カテゴリ: ホラー・シリアス

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは甲田学人さんの

「ほうかごがかり」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、小学六年生の二森啓は突如ほうがごがかりという謎の係に選ばれる。そしてその日の慎也零時に突然学校のチャイムと共に異次元の学校に飛ばされてしまう。そこは《ほうかご》と呼ばれる空間でまだ名前のない学校の怪談《無名不思議》が跋扈する場所だった。啓を含めた6人の小学生は無名不思議を記録する存在として彼らと対峙することになるが…とこんな感じです!

〜学校の怪談〜

甲田学人さんの新作!電撃文庫で発売された「霊感少女は箱の中」がめちゃくちゃ好きだったので新作楽しみにしてました!今作も甲田学人さんの作品でしか味わえないホラー?メルヘン?を存分に堪能させていただきました!面白かったです!
まず序盤。啓がほうかごがかりに選ばれるところから物語は始まります。導入は本当に完璧でしたね…ほうかごという場所の異質さや奇妙さはもちろん啓というキャラクター、そして惺というかつての親友との再会、そしてほうかごで無名不思議を記録するという目的の提示…なんとなく怖くて気味が悪いけど読み進めてしまう。そんなパワーのある導入でしたね。そして啓はほうかごがかりとして無名不思議であるまっかっかさんを記録することに。日常まで侵食してくる彼らに絵という特技で対抗していく過程がめちゃくちゃよかったですね!母子家庭である啓の境遇にも触れながらただの怪異解決譚ではない、人間味溢れる物語が展開されていくのもグッドです!あとはやっぱり無名不思議の存在感ですよね…パッと見害がなさそうに見える彼らですが知っていくにつれて…こういうじわじわくるタイプのホラー大好きです。中盤以降は見城真絢という少女視点の物語になるのですがこれがまたいい…そして終わり方がものすごくいい…甲田学人さんの物語でしか味わえない極上のメルヘンを最後まで楽しませていただきました!面白かったです!

キャラ A
啓は絵が得意な小学生!最初は内向的な子かと思っていましたが、まっかっかさんに対抗していく度胸であったりは見ていてハラハラしましたね。惺はかつての啓の親友!かつて、といっても啓と距離をとった理由がほうかごが原因なら仕方ないですよね…リーダーシップ溢れる少年で頼り甲斐がありました!真絢は本当はいい子なんでしょうけどね…はい…

最後に
久しぶりに甲田学人さんの作品読めて大満足!じわじわくるホラー?メルヘン?を堪能できました!2巻は2月発売ということで今からめちゃくちゃ楽しみです!啓たちがほうかごをどう乗り越えていくのか楽しみです!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
ホラー好きな方は!グロいや怖いというよりは生理的に嫌な感じが続く感じなのである程度好き嫌いは分かれるかと思います。一方で読みやすい文章と引き込まれるほうかごを舞台にした物語はハマる人にはハマるはず!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

ほうかごがかり



著者

甲田学人



レーベル

電撃文庫


ISBN

978-4-04-915199-2

表紙画像のリンク先


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは和田正雪さんの

「夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない」

です!
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☆感想☆

大学4年生の春にして留年が決まっている米田学。かれは零細出版社のオカルト雑誌でライター兼雑用係としてアルバイトをしながら日々過ごしていた。そんなある日、ある怪事件の取材中に乃亜という赤い服を着た不思議な女性に出会う。大学院生だという彼女は両親が神隠しにあったことで自らも異界にいくことを夢見ていた。米田は乃亜とオカルトスポット巡りなどを通して距離を縮めていく。そして2人が付き合うようになった頃、後輩の地元に伝わる奇妙な祭りを取材するべく2人は後輩の実家がある山奥へ向かうことになるが…

カクヨムからの書籍化作品。この判型での書籍化は珍しいですね。メインはオカルトホラーといった感じですが、青春要素や恋愛要素もあって色々な角度からエンタメを楽しませてくれる作品でした。面白かったです!

物語は米田が乃亜と出会うところから始まります。ちゃんとダメな大学生である米田がオカルト雑誌のライター兼雑務としてアルバイトをしている。そんな彼の元に大学の後輩からオカルトネタが入ったので取材に行ってみると赤い服を着た乃亜に出会う…序盤から《結局1番怖いのは人間》みたいな要素の片鱗をガンガン見せてくれるのはいいですね。オカルトの種明かしはこれかよ…と思わせてからの「えっ」という要素を出してくるのも好きです。

乃亜に気に入られて紆余曲折の末に連絡先を交換した2人はオカルトスポット巡りを通して距離を縮めていきます。最初は異界に行くことを夢見る乃亜に引き気味だった米田ですが、徐々に彼女に惹かれていき2人は親密な関係に…さっぱりとしていてお互い磁石のように惹きつけ合うような関係が文系大学生の恋愛らしくて好きです。

オカルト要素もよかったですね。序盤の墓地に出る赤い服を着た女、トンネルの話、廃工場の話、そして山奥で行われる奇祭…直接的な恐怖というより畏怖を感じるような、そんなジャパニーズオカルトな感じがたまらないです。

