カテゴリ: セカイ系

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは小田一文さんの「貴サークルは"救世主"に配置されました」です!
IMG_4469
ストーリー A
内容は、とあるアニメの同人活動を2年続けるもなかなか頒布数が伸びない星夜騎士というPNで活動する大学生。しかし彼の運命はある同人誌即売会で変わっていくことに。当然現れたヒメという女子高生に魔王の復活を止める存在だと言われる。最初は半信半疑だったものの、ヒメが化け物と戦う姿を見てそのことを信じる星夜騎士。しかし魔王の復活を止めるには冬コミで新刊100部を完売必要があった。2年間で6部しか頒布できていない星夜騎士は果たして100部を頒布し切ることができるのか…とこんな感じです!

〜同人誌を100部売れば世界は救われる⁉︎〜
第12回GA文庫大賞金賞受賞作!コロナ禍でちょっと厳しい同人誌を取り入れたお話でしたね。自分の同人活動が世界の命運に?という珍しい設定を余すことなく書き切った作品でした!面白かったです!
とあるアニメのカップリングを2年間ひたすら書き続けるも頒布数は通算で6部という星夜騎士。僕もライトノベルの評論で同人活動している身(現在コロナ禍で中断中)なんですけど、最初の即売会で頒布したのは12部でしたね…懐かしい…てか星夜騎士さんその半分しか頒布できてないんですか…僕みたいに文章じゃなくて絵なのに…
閑話休題。
そんな星夜騎士の前に現れたのはかわいい女子高生。しかし突然「あなたは世界を救うために必要な人です!」というようなことを言われます。最初はもちろん疑う星夜騎士ですが、彼女のあまりにも熱心なお願いと魔王の手先である化け物の姿を見て納得することに。そして予言から星夜騎士は冬コミで100部新刊を頒布することに。しかも頒布できなければ魔王が復活してしまう…ということで星夜騎士はヒメの力も借りながら同人誌を制作していきます。ここからはとにかく熱かったですね!Twitterで認知してもらうために毎日5枚もイラスト描いて、もちろん同人誌もせっせと制作して、自分の限界を超えて頑張っていく。そうですよね。同人活動ってこういう熱がこもってるんですよね…解釈違いで喧嘩したり、世界を救うことなんかよりも自分の好きを誰かと共有したい気持ちを優先したり…こういうドロドロとした熱をぶつけたものが同人誌ですよね…そして冬コミ当日。星夜騎士にとっては勝負の、そして世界にとっては魔王が復活するか否かをかけた勝負が始まります。冬コミの描写も見事でしたね…うんすごくいいです。ラストは世界の命運と同人誌の完売というどう繋がるかわからなかったところがきちんとつながって素晴らしいエンディングを迎えていました!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
星夜騎士は最初は本当にしょうもないうだつの上がらない大学生同人作家という感じでしたが、ヒメの指導の元どんどん同人作家として人間味を増していきましたね…ヒメは最初はかなり突拍子もないことをいうのでエキセントリックなイメージがありましたが、どこまでも星夜騎士を支える最高のヒロインでした!

最後に
同人活動×世界の命運というどう繋がるかわからない二つの要素がストーリーを通して見事に繋がるいい作品でした!まだ回収されていない伏線もあるのでぜひ2巻も読みたいですね!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
同人活動している、興味がある方はぜひ読んでみてください!すっごく熱く同人誌に向き合う星夜騎士の姿がめっちゃいいです!同人活動と世界の命運という繋がらなさそうな要素がストーリーを通してがっちりと噛み合うのもグッド!気になったかたはぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



貴サークルは"救世主"に配置されました



著者



小田一文



レーベル



GA文庫



ISBN



978-4-8156-0887-3


表紙の画像は「版元ドットコム」様より




どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは鏡征爾さんの「雪の名前はカレンシリーズ」です!
img_9784065218624_1
ストーリー A
内容は、異世界から襲来する「冬時間」と呼ばれる転生生物を感情を代償にして迎撃する人工天使の少女たち。語り部の四季オリガミはそんな少女たちのメンテナンスを行うカオナシとして日々ゴミのように扱われながら生きていた。そんなある日、最強の人工天使・赤朽葉カレンと出会ったことで彼の運命は変わっていく。感情を教えてほしいという彼女と共に戦い、そして失う。オリガ戦役記念都市を舞台にした物語が開幕する。とこんな感じです。

