カテゴリ: ミステリ・サスペンス

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは夢見里龍さんの

「後宮の死化粧妃 ワケあり妖妃と奇人官吏の暗黒検視事件簿」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、先帝の死後、斎の後宮では不可解な死が頻発していた。後宮で起こる事件を調査する役職・後宮丞に任命された絳(コウ) は死化粧を専門に行う紫蓮の本を訪れる。彼女の鮮やかな死化粧を行う姿に惚れた絳は度々彼女の元を訪れるが、後宮での殺人事件は後をたたない…陰謀渦巻く高級で巻き起こる謎を死化粧師が解決する後宮ミステリが幕を開ける!とこんな感じです!

〜死化粧師が死体から事件を暴く〜

夢見里龍さんの新作!夢見里さんの作品を読むのは「後宮食医の薬膳帖」以来ですね!今作は陰謀渦巻く後宮を舞台に妖妃として厄介者扱いされる死化粧師の紫蓮とそんな紫蓮に惚れてしまった絳のコンビが楽しい後宮ミステリとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!
まず序盤。紫蓮と絳が出会うところから物語は始まります。エンバーミングを行う死化粧師として後宮での扱いはよくないものの、死化粧の専門家として放っておけない存在である紫蓮。そんな彼女の死体を見る能力を見込んで絳が事件を持ち込んできます。なかなか不穏な感じの出会いですが、よくも悪くも紫蓮も絳も死を前にして動じない性格なので、殺人と思われる事件の話が淡々と進みますね。そして紫蓮の死化粧師としての姿に惚れる絳…紫蓮が感じるほどではないですが変な奴ですよねw そして絳と紫蓮のコンビは次々と後宮で巻き起こる殺人事件を解決していきます!ミステリとしての面白さももちろんあるのですが、後宮という設定やギミックから死者が生前何を望んでいたかどんな想いでなくなっていったのかを明らかにしていくのがすごく良かったですね!そしてそうした思いを汲み取って死化粧を施していく紫蓮の姿が印象的でした!お話は全四章でそれぞれの事件が独立した形で描かれるのですが、四章でとんでもない展開になってこれまでの三章がギュッと収束して繋がっていくのがすごかったですね…そして2人が交わす約束が陰謀渦巻くこの後宮らしくて読み切って思わず放心してしまいました…最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
紫蓮は死化粧師ゆえに後宮で嫌われている女の子。その生まれゆえに色々なものを抱えて生きているどこか儚げな姿であったり、普段は一人称<僕>で強気な感じで話すのが非常によかったですね!絳はエリート役人!ちょっと頭のネジが外れた感じといざという時に頼りになる姿が印象的でしたね!紫蓮とのコンビは息ぴったりでした!その他のキャラも魅力的でした!

最後に
陰謀渦巻く後宮ミステリとして楽しく読ませていただきました!これはぜひ続きが読みたいですね!まだまだ紫蓮と絳のコンビが見たい!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
後宮ものやミステリが好きな方は!厚さはそれなりにありますが、文章は読みやすいです!明るい話ではありませんが、死者の声を聞き事件を解決して死者の思いを届ける紫蓮と彼女を支える絳のコンビが魅力です!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

後宮の死化粧妃 ワケあり妖妃と奇人官吏の暗黒検視事件簿



著者

夢見里龍



レーベル

アース・スタールナ


ISBN

978-4-8030-1953-7

表紙画像のリンク先



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは三日市零さんの

「復讐は合法的に」

です!
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☆感想☆

合法復讐屋として活動するエリスは法律のグレーな部分をつき、日々依頼人の復讐に手を貸していた。6年間付き合った彼氏に裏切られたOLの復讐、とある携帯ショップに勤める男の罪に対する復讐、小児性愛者の強姦事件に対する復讐…そんな復讐をこなす中、エリスはSNS上で活躍する正義の復讐者が関わる事件を追うことに。果たしてエリスは事件を解決することができるのか…

このミス大賞2023年の隠し球。三日市零さんのデビュー作。Twitterでみかけた在宅ワーク中に小説書いていたらデビューした、というお話が面白くて手に取りました。ご友人の方のツイートをみかけた2年前に「その小説書いた人がデビューするなら読みたいな…」と思っていたのでまさか2年越しに読めるとは…連作短編形式で進むミステリとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!