物語はそんな山奥の奇祭のお話がひとつ山場。この祭り自体はどこかにありそうでなさそうなリアリティがすごくいいですね。そしてここからびっくりするような展開の連続。恐怖をくすぐられる展開はもちろん、最後はやっぱり人間が1番よくわからなくて怖いなと思いました。最後の一文も印象的です。

オカルトホラーをメインに恋愛も青春もある。そんな作品でした。単行本で少し値は張りますが、久しぶりにいいオカルトホラーでしたのでオススメしたいです。気になった方は。


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない



著者

和田正雪



レーベル

KADOKAWA


ISBN

978-4-04-113448-1

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは綾里けいしさんの「霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない」です!

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ストーリー A
内容は、かみさまという存在を崇め奉り利用することで生きる藤咲という家。そんな家に生まれかみさま候補として育てられながらも、神様になれなかった藤花は従者である藤咲朔と共に猟奇事件を調査する霊能探偵として活動していた。かみさまになれなかった藤花はその異能を使い、猟奇事件の裏に隠された秘密に触れていくが…とこんな感じです!

〜少女が見つめるのは死〜
綾里けいしさんの新作!あとがきによると綾里さんのデビュー作である「B.A.D」を本歌取りしつつ新しいお話を構築しているとのことで、結構気になっている方も多いのではないでしょうか。ちなみに僕はそちらは未読です…
閑話休題。
現代日本を舞台にオカルティックというより伝奇的な雰囲気が漂う作品として楽しく読ませていただきました!面白かったです!
お話の構成としては連作短編形式で物語が進んでいきます。幕間で藤花と朔の出会いや過去が描かれ、各章で奇妙な事件を解決する2人が描かれます。奇妙で、しかしどこか美しい事件に翻弄される業深い人々とそれを暴く藤花。そしてそのサポートをする朔。人の死に、存在しない霊的な存在に、異能に魅せられた人々が起こす事件の動機や結末はじわじわと効いてくるような不思議な読後感があります。とはいえ常に奇妙な事件に触れているわけではなく、藤花たちの楽しげな日常も描かれます。かみさまになれず本家を追い出され、朔のアパートで一緒に暮らすニートな藤花。そんな彼女が時にはアグレッシブに(食事の時だけ)時には駄々をこねて朔と困らせる姿は見ていて楽しかったですね!個人的には第4話にあたる人魚姫の恋というお話がめちゃくちゃ好きでした!人の望みは必ずしもその人の願った形で成就するとは限りませんよね…最後まで楽しく読ませていただいました!面白かったです!

キャラ A
朔は藤花の従者として頑張る普通の男の子。わがままな藤花に振り回されながらも頑張る朔の姿は思わず応援したくなりますね!藤花は不思議な力を持つ元かみさま候補の女の子。事件を解決するときの圧倒的な存在感と普段のダメニート感のギャップがグッドでした!

最後に
現代を舞台にした伝奇ものとして楽しく読ませていただきました!綾里さんのTwitterで2巻も決定したとお知らせがあったのでこれからの2人の活躍がますます楽しみですね!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
オカルトや伝奇が好きな方は!猟奇事件を調査する朔と藤花のやりとりや、猟奇事件の裏に隠された真実は読んでいてワクワクします!日常パートも楽しいです!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない



著者

綾里けいし



レーベル

ガガガ文庫

ISBN

978-4-09-453042-1
表紙の画像は「版元ドットコム」様より

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは空伏空人さんの「アリス・イン・ゾンビーランド ゾンビに撮影許可は必要ですか?」です!
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ストーリー A
内容は、映画好きの青年・江渡木は自分でも面白い映画を撮ろうと日々奮闘しているがネットでは酷評ばかり。そんなある日、彼は突然ゾンビ映画の世界に転移してしまう。そんな世界でゾンビに噛まれてもゾンビにならないアリスという少女に出会う。アリスに一目惚れをした江渡木は彼女を主人公に映画を撮ることを決める。ゾンビだらけの世界で2人は映画を撮るために旅をするが…とこんな感じです!

