カテゴリ: 一般文芸・キャラ文芸・ライト文芸

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
先ほど気づいたのですが、ここ何日かはこのブログで紹介しているのが小説、しかも一般文芸ばっかりでした(^_^;)最
近は積み上げているライトノベルを消化中なので、もう少し一通り読んだら面白かったものを紹介していきます!

さて、今回紹介するのは宮部みゆきさんの「今夜は眠れない」です!
宮部みゆきさんは東野圭吾さんと同じく数少ないミステリ作家の直木賞受賞作家で、他にも名だたるミステリ系の賞や日本SF大賞を受賞している作家さんです。書いているジャンルも多彩でミステリを中心に時代もの、SF、ファンタジーと数々のヒット作を残してきました!また、あまり知られていないことですが無類のゲームマニアでSFやファンタジー作品はゲームに強く影響を受けたと思われる設定が見られたりします。

ざっくりとしたあらすじ。
ごくごく普通な家族の妻にある日突然五億円もの財産が遺贈された。それにより、近所の人や同級生の態度は一変し、さらに脅迫電話までかかってくるようになる。それに追い打ちをかけるように妻の過去を疑う夫は家を出て行ってしまう。崩壊していく家庭に平和を取り戻すため、主人公の雅男は親友の島崎と共に五億円の謎を調査することになるが…とこんな感じです!

ジャンルはミステリ。と、言っても宮部みゆきさんの作品の中ではかなり読みやすい部類の作品なので、ミステリに挑戦してみようかなー、と思っている方にはオススメです!

この作品は親子、家族の関係性の描き方がとても上手です。宮部みゆきさんは代表作の一つでもある「ブレイブストーリー」や「英雄の書」でも描いていたように、子供からみた大人それも親の書き方が本当にうまく、自分の体験と照らし合わせて共感しやすいです。

作品の本筋的には子供であるがために、難航する調査にやきもきする部分も若干ありますが、逆にその不自由さが現実感を与えるいいエッセンスとなっていて、本当にこういう事件があって子供が真実を暴き出したのではないか?と思わされてしまいます。

ミステリ部分もしっかりしていて、特に銃弾のトリックはなるほどなー、と納得させられました。また、二段オチの構成があり、各章をサッカーの試合に見立てたのはさすがだなー、と思いました!

中高生でも読みやすく、また後味もすっきりとしたミステリなのでミステリ初心者や普段小説を読まない方にもオススメです! ぜひご一読を!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
今日はギターを弾いていた時に突然ストラップがはずれてギターが落下。本体は無事でしたがシールドがやられました( ꒪Д꒪)シールドも安くはないので買い直すのが…

さて、今回紹介するのは有川浩さんのデビュー作「塩の街」です!
有川浩さんは今作「塩の街」でデビュー、当時はまだMW文庫がなかった電撃文庫では珍しくハードカバーで作品を発表し注目されていましたが、代表作「図書館戦争」のヒットで一般文芸読者にも名を知られるようになった作家さんです。乙一さんや桜庭一樹さんが大きな賞を取って一般文芸にシフトしたのに対し、有川浩さんは徐々に一般文芸にシフトしまイメージがありますね。また本屋大賞の常連でもあります。

有川浩さんは個人的には直木賞に一番近い作家さんだと思うのですが、作品の質や映像化作品数の割りには各文学賞から遠い作家さんです。デビューからかなり経つのに有名な賞はまだ電撃大賞と星雲賞しか受賞していないことを意外に思っている方も多いのではないでしょうか?恋愛小説系の賞はもっと受賞してもらいたいのですが…

ざっくりとしたあらすじ。
塩害。それは突如現れた塩の塊により人々が謎の死に襲われていく災害。日本は塩害により、国としての機能が低下し塩害に対して為す術もない状態が続いていた。
そんな世界で生きる小笠原真奈はある日、治安が悪くなった街で暴徒に襲われたところを秋庭に助けられ、成り行きから共に生活することになる。二人は塩害の世界で生きる人々と奇妙な出会いを繰り返していくなかで、塩害についてを知る人物に出会う…とこんな感じです!