まずなんといっても文章ですね。ここまで読みやすい文章はなかなかないと思います。ミステリはやはり現場の状況を説明したり、必要な情報を開示したりでどうしても読みづらい箇所が生まれてしまうものなのですが、最後までそういったページがなくてとても読みやすかったですね。つっかかるところが一才なくテンポ良く読めました。

そしてキャラクター。合法復讐屋のエリスは時に美人女性として、時にオネェとして、法律スレスレで正義を貫き復讐する。その気高く美しい姿と強烈なキャラクターが魅力的でした。小学生ながらにエリスの助手として大活躍なメープルちゃんも印象的でしたね。こんなに気が利いて万能な小学生が現実にいたらと思うと…

物語は連作短編形式で進みます。どのお話も少なからずミステリ要素がありますが、その強弱は異なると感じました。Case1はどちらかというとエリスという登場人物の仕事のやり方を見せるようなお話で、本格的なミステリはCase2以降になります。事件に関するピースを集めて着実に犯人を追い詰めて、法律ギリギリで刺すエリスのやり方は見ていて楽しかったですね。

個人的に好きだったのはCase2。とある携帯ショップ店員のお話なのですが、エリスの追い詰め方がいい塩梅に恐ろしく、追い詰められる側の変化も楽しかったですね。

連作短編形式でどのお話にも復讐というキーワードが入り、決して明るい物語ではないです。しかし圧倒的な文章の読みやすさと強烈なキャラクターでグイグイと読者を引っ張ってくれる。そんな唯一無二の魅力がある作品でした。気になった方はぜひ。

ちなみに僕が当時すげえと思ったツイートはこちら




それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

復讐は合法的に



著者

三日市零



レーベル

宝島社文庫


ISBN

978-4-299-04481-5




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さて、今回感想を書いていくのは零雫さんの

「不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で」

です!
⚠︎ネタバレはないつもりですがミステリなので未読の方はご注意ください
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、謎の美少女・冷堂紅葉が転校していたある日、学校で密室殺人事件が起こる。冷堂と同じクラスの天内晴麻は彼女と共に事件を調査することに。そしてさらなる事件が発生⁉︎なんと冷堂が血溜まりの中で見つかる。即死かと思われた冷堂だがなぜか彼女は生きており…死なない少女ととある能力を持つ少年によるミステリが始まる!とこんな感じです!

〜死なない少女と学園密室殺人〜

第15回GA大賞銀賞受賞作!零雫さんのデビュー作ですね。超能力×ミステリな学園エンタメとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!
まず序盤。冷堂が転校してくるところから物語が始まります。鉄板な導入でしたが一男子としての晴麻から見た冷堂が男子高校生丸出しでちょっと笑いました。そして事件発生。2人のクラスメイトである笹村くんが何者かによって殺害されるという密室殺人事件が発生します。そして2人は事件を解決するために調査をすることに!ここまではかなりスムーズでサクサクと進んでいくのでノンストレスなのはよかったですね!色々と情報を集める中でさらなる事件が発生。なんと冷堂が何者かによって殺害され…たかと思いきや異能《不老不死》で復活します。そして2人は冷堂殺害の事件も含めて調査することに。ここから超能力要素も強く出てきますね…主人公の能力を冷堂の能力を組み合わせながら謎を解き明かしていく過程、そして明らかになる犯人とその動機。超能力を絡めたミステリとして、そして少しずつ距離を近づけていく冷堂と晴麻魅力的でした!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
晴麻はとある能力を持った少年!事件の解決のために自ら足を使って証拠を集めるタイプの探偵でしたね。よくも悪くも男子高校生前回なところがなんか可愛かったですねw 冷堂は超スタイル抜群で不老不死な少女。この世離れした美しさを持つ一方、かなりの食いしん坊だったり不老不死の割に幼い一面を覗かせたりと見ていて楽しい女の子でした!その他のキャラも魅力的でした!

最後に
超能力×ミステリとして楽しく読ませていただきました!2巻の発売もすでに決まっていて秋頃とのことなので楽しみですね!これから2人がどんな事件を解決していくのか楽しみです!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
超能力ありなエンタメ振りのミステリを読みたい方は!割と超能力がキーになるので、現実的なカチッとしたミステリが好きな方はは苦手かもしれないです。ですがエンタメとしてすごく楽しい作品です!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

不死探偵・冷堂紅葉 01.君とのキスは密室で



著者

零雫



レーベル

GA文庫


ISBN

978-4-8156-2149-0




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さて、今回感想を書いていくのは紙城境介さんの

「シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、増加する事件を解決するために探偵という職業が一般化した世界。日本で唯一国家探偵資格を取得できる超難関校・真理峰探偵学園に1人の少年と少女が入学した。少年はかつて<犯罪王>とされた男の孫である不実崎未咲、もう1人は<探偵王>の養女である詩亜・E・ヘーゼルダイン。宿敵の末裔同士である2人は入学早々から発生した模擬事件で推理対決をすることに。果たして2人は探偵学園でどのような学校生活を送っていくのか…とこんな感じです!