〜これは赤朽葉カレンを失う物語〜
講談社BOXの新人賞を受賞しデビューした鏡征爾さんの最新作。講談社ラノベ文庫はこうして講談社の色のある作家さんの作品を年1で最低出してくれるので好きです。ゼロ年代、ファウスト、世界系、君と僕、世界と自分、自意識…そんな僕らがかつて歩んできた、一片に触れてきた要素が散りばめられた素晴らしい作品でした。すごく面白かったです!
異世界から襲来する冬時間という襲撃者。それを撃退する兵器である少女たち人工天使、人工天使を整備する顔のない少年たち、彼らの舞台となるオリガ戦役記念都市。オリガミは戦いと少女たちの失われた感情だけがリアルな世界でカレンと出会い、恋にもならない感情を通じ合わせて、そして失います。
ここから先はすごく個人的な感想ですが、この作品は物語を楽しむ作品ではないと思います。断片的な、それこそ作中でオリガミが書く詩のような文章の束を一節一節を味わい、そこで生きるオリガミやカレンに触れて、優しいのに暴力的で清楚なのに耽美な文章に酔う。まだ十代だった頃の憧れとか憧憬とか、思春期の自意識とか、そんな何もかもを射影して投影して「あぁこれが欲しかったんだな」って思うような、そんな感情を求めるような作品だと思います。ゼロ年代的でファウストの遺伝子を感じて…カレンという圧倒的な存在感のヒロインを失うための物語。多くは語れないですが本当に傑作だと思います。最後の一行まで本当に素晴らしい作品でした!面白かったです!

キャラ A
キャラも説明しづらいのですが、カレンはこの物語の圧倒的ヒロインでした。最強の人工天使として数多の冬時間を滅ぼし、オリガミに感情を求めて、オリガミに温もりと繋がりを求めて、そして失われていく。圧倒的存在感。圧倒的ヒロイン性でした。

最後に
めっちゃ面白かったです!ちょっと言葉にしづらいですが、なんとなくずっと求めていた待ち望んでいた作品でした。1巻で綺麗に纏まっているので続刊はないですかね…?鏡さんの作品は次回作もぜひ読みたいです!

どんな人にオススメか?
ゼロ年代、ファウスト、講談社BOX、セカイ系。このあたりのキーワードにピンときた方は!どこか断片的で詩のような物語の中で描かれるカレンを失うお話はきっと鮮烈な読書体験を残してくれるはずです。気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



雪の名前はカレンシリーズ



著者



鏡征爾



レーベル



講談社ラノベ文庫



ISBN



978-4-04-06-521862-4


表紙の画像は「版元ドットコム」様より




どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは作者さんの「日和ちゃんのお願いは絶対 1」です!
IMG_3469

ストーリー A
内容は、海と山と坂が広がる瀬戸内海の街・尾道。そんな街に暮らす頃橋深春はある日、クラスメイの葉群日和に告白される。最初は彼女からの告白を断ろうとする深春だが、日和が落としたお願い帳を拾ったことで運命は変わっていく。日和はお願いをするだけでなんでも人に言うことを聞かせることのできる能力の持ち主だったのだ。そんな日和のことを知り晴れて付き合うことになった2人。放課後デートして、日和の住む向島で遊んで…でもそんな日々は日和が所属する世界を変えてしまうような組織と日和の能力がきっかけで少しずつ壊れはじめて…とこんな感じです!

〜このお願いは絶対〜
岬鷺宮さんの新作!セカイ系!好き!セカイ系というと未だに蔑称だったりジャンル定義がなかったりでなかなか「この作品はセカイ系!」ということが言いづらいのですが(^_^;)個人的には岬鷺宮さんのセカイ系は「墜落乙女ジヱノサヰド」の頃から読みたかったですし(あの作品を読んだ時に一岬鷺宮ファンとしてはこういう作品を書いてほしいなと思っていました)こうして読んで「あぁセカイ系だ」と納得できる作品を読めて大満足でした!面白かったです!
瀬戸内海に面した尾道を舞台にした作品!いいですね!こういうご当地要素が入った作品!海と山と坂で暮らす人々の存在が目に浮かびます!物語は日和ちゃんが告白するシーンから始まります!いいですね〜こういう天然っぽくて小動物っぽい女の子が一生懸命告白するの…好きです…最初は日和のことを好きではないからという理由で断ろうと考える深春ですが、彼女の落としたお願い帳をきっかけにその判断は変わります。なんでもお願いに従わせることができる能力、世界の見えないでもはっきりとした悪意と戦う組織に所属する日和…知ってしまった深春は日和と付き合うことに。平凡で当たり前がちょっと特別な恋人関係。しかしそれは日常に紛れ込む異物によって破壊されていきます。78、79pの見開きは秀逸でしたねー…まさにセカイ系というような始まりでした。世界を変える能力がある日和の彼氏なら自分も世界を変えられるかもしれない。そんな期待と日和への感情。でも世界は残酷で取り返しのつかないものを選ぶための選択を要求します。あの時あんなことをしなければ…その後悔すら日和がお願いで全部なかったことにする。日常へ強制送還しようとする。すごく危なくて青臭い考えで痛いのに、どうしようもなく脳に響きます。ラストは多分これはハッピーエンドではなくなる道を選択してしまったんですよね…キーパーソンは幼なじみでしたか…セカイ系の始まりの1巻としてこの上なく完璧で最高に面白い作品でした!

キャラ A
日和ちゃんは小動物系でちょっと天然で優柔不断で…と守ってあげたくなる系女子なんですけど、お願いという能力で逆に世界を守っているのが…せめて日和ちゃんが幸せだと思えるラストにたどり着くために自分の感情には正直に生きていてほしいですね…深春はどうしてこんな奴が?って思う部分もあるのですが、こういう勢いがついている青い考えがこの作品の主人公らしくもありますね…

最後に
これは続いてほしいというか綺麗に完結することを願うばかりです。令和のセカイ系作品として後世に名が残るポテンシャルはあるので続刊が楽しみです!

