらの作品も大好きなのですが「死に見る僕と、明日死ぬ君の事件簿」「純真を歌え、トラヴィアータ」といった古宮さんがこれまでMW文庫で発表されてきた作品も大好きなのでMW文庫の新作が読めて嬉しいです。10年前の放火事件の謎を追うというミステリとしての軸はしっかりしていながらも、青春ものとしても楽しめる作品でした。面白かったです。

少し問題を抱える生徒たちが集まる夏休みのフリースクール。そこの会場で起きたキャンプ場放火事件。数人の死者を出した凄惨な放火事件の生き残りである良。彼は人の負の感情を強く感じてしまう体質に悩まされながら生きています。彼の生きづらさは序盤から痛いほどに伝わってきますね。そんなある日、転校生として放火事件の生き残りの1人である静葉がやってきます。

静葉は失貌症という人の顔を認知できない病を患っています。そんな彼女は良が放火事件の生存者だと気づきませんが、ひょんなことをきっかけに良のことを生存者だと知ります。このシーンは運命的なものを感じられる場面でとても印象に残っています。そして静葉の証言を元に10年前の放火事件の真実を追い求めることになります。

事件に関する証拠を集めながら紡がれる良と静葉の青春模様もとてもよかったです。良と静葉が一緒に市内を巡るシーンがあるのですが、良が失貌症を患う静葉に気を遣って変な格好できたり、静葉のことを心配したり優しく気遣ってあげたり…甘酸っぱさとはまたちょっと違った不器用なだけど優しい青春を感じられました。

中盤から終盤にかけて放火事件の核に良と静葉は迫っていきます。事件の謎に関しては読むとストンと落ちる納得感がありましたね。そしてラストではここまでためてきていた青春の甘酸っぱさが花ひらく場面もありで大満足でした。

260pちょっととサクッと読める物語でありながらもミステリとしても青春ものとしても読み応え抜群の作品でした。気になった方はぜひご一読を

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



彼女は僕の「顔」を知らない。



著者



古宮九時



レーベル



メディアワークス文庫



ISBN



978-4-04-912484-2


表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは神戸遥真さんの「声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。」です!
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仕事のストレスが原因で声が出なくなり会社を辞めた絵麻。ルームシェアしていた友達も結婚を機にいなくなり、祖母の残した家でずぼらな引きこもり生活を送っていた。そんなある日、ルームシェアをしていた友達の弟だという空が現れる。絵麻の生活っぷりを見て呆れた空は半ば強引に一緒に暮らすことになる。空の料理や絵麻のお世話により改善されていく生活。そしてお互いに惹かれあっていく2人。だが空はある秘密を抱えていて…

神戸遥真さんの新作。個人的には初挑戦の作家さんです。書店で一目惚れして買ってみました。ダメダメな絵麻が空のおかげて少しずつ輝きを取り戻していく過程が印象的な温かな恋愛ものでした。面白かったです。

仕事のストレスが原因で声が出なくなってしまった絵麻。仕事をやめて引きこもりでズボラな生活をしていたところに現れたのは空という青年。ルームシェアをしていた友達の弟だという彼は絵麻の引きこもり生活を見て半ば押し切るように同居を始めることになります。

序盤は絵麻のダメダメさ、空くんの強引さが印象的でしたね。元彼は浮気性のクソ男で、仕事もいらないものをいっぱい抱え込んでしまって、ルームシェアをしていた友達がいなくなったためズボラな引きこもり生活…そんな絵麻のダメさを目の前にして一緒に暮らことを提案する空。空くんも20代後半なのになかなか強引なことしますよね…そして絵麻が断れず二人暮らしが始まります。

絵麻と空の二人暮らしは最初はダメダメな絵麻を空がどんどん改善していくことから始まります。ゴミだらけの部屋を掃除したり、生活リズムを整えたり、空が作る美味しいものを食べたり…空のお世話の甲斐あって絵麻はどんどん元気になっていきます。声は出せないままですが、付箋を使って筆談でコミュニケーションをとる姿はどこか愛おしかったです。

物語が進むと絵麻と空だけではなく、彼女たちのことを温かく見守ってくれる人が増えます。元同僚の柚葉、近所で出会った女の子の京花ちゃん、近所に住むおばあちゃんのチエさん。みんな何かを抱えながらも絵麻と空のことを受け入れてくれて、反対に絵麻と空も彼女たちのことを受け入れる。ちょっとしたお茶の時間やおしゃべりで生まれる優しい空間や会話が印象的でしたね。

一方、生活が改善されてどんどん可愛くなっていく絵麻さん。空くんのことが好きになり、空もまた絵麻のことが…この2人の甘いやりとりは見ていて微笑ましいですね。いつもは空くんに何かとキツいことを言われがちな絵麻が、空に好きと伝えて空くんが照れるところとか本当に尊いです。

終盤は空の秘密が明らかになりちょっとしたピンチに。でも絵麻と空が二人暮らしで築きあげた絆でピンチを乗り越えてチャンスに変えてしまう。そんな2人がとても絵麻と空らしくて、彼女たちの幸せを願わずにはいられません。

最後の1ページまで愛おしく温かな二人暮らしを楽しませていただきました。機会があれば神戸さんの他の作品も読んでみたいです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。



著者



神戸遥真



レーベル



メディアワークス文庫



ISBN



978-4-04-913641-8


表紙の画像は「版元ドットコム」様より




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