〜ゾンビ映画の世界で映画を撮る〜
空伏空人さんの新作!個人的に応援している作家さんなので新作めっちゃ楽しみにしていました!そしてこれでデビュー作から3作品続けてゾンビ登場ですねw ゾンビ好きですけどw ゾンビ映画の世界に転移してしまった主人公とアリスの旅がとても丁寧に描かれており、特にラストシーンが印象的な作品でした!面白かったです!
まず序盤。冴ない江渡木の姿が描かれます。自分の好きな映画に憧れて映画を撮り始めたはいいものの、ネットに挙げればクソ映画と酷評され持ち込みOKの映画館に行っても渋い顔をされ…でも江渡木のあきらめずにいい映画を撮ろうとする気持ちはグッドですよね。しかし突然、猫の姿をした神さまに導かれて江渡木はゾンビ映画の世界に転移してしまいます。そこで出会ったのが金髪シスターのアリス。ゾンビに噛まれてもゾンビにならない彼女をに一目惚れをした江渡木は彼女を主人公に映画を撮ることに!そして始まる2人の旅。神さまの声を聞けるというアリスに導かれてオアシスという場所を目指します。その道中で立ち寄るコミュニティで2人は様々な出会いと別れを繰り返します。ショッピングモールを根城にする集団、ゾンビと結婚式を挙げようとする女性、ゾンビを燃料に発電を行う人々、ゾンビを食べて暮らす人々、そしてゾンビに関する怪しげな研究をするオアシスというコミュニティ…ゾンビだらけの世界とは思えない明るい会話があったかと思えば、人間の醜さが容赦なく顔を覗かせる。アリスが誰かの命を大切にしようと、守ろうとするたびに襲いかかる死という現実。冷たく、残酷で感情のないゾンビの世界なのに確かに生きる人々がいる。冷徹さと人間味を一緒に感じる物語でしたね。ラストの展開は個人的に大好きでこの物語の終わり方もすごく好きでした。最後まで楽しく読ませていただいました!面白かったです1

キャラ A
江渡木は映画が大好きな青年。冴ない風貌で何か特殊な能力があるわけではありませんが、映画にかける情熱がすごくて個人的には好きな主人公でしたね。アリスはちょっと臭う系金髪シスター。いいですね…薄汚れたシスター…ゾンビにならないという抗体を持ち神さまの声を聞くことができる。普段はゾンビだらけの世界を明るくしてくれるかわいい女の子でした!

最後に
ゾンビだらけの世界を旅して映画を撮るという作者の好き!を感じられる作品でした!続刊出るなら読みたいですね…空伏さんの作品はなんでもいいからとにかく読みたいので17年後と言わずに17週後くらいにお願いします…!

どんな人にオススメか?
ゾンビものが好きな方は!ゾンビだらけの世界でどこか明るくてやっぱりどこまでも残酷で容赦のない映画を撮る旅が描かれます!江渡木もアリスも魅力的でこの世界でたどり着く終わりはとても印象的です!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



アリス・イン・ゾンビーランド ゾンビに撮影許可は必要ですか?



著者



空伏空人



レーベル



電撃の新文芸



ISBN



978-4-04-913788-0


表紙の画像は「版元ドットコム」様より




どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは高橋佐理さんの「赤いパーカーの花子さんとカゲフミさま」です!
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中学に入学したばかりの千明は目立つことが苦手な大人しい女の子。ある日、クラスの男の子・瑞樹に誘われて天文部という名のオカルト部へと足を踏み入れる。そこで学校の怪談の一つ真っ赤なパーカーを着た花子さんの話を知る。花子さんを探しに行こうという話になり女子トイレを探すがそこには誰もおらず奇妙な音だけが聞こえた。しかしその日から千明の日常は一変する。千明をいじめようとしていたクラスメイトがなぜか千明と仲良くしようとしたり、他のクラスメイトの女子を突き飛ばしたり…その原因はカゲフミ様という学校の怪談だと考えた千明たち。真っ赤なパーカーの花子さんも現れ、千明たちは花子さんと協力してカゲフミさまと戦うことになるが…

富士見ファンタジア文庫で「さよなら異世界、またきて明日」や「放課後は、異世界喫茶でコーヒーを」を発表されている風見鶏さんの別名義作品。レーベル的には児童書?YA?な感じです。朝読書にオススメだから読書タイムっていうみたいですね。
肝心の作品ですが、オカルト×ホラーな学園ものでとても読やすく大人でも楽しく読ませていただきました!面白かったです!

中学に入学したばかりの千明は目立つことが苦手な大人しい女の子。そんな彼女がいじめのターゲットにされかけ、そして読書好きの瑞樹とオカルト大好きなスバルと出会うところから物語は動きだします。

千明をイジメのターゲットにしようとしていたクラスメイトたちがなぜか急に親しくなりはじめ、さらには千明をいじめようとしていた他のクラスメイトを突き飛ばしたり…そんな奇妙な事件が起こります。このあたりのイジメ描写はなかなかリアリティがあり、ある意味花子さんやカゲフミさまより怖かったですね…いつだって1番怖いのは人間です…

そんな中、学校の怪談と噂されていた赤いパーカーの花子さんに出会い千明たちは協力関係となります。クラスメイトが豹変した理由はカゲフミさまという別に学校の怪談だと考えた千明、瑞樹、スバルの3人はカゲフミさまを倒すために行動を始めます。

終盤は千明の過去を交えながらしっかりと問題が解決されて、エピローグも爽やかで非常によかったですね!児童書?YA?なので読む前はちょっとどうかな?とおもっていましたが大人もしっかり楽しめました。気になった方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



赤いパーカーの花子さんとカゲフミさま



著者



佐藤佐理



レーベル



カドカワ読書タイム



ISBN



978-4-04-680132-6


表紙の画像は「版元ドットコム」様より



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