どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
今日は雨がやんでいたので、新潮文庫nexを買ってきました! 近日中にこちらの紹介も書きますので、楽しみにしていてください。
さて、今日紹介するのは籐真千歳さんの「θ 11番ホームの妖精 鏡仕掛けの乙女たち」です!
籐真千歳さんは2008年に「θ 11番ホームの妖精」で電撃文庫からデビュー、2011年にはハヤカワ文庫JAで発表した「スワロウテイル 人工少女販売処」でセンス・オブ・ジェンダー賞を獲得するなど、近年急成長を遂げているSFの期待の星です。
この作品はかつて電撃文庫から出版されたデビュー作を改稿し、新たに一話を加えたものとしてハヤカワ文庫JAから再刊されました。
ざっくりとしたあらすじです。
鏡状門(ミラーゲート)の開発により、C.D.鉄道(コンプレス・ディメンション・トレイン)が実用化され、世界が数時間で結ばれた世界。
そんな世界でT・Bと呼ばれる全身義体(フル・サイボーグ)の少女は、東京駅上空2200mに浮かぶ、本来なら存在しない東京駅11番ホームで、150年前に悲惨な事故で失った仲間達の帰りを待っていました。
狼型のサイボーグ義経と共に平穏に駅の業務をこなすT・Bですが、時々訪れる乗客はわけありな人ばかりで…と、こんな感じです。
ルビが多いせいで少しあらすじが長くなりました(ーー;)
えっと、まずこのお話はいわゆる「駅もの」として読むと少し拍子抜けするかもしれません。なぜなら駅がほぼ無人駅で、乗客がほとんどいないからです(苦笑)なので、SF小説として読むのがいいと思います。
主な登場人物は三人いるのですが、誰一人として人間ではありません。SF小説は数あれど、純粋な人間が一人もいないのは珍しいのではないでしょうか?
まず主人公で語り部のT・B、見た目は可憐な少女ですが、全身がサイボーグで150年も生きています。
次に狼型のサイボーグ義経、T・Bの良きパートナーとして、またツッコミ役として、いい味を出してます。
最後は駅そのものと言っても過言ではない人工知能のアリス、駅の機能の全てを掌握する人工知能ですが、人工知能故に若干融通が利かず、また冷たすぎるほどに冷静です。
この三人? (正確には一体と一匹と…人工知能はどうやって数えるんだ(ーー;))に、駅を訪れるわけありのお客さんが絡んできて物語は進行します。
このお話の最大の特徴は、実際遠い未来でありそうなことを、盛り込んでいることにあると思います。
例えば、情報社会の崩壊であったり、世界の縮図が150年後はこうなっていたり、九州で地震が起きたり、政治家達の思惑だったりと、一見すると本筋にはなにひとつ関係のなさそうなことが、積み上げられ絡み合うことによって、SF小説でありながら妙に納得してしまうような説得力がある物語として構成されていきます。
どんなSF小説もそうだろう? と、思う方もいるかもしれませんが、このお話はSFであって妙に現実的という、ある種矛盾とも取れる完璧な世界を演出しています。
そんな世界で起こる国一つ動かせるような事件が乗客によって、東京駅11番ホームに持ち込まれます。
T・B達は苦難を乗り越えながらも、事件を解決し無事に乗客を送り出します。
SF+出会いと別れの物語、気になった方は是非ご一読を。
また、この作品は「スワロウテイル」シリーズと世界観を共有しているので、そちらと合わせて読むとより一層楽しめるかもしれません。ちなみにどちらから先に読んでも問題ありません。
それではこの辺で(≧(エ)≦。)