〜あおり〜

紙城境介さんの新作!MF文庫Jからは「転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?」以来の新作ですね。本作はど真ん中の学園ものにして、ど真ん中のミステリという最高の学園ミステリを真っ正面から堂々と楽しませてくれる作品でした!面白かったです!
まず序盤。未咲と詩亜が国家探偵資格を取得できる真理峰探偵学園に入学します。学園ミステリでやはりネックになるのがどうやって学校で事件を起こすか?だと思うんですけど、この探偵学園という設定や探偵が一般的な職業になっているという設定で自然と学校で事件が起こせるようになっているのがグッドでしたね!あと個人的に謎を解くためのヒントが作中で太字になるのもよかったですね。個人的にはミステリ好きで結構読む方(読んでた方)ではあるんですけど、こうして太字にしてくれるとあとで見返しやすくて助かります…ミステリ読む時は結構ページ見返すので…
物語はミステリということもあり、事件やトリックにはなかなか言及できないのですが…ミステリとして申し分のない謎解きを楽しませてくれますし、探偵という存在をこういう風にエンタメに変換するのか!という自然な驚きがありました。犯罪王の孫である未咲と探偵王の養女である詩亜のやりとりも楽しかったですし、その他のクラスメイトや寮生とのやりとりもグッド!中盤以降に謎解きに挑む事件も読み応え抜群でした!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
未咲は犯罪王の孫にして鋭い視点で推理を行う少年。こういう周囲からいい目では見られないけど、実はすごい能力を持った少年好きです!詩亜は探偵王の養女にしてすでに数多くの実績をあげている探偵!普段は鋭くでクールで容赦なく事件を解決していく凄腕の探偵なのですが、オフではゲーマーで意外とピュアな一面も…こういうギャップに弱いんです…その他のキャラももちろん魅力的でした!

最後に
ど真ん中の学園ミステリとして楽しく読ませていただきました!これはぜひ長く続いてほしいですね!久しぶりにラノベのミステリですごい作品が出てきたと思いました!2巻も楽しみです!

どんな人にオススメか?
ミステリ好きな方は!ミステリあんまり読んだことのない方も謎に関する部分は太字で表現されるというデザインのおかげで楽しみやすくなっていると思います!もちろんキャラ同士の掛け合いやこの作品らしい終盤の盛り上がる解決編は見ていて楽しい!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する



著者

紙城境介



レーベル

MF文庫J


ISBN

978-4-04-682446-2




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは杉井光さんの

「世界でいちばん透きとおった物語」

です!
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☆感想☆

大御所ミステリ作家・宮内彰吾が亡くなった。大の遊び人であった彼は何人もの女性と関係を持ち、うち1人との間には隠し子がいた。宮内の隠し子である燈真は彼の死後、宮内の長男から連絡を受ける。宮内は死の直前まで小説を書いており、遺稿を探すのを手伝って欲しいという。親交のある編集者の霧子さんと共に遺稿を探すことになるが…

杉井光さんの新作!杉井光さんの大ファンなので新作めちゃくちゃ楽しみにしてました!杉井光さんの新作が読めるだけで生きる希望になりますね…今作は電子書籍が発売されず紙書籍だけという時点で何か仕掛けがあるのかな?と思っていましたが想像以上でした。この作品を執筆された途方もない苦労、そして編集さんに最上級の敬意を表します。こんな小説は下手したら一生読めないでしょう。凄まじい作品でした。

※ネタバレはしませんが、この作品を未読の方はぜひこれ以上感想を読まずに作品をご一読ください。何も知らないフラットな状態で読んでください。

物語は主人公の燈真が天涯孤独の身となるところから始まります。大御所ミステリ作家との不倫の末に生まれた子供である燈真。校正者である母親を亡くし、さらには会ったこともない父親も亡くしてしまいます。主人公の境遇は重たいですが、さらっと描いて重くしないあたり流石の杉井光さんですね。

物語は宮内の長男から遺稿を探して欲しいという依頼がくるところから動き始めます。「世界でいちばん透き通った物語」というタイトルの作品を死ぬ間際まで書いていた。それを探して欲しい。紆余曲折ありながらもその依頼を受けることになった燈真はかつて宮内が関係を持った女性たちに遺品を渡しながら遺稿へのヒントを少しずつ得ていきます。このあたりは王道の推理ものらしく、またミステリを数多く手がけられた杉井光さんということもありとても丁寧でしたね。

物語は中盤以降一気に動き出して…そしてこの物語に仕掛けらた謎が明かされます。それが明かされた瞬間、震えました。何度もこれまで読んだページをめくり直しました。これを、これを書くためにどれだけの時間を費やしたのか想像もできません。圧倒的でした。そしてラストのページがまたいいんですよ…杉井光さんの作品に衝撃を受けるのはもう何度目になるかわかりませんが10年間杉井光さんの作品を追ってきた中で最上級の驚きでした。

こんな作品、この人生でもう二度と読めないです。杉井光さん、編集さん、この本に携わった方々全てにお礼を言いたいです。最高の作品でした。やっぱり杉井光さんの作品が大好きです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

世界でいちばん透きとおった物語



著者

杉井光



レーベル

新潮文庫nex


ISBN

978-4-10180262-6

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



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