ジャンルはSF。と、いってもやはりデビュー作から有川浩さんは有川浩さん。恋愛ものの要素がかなり強いです。

有川浩さんは今作を含む自衛隊三部作(「塩の街」「海の底」「空の中」)を発表されていますが、個人的に一番面白かったものが「空の中」で、一番記憶に残っているのが今作です。

まず、作品自体がとても美しいです。塩という白に埋め尽くされた世界で描かれる純粋な恋。これが心に強く響きます。この作品が他の有川浩さんの作品と比べて、特別優れているという点はおそらくないです。しかし、荒廃した世界で生きる二人は生きることに一生懸命で、満たされた世界で生きる現代人に無言の批判をしているようにも思えます。

それに加えて本編もそれ程長いわけではなく250p程度です。この短いページ数で秋庭と真奈という二人の登場人物を描ききったところにも好感が持てます。特に真奈は印象という意味ては有川浩さんの作品に登場した人物の中で一番だと思います。弱い世界で強くあろうとする真奈には共感する人も多いのではないかと思います。

この作品は電撃文庫版、ハードカバー版、角川文庫版の三種類がありますが、無難に後日談まで収録されている角川文庫版をオススメしたいです。後日談は旅の終わりという一番最後の短編が個人的には好きです!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
昨日は久しぶりに友達とオールしましたwカラオケで夜の十一時から朝の五時まて歌い続けたので、喉がやばいです(苦笑)ちなみに最高点はL'Arc-en-CielのREADY STEADY GOの83点でした。もうちょっととりたかったです…

さて、今回紹介するのは伊藤計劃さんの「ハーモニー」です!
伊藤計劃さんの著者紹介は「虐殺器官」の紹介でしたのでそちらをどうぞ↓

上の写真は新装版のものなので映画のイラストが表紙に描かれていますが、描かれていない版もあります。

ざっくりとしたあらすじ。
21世紀後半、大災禍と呼ばれる世界的混乱を経て、人類は体内にWatchMeと呼ばれる常時恒常性を監視するソフトウェアを体内に入れ、メディケアという個人用製薬システムと連動させることにより完璧な健康を手に入れた。それにより世界は病気と戦いのないユートピアを手に入れた。
しかし、ある日世界で同時に多数の人々が自殺をするという大事件が起こる。調査にあたる霧慧トァンは事件の影に十三年前に死んだ御冷ミァハの存在があるのではないかと疑い始めるが…とこんな感じです!

ジャンルはSF、人類の幸福とか意識の在り方とかそういったものが追求されている物語です。

読む前の情報として、この作品が「虐殺器官」と対をなし、そして続編的な物語であるということは知っていましたが、読後まさに対をなす物語だと思いました。
まず「虐殺器官」が冒頭から突き抜けるような上昇していく物語だとすれば、「ハーモニー」は作品内でも言われている通り真綿で首を絞められるような徐々に沈んでいく物語です。そして物語が進むにつれて一点に全てが集約されていく感じが素晴らしく面白いです!

「虐殺器官」の続編的だということはすでに両方とも読んでいる方にはお分かりでしょうが、どちらか一方もしくはどちらも読んでいない人に言うと別にどちらから読み始めても全然大丈夫です! 世界的な歴史の流れを受け継いでいるだけで、作品自体はまったく関係ないです。

さらに、この作品を読んで感じたのは、「虐殺器官」より伊藤計劃さんが確実にパワーアップしているということです!
文章力が上がったりとかそういう個人の感覚的なものではなくて、テーマの扱いや視覚情報に訴えかける文章が作品内に出てくるあるアイテムと密接に関わっていたりします。前作ではなされなかったある種実験的な試みが、伊藤計劃さんという作家さんを一段上に押し上げていた作品でした。

そして何よりこの作品は人類の限界に対して一つの答えを出した作品として完成度が非常に高いです!ユートピアに見える世界は実は内部から蝕まれていた。という事実は今の日本にも通じるものがあるのではないでしょうか?
本当にこれだけ素晴らしい作品を書ける方がもうこの世にいないことが信じられません…

この作品は新装版と旧装版があり、旧装版には映画のイラストが表紙に描かれていないので、買いづらいという方はそちらを購入してみてください。ただし、旧装版には伊藤計劃さんのインタビューが収録されていないので注意が必要です!
個人的には「虐殺器官」より面白いと思うので、そちらしか読んでいないという方も是非ご一読を!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
今日ようやくとある新人賞に出そうと思っている作品の一稿が出来ました! アラが多すぎるので、今から改稿作業にげんなりしてます( ꒪Д꒪)

さて、今回紹介するのは菱田愛日さんの「空の彼方」です!
菱田愛日さんは今作「空の彼方」で第16回電撃小説大賞の選考委員奨励賞を受賞しデビュー、アパレルショップの店長というかなり珍しい兼業作家さんです。菱田愛日さんの話を聞いてなんとなく谷川流さんの話を思い出しましたw

ざっくりとしたあらすじ。
小さな路地にひっそりと店を構える防具屋シャイニーテラス。店の女主人ソラは訪れる客と必ずある約束を交わす。それは店の外に出られないソラのために旅の話を語って聞かせるというものだった。ある日、貴族の身分を捨てて傭兵となった青年アルが、シャイニーテラスを訪れる。ソラとアルの出会いがソラの止まっていた時間を動かし…とこんな感じです!

ジャンルはファンタジー。かなり軽めの設定で、どちらかといえば登場人物達の物語、ソラの心情や想いに焦点を当てたものとなっています!

この作品を読んだのは大分昔なのですが、今でも時々思い出す作品です。ファンタジーは創られた世界を主人公を通して知り、見て、聞いたりと、読者が物語の一人称視点となる感覚が大前提としてあるのですが、作品の構造上ヒロインである防具屋の主人ソラに主人公が自らの旅を語るスタイルなので、まるで絵本を読み聞かされているような、究極的な二人称視点があります。なので、主人公が感じた世界がソラというヒロインて共に感じられるという稀有な面白さがあります!

また、防具屋というゲームなら街の一風景でしかない部分に着目し、それを自らの経験を生かして書ききっているのも、かなり好印象です!作者から見れば防具屋=服屋の関係があって、そこに込められた思いが読み手にしっかり伝わってきます!

ソラやアルの他にも魅力的で、作品を盛り上げるのに欠かせない登場人物がたくさん出てきます! 個人的にはマリアベルが一番いい味出してるなー、と思いました。

この作品は三巻完結済みです。各巻ともそれぞれウィットに富んだ内容で、ソラが徐々にかつての自分と向き合っていく健気さには心が動かされます!軽めのファンタジーを読みたいという方は是非ご一読を!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
今日は花粉のせいか頭痛が…まあ、それでも普通にランニングしたりしていたのですがwまだ頭痛は治りません…

そんな中紹介するのは梓崎優さんの「叫びと祈り」です!
梓崎優さんは第五回ミステリーズ!新人賞を今作収録の短編「砂漠を走る船の道」で受賞しデビュー。この作品は綾辻行人さん、有栖川有栖さんら審査員が激賞したことでも有名です。「叫びと祈り」は数々のミステリ系の賞に軒並みランクインし、満を持して発売した二作目の「リバーサイド・チルドレン」は大藪春彦賞を受賞するなど今注目の作家さんです!

しかし! 梓崎優さんはとても遅筆でデビューから実質五年で上記二作品しか作品を発表していません…せいぜい一年に一作くらいは…と思いますが、まあ兼業のようですし本業が忙しいのでしょう。

この作品は全五編からなる連作短編で、斉木といういくつもの外国語を操る主人公が中心となり物語は進行します。

各短編の簡単な紹介。

・砂漠を走る船の道
塩を運ぶキャラバンが舞台のミステリ。説明した通りこの作品でミステリーズ!新人賞を受賞しました。叙述トリックをうまく取り入れた短編で、最後までまったく気が付きませんでした。これだけでもこの作品は読む価値があると思います!

・白い巨人
「砂漠を走る船の道」から一転スペインを舞台に繰り広げられる推理合戦。正直に言うと「砂漠を走る船の道」を読んだあとに読むと落胆すること間違いなしですが、青春ものの要素を取り入れていると考えればそこそこの出来です。

・凍れるルーシー
前の二つの作品からうって変わって極寒のロシアが舞台の作品。ホラー要素もあり都市伝説っぽい謎を解く感じです。色々な要素を取り入れながらも、綺麗に纏まっていて個人的にはお気に入りです。

・叫び
アマゾンの少数民族を舞台にした作品。エボラ出血熱が少数民族を襲い、滅びの運命をたどる中殺人犯を探すというもの。作品全体から見れば面白さは並ですが、閉鎖的な少数民族の村の描写が優れていました。

・祈り
前の四つの作品の統括的な話。斉木自身がある意味謎となって登場。夢か現か、そんな雰囲気が漂う幻想的な話です。連作短編の〆の作品としてはかなりレベルが高いです!

以上となります!
個人的なオススメは「砂漠を走る船の道」「凍れるルーシー」です!梓崎優さんの作品はとにかく描写が優れていると思うので、海外を舞台にしたミステリを読みたいという方には強くオススメします!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

↑このページのトップヘ