カテゴリ: 一般文芸・キャラ文芸・ライト文芸

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは東崎惟子さんの

「君を狂気と呼ぶのなら」

です!
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☆感想☆

平凡な家庭で育った少女の日常は新興宗教の訪問勧誘によって変わってしまう。宗教勧誘のお姉さんが置いていった聖書。それに少女が興味を持ってしまったがゆえに家族はバラバラになっていく。新興宗教にのめり込む母親、それに呆れて家を出て行ってしまう父親、妹のことを心配しつつも母親に愛想を尽かし家に寄り付かなくなった姉、そしてバラバラになった家族のために神様の声を聞こうとする少女…家族が修復不可能になるまで成長した少女を待ち受けていたのは残酷な現実だった…

〜少女の狂気は終わらない〜

東崎惟子さんの新作。前作「美澄真白の正なる殺人」が面白かったので楽しみにしていました。本作は新興宗教によって家族をめちゃくちゃにされた少女による復讐サスペンスとして楽しく読ませていただきました。面白かったです。

物語は三章構成で進んでいきます。なんといっても圧巻なのは一章でしょう。平和な家族が新興宗教によってボロボロに破壊されていく過程がこれでもかと丁寧に描かれていきます。訪問勧誘にやってきた王国の暁という新興宗教の女性。その女性からもらった聖書に興味をもってしまった少女。母親と一緒に聖書を読み、訪問勧誘の女性と会話をし、心を許してしまったがために崩壊が始まります。

新興宗教の施設で徐々に洗脳されていく母親。父親や姉は母親を止めるも言うことを聞かず、母親に呆れた父親は家を出ていき、姉も家に寄り付かなくなります。母親は新興宗教を広めることで、教えを守ることで家族が元通りになると信じてさらにのめり込み、家族をつなぎとめるのは私しかいないと少女は神の声を聞こうと無理をした結果、精神病由来と思われる神の声が聞こえるようになります。

一章の内容は壮絶ではありますが、読む手が止まらない魅力があります。新興宗教なんて絶対にハマるはずがない、なんて思っている人がこうやってのめり込んでいくんだな…という凄みがあります。

そして成長した少女は人生初の恋をすることに。しかしここからさらに崩壊が進んでいきます。王国の暁では不純異性交遊は許されていないため、このことが母親に知られて少女は…ここまでも壮絶な物語でしたが一章の終わりをはじめ、とんでもないインパクトがありました。

二章以降は復讐の物語に転じていきます。ジャンヌダルクが一つキーワードとなり、一生では幼く搾取されるだけだった少女がまさに救国の英雄として自分を害してきた者たちに立ち向かっていきます。まさに人間離れした、といっていい復讐劇でしたね…

そして三章で復讐に決着がつきます。復讐は何も生まず少女は自らが裁かれる立場になり、美しいジャンヌダルクのまま物語は終わるのか…と思いきやそうはならないところにこの作品の救いを見ました。

決して明るい話ではないです。ただページをめくる手が止まらない狂気と最後の救いにやられてしまいました…極上の読書体験でした。名作です。


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

君を狂気と呼ぶのなら



著者

東崎惟子



レーベル

新潮文庫nex


ISBN

978-4-10-180319-7






どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは和田正雪さんの

「特定しないでください」

です!
※ネタバレはないつもりですが、ミステリなので未読の方はご注意ください
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☆感想☆

無名の新人作家である《私》は本業の小説ではなかなか日の目を見ず、知り合いからもらう仕事で食いつないでいた。そんなある日、とあるアイドルの行方調査の依頼が舞い込んでくる。それは解散したとあるアイドルグループに人殺しがいるという噂の真相を確かめてほしい、というものだった。私は調査の過程と結果を小説にする、という条件の元で調査をすることに。調査を進めていくうちにとあるアイドルに起こった事件の真相が次々と明らかになり…とこんな感じです!

和田正雪さんの新作!「夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない」「嘘つきは同じ顔をしている」とデビュー作、デビュー2作目とどちらも面白かったので今作も楽しみにしてました!前作まではホラーメインなお話でしたが、今回はどちらかといえばミステリメインないお話として楽しく読ませていただきました!面白かったです!

物語は無名の新人作家にとあるアイドルの調査依頼が舞い込むところから始まります。作家としてはまったく売れず知り合いからもらった仕事で食いつなぐ日々。そんな《私》にメランコリック・フルールというグループに所属するアイドルの調査依頼が…なんと殺人をしたメンバーがいるかもしれないので調べてほしいという。序盤から掴みはばっちりでしたね。

そして《私》は小説のネタになるからとそのアイドルの調査を始めます。アイドルのことがバレないように本にする、という約束を取り付け、編集者と共にメランコリック・フルールのファンや事務所のマネージャー、同じグループに所属するアイドルなど少しずつ事件の真相に迫っていきます。インタビュー形式というか、モキュメンタリー形式で進んでいくのが非常によかったですね!

そして何より本文のデザインがすごく良いです。アイドルの写真やSNS上のやりとりなどを彷彿とさせるデザインを挟みながら物語が進んでいくので、《私》の調査過程を追体験できるような仕掛けになっているのがグッドですね。アイドルの写真は実在するアイドルの写真を使っているのでなおのこと臨場感がありました。

ミステリとしても面白いのですが、やはり根底にあるのは人の悪意ですね。この悪意がページが進むごとに確かに感じられるようになるのが面白かったです。整形ってそういう理由でもするんだ、であったりとか裏垢の使い方とか…ピリピリする人の悪意が良きです。

サクサク読めて満足度の高いミステリでした。著者の新境地を存分に味わうことができたので、次回作以降も楽しみですね。新作待ってます!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

特定しないでください



著者

和田正雪



レーベル

小学館文庫


ISBN

978-4-09-407510-6

表紙画像のリンク先




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは石川博品さんの

「アフリカン・ヴードゥー・ジュージュツ」

です!
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☆感想☆

内容は、アフリカのとある村で村れた少年・ルヌエは柔術を先生であるホンゴ・センシと出会う。彼に柔術を教わる中でルヌエはメキメキと才能を開花させていく。しかしホンゴはとある事件で雇い主であるヨーロッパ人の怒りを買い、アフリカからいなくなってしまう。ホンゴの意志を受け継いでドージョーを作り弟子に柔術を教えていくルヌエ。彼の息子であるソソラもルヌエ以上の才能を発揮していく。しかしヨーロッパ人が持ち込んだ民族紛争によりルヌエは柔術を教えるだけではいられなくなり…親子二代にわたる柔術を巡る物語がはじまる!とこんな感じです!

〜それは呪いか祈りか〜

石川博品さんの新作!ラノベファンを中心に根強い人気を誇る氏の新作ということで、ファンの一人としてすごく楽しみにしてました!今作はアフリカを舞台に親子二世代にわたる柔術の物語として楽しく読ませていただきました!面白かったです!

まず序盤。ルヌエがホンゴ・センシに出会うところから物語は始まります。アフリカの片田舎の村で漁師として暮らすルヌエ。そんな彼はこの地を収めるヨーロッパ人に仕え柔術を教えるホンゴ・センシに出会い、柔術の不思議な魅力に惹かれて柔術を教わることに…この物語を読みたての頃はアフリカ人に柔術を教える不思議なヨーロッパ人というちょっと珍しい設定にしか思えなかったのですが、物語を読み終わってから思い返すとアフリカを変えてしまうような重要な出会いだったと思えますね!

そしてルヌエはホンゴに柔術を教わりその才能をメキメキと開花させていきます!ホンゴに柔術を教わるのはルヌエだけではないですが、彼が飛びぬけていましたね。柔術もまったく馴染みのないものではなく、柔道の知識を多少なりとも知っていればイメージできる描写が多くて良かったです!

ホンゴに柔術を教わる平和な日々は続きません。ルヌエがとある事件を起こしたことでホンゴは黒帯を残してアフリカの地を去ることになります。ルヌエが悪くないだけにこの別れは辛いですね…しかしルヌエはホンゴの意志を継ぎ、道場を作り、弟子を取り柔術を広めていきます。武道の神髄を見ましたね…この継がれるものの表現は流石の石川博品さんです

しかしそんなルヌエにも試練が。白人が持ち込んだ民族の対立に巻き込まれてルヌエはホンゴの教えを裏切るような行為をしてしまいます。これも誰が悪いんですかね…呪い…ヴードゥーですね…でもこのルヌエの行為があったからこそ、その後の親子二世代に渡る物語が生きてきます。
ルヌエ以上の柔術の才能を開花させた息子のソソラは民族紛争の果てに住み着いた町で道場を開き、自らセンシとして柔術を教えていきます。変わりゆく時代と変わらない柔術の信念という対比がよかったですね!

そして終盤は柔術と相撲を巡る戦いに。街で行った柔術と相撲の対決を機に、ソソラが柔術の代表として一大ムーブメントを起こしていく過程がグッド!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

タイトル



著者

アフリカン・ヴードゥー・ジュージュツ



レーベル

エンターブレイン


ISBN

978-4-04-738517-7

表紙画像のリンク先




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは森バジルさんの

「探偵小石は恋しない」

です!
※致命的なネタバレはしていませんが、ミステリなので未読の方はお気を付けください。
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☆感想☆

小石探偵事務所の代表で探偵でミステリオタクである小石。彼女は憧れの殺人事件の解決!ではなく浮気調査をしながら生計を立てていた。小石は相談員の蓮杖と共に日々浮気調査をしていく。女子高生から依頼を受けたの浮気調査、事実婚をしている妻の浮気調査、恋人の浮気調査…調査は順調にこなしていく小石と蓮杖だが、二人に忍び寄る影が…

森バジルさんの新作!「1/2―デュアル―」「ノウイットオール」「なんで死体がスタジオに!?」とこれまで全作品楽しく読ませていただいたので新作すごく楽しみにしてました!本当は9月の終わりには読み終わっていたのですが、諸事情で感想書くのが遅くなりました…今作は中盤まであれ?と思わせておいてからの展開にヤラれてしまいました!面白かったです!

まず序盤。小石探偵事務所の日常が描かれます。恋愛嫌いというか恋愛が理解できあに事務所の代表兼探偵の小石とその相棒である蓮杖。二人の元に舞い込んでくるのは浮気調査ばかりで…基本は相談員の蓮杖視点で物語は進んでいきます。序盤からなかなかハードな浮気調査の実態が描かれていて、探偵はやっぱり大変だなーと思いましたね…ドラマのようにはいかないです。

物語は全5章の章立てで進んでいきます!最初の3章は小石と蓮杖の浮気調査をメインに描かれていきます!女子高生が依頼する浮気の調査、事実婚の旦那さんが妻の浮気を疑った浮気調査、アイドルと結婚した男の浮気調査…様々なパターンの浮気調査はもちろん面白いですが、ラストでしっかり森バジルさんらしさを見せてくれるのもグッドですね!

4章は過去編。小石と蓮杖の関係のはじまりを知ることができるエピソードで非常によかったですね。というか高校時代の同級生たちもなかなか癖がありますね…このエピソードが5章に生きてくるのもすごく良かったです!

そして5章!また普通に浮気調査をして終わり…かと思いきや、そこは森バジルさんの作品!予想もしていなかった「えっ?そうくる?」が連続できてびっくりでした…これはヤラれてしまいましたね…手を叩くことしかできないです。

今回も極上の森バジルワールドを楽しませていただきました!森バジルさんの作品大好きなのでこれから年1くらいでは読みたいですね…新作待ってます!


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

探偵小石は恋しない



著者

森バジル



レーベル

小学館


ISBN

978-4-09-386763-4

表紙画像のリンク先




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは杉井光さんの

「羊殺しの巫女たち」

です!
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☆感想☆

山に囲まれた早蕨部村。そこでは未年の度に行われる奇妙な祭りがあった。それは未年生まれの12歳の少女たちが巫女として村に繁栄をもたらすという<おひつじ様>を迎えるというものだった。12年前に巫女としておひつじ様を迎えた祥子は再び村に戻ってくる。彼女を含めた6人の巫女との約束を果たすために。村に続く奇祭の真実は? 未年に頻発する謎の怪死事件とは? そしておひつじ様の正体とは…

杉井光さんの新作!「世界でいちばん透きとおった物語」がすっかり有名になってしまい、古の杉井光ファンとしては嬉しいやら「こんなに知られないで!」とめんどくさいファン化したりとちょっと複雑な思いですw
今作はデビュー作の「火目の巫女」や「死図目のイタカ」を彷彿とさせるような雰囲気を纏ったホラーとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!

物語は12年前と今を行き来しながら進んでいきます。12年前の未年の日、小学校六年生の頃に巫女として<おひつじ様>をお迎えした祥子たち6人の少女。そして12年前の約束を果たすために再び早蕨部村に集まった24歳の祥子たち。二つの視点で辺境の村の異様な繁栄の背景が語られていきます。序盤から村に漂う閉塞感が伝わってきて物語に引き込まれていきます。

12年前は繁栄していたのに、今は見る影もない早蕨部村。その理由は12年前に祥子たちが何かをしたから。では彼女たちは何をしたのか…話の端々に感じる不気味な要素。閉鎖的な辺境の村。村の権力者たちが知る<おひつじ様>の正体とは何か…12年前にその正体を追った6人の少女のお姉ちゃん的ポジションの律子の調査で知っていくという構成も面白かったです。

おひつじ様を迎える祭りや儀式も面白かったですね。祭りの半年前から神楽を覚えたり、希望する家に巫女装束で巡ったり、祭りの前は木の実と水しか口にできなかったり…こういった田舎のお祭りっぽい描写もリアリティがあってよかったです。個人的には村の権力者たちに異様な力があるのも印象的でした。都会生まれとしてはこういう村の権力者たちというのが一番閉塞感を感じますね。

物語は怪死事件が始まってから徐々にスピードをあげていきます。なぜ未年生まれの女の子は巫女になるのか、未年生まれの男児はいないのか。シダの葉を使ったおまじないは何か、なぜ怪死事件ではありえないような死に方をするのか…グロテスクなシーンもありますがスプラッタ的な怖さではなく、本能を刺激するような嫌な感じでページをめくる手が加速していきます。

中盤では6人の少女たちが大人になってから集まり、祭りの日に交わした約束を果たすために行動していきます。この辺りから語られる12年前の記憶はなかなか生々しく結局一番怖いのは人間なのか…とも思ったりもしましたね…個人的には先生が色々不憫でなりません…いい先生っぽいのに…

終盤で判明する事実やエピローグは面白かったですね!杉井光さんに期待したホラーを存分に楽しめることができました。帯にはミステリ、とありますがミステリを期待すると…なのでホラーとして読むのが良いかなと個人的には思いました。ホラーが好きな方にはぜひオススメしたいです。気になった方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

羊殺しの巫女たち



著者

杉井光



レーベル

角川書店


ISBN

978-4-04-115127-3

表紙画像のリンク先




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