どんな人にオススメか?
セカイ系とかわからん…という方もとりあえず女の子と男の子の恋愛が好きなら手にとってみてください!ゼロ年代セカイ系と呼ばれる作品に熱狂した方ならぜったいにハマります。僕と握手しましょう!気になったらぜひご一読を!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



日和ちゃんのお願いは絶対 1



著者



岬鷺宮



レーベル



電撃文庫



ISBN



978-4-04-913184-0


表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています。

さて、今回紹介するのは夏海公司さんの「ワールドエンドの探索指南」です!
⚠︎今回はネタバレありです。
FullSizeRender

ストーリー A
内容は、丘の上に立つ《学園》そこでは生徒たちが学園の周囲に広がる無人の街を調べるべく毎日探索を行っていた。地図を書き、危険な場所を記し、そしてミサキという化け物を倒すことで生活に必要なものを購入できるポイントを手に入れていた。そんな探索者と呼ばれる生徒たちの中で連続して所属していたチームが壊滅してしまったタイキ。彼はヤヒロという奇妙な少女と新たなチームに参加することになるが…とこんな感じです!
ジャンルはセカイ系だと個人的には思ってますが…まあその辺りは読んだ方次第ですね。
初挑戦の夏海公司さんの作品!これまでタイミングがなくて、今回が初読みになりましたが面白かったです!というかまさかこういう作品とは(^_^;)予想と全然違っていました。
丘の上に立つ《学園》という施設で生活する生徒たち。彼らの中で探索者と呼ばれる生徒は6人でチームを作り、《学園》の周囲に広がる無人の街を調査していた…という設定がはちゃめちゃに好きですね!セカイ系を感じます!そして物語は主人公のタイキが所属するチームがミサキという化け物に襲われて全滅するところから始まります。これはかなり衝撃的でしたね…そして紆余曲折の末にヤヒロという問題児と共に新たなチームに参加して探索を再開!しかしヤヒロは《学園》の生徒たちが疑問にも思っていなかったことを疑問に思い始めます。そしてぶつかる世界の謎。探索報酬の支払い率の低下、足りているのに上がる物資の値段、進化するミサキ、ミサキに対抗するためのドーピング剤ツキソメの秘密、学園を支配する執行部の秘密…物語はいつのまにか対世界の構造を見せ始め、そして終盤へ。終盤で明かされた真実と、読み始めた時には全く予想もしていなかった結末に最後まで夢中になって読んでしまいました。個人的にはすごくセカイ系な作品だと思ってました。面白かったです!

キャラ A
タイキの鋭さというか思考回路が良かったです!こういう頭のキレる主人公は好きです!ヤヒロは可愛かったですね!人間あるまじき剛力に反して甘いものが好きで、精神的にもタフ!小さな女の子が鉄でできた銃剣振り回すのもロマンがありました!

今後の期待度 A
終わり方は綺麗ですけど、まだ明かされていない?秘密?もありますし、2巻が出るなら読んでみたいです!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
セカイ系とか好きな方はぜひ!この作品の魅力は一言では説明しづらいのですが、ハマる人は絶対にハマります!オススメです!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

↓下の画像を保存して書店での予約・取り寄せ・検索にご利用ください!
IMG_4535

ISBN 978-4-04-912523-8

どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)
明日から大学が始まります…嫌というわけではありませんけど、非常に面倒です…

さて、今回紹介するのは銀杏さんの「くじらな彼女に俺の青春がぶち壊されそうになっています」です!

ストーリー A
第22回電撃小説大賞応募作からの拾い上げ。
内容は海宝高校の二年生鳴瀬海人が一年生の笹美々めめにマッコウクジラ団なるものに入部させられ、学校で起きる奇妙な事件を追っていくことになる…というもの。
最初はラブコメかと思っていましたけど、セカイ系香る奇天烈学園異能バトルでした。
これはまたすごい作品を…いえ、ストーリー自体は古事記の海幸山幸をベースに作られていて面白いんですけど、なんせバトルがすごいです。登場人物にはそれぞれ海の生き物が憑いていて、その力を借りて戦うんですけど…読めばわかりますが、ものすごいことになっています。ストーリー自体はアクがありつつも構成がよかったです。全体的にふわふわとした謎の雰囲気と、セカイ系っぽいというか懐かしの学園ものにスパイスを効かせた作品というか…説明が難しいんですけど、好みがかなり別れそうな作品です。ちなみに僕は大好きです!

キャラ B
メインヒロインのめめの魅力が伝わる前にあのラストになってしまったのが個人的には残念でした…もう少し海人の気をひくというか、海人がめめをヒロインとしてどう思っているかの描写があれば…あと、ヒロイン要素がめめの兄ととと、四方屋さんに二分されてしまっていたのが…キャラ自体は悪くなかったんですけど、めめが色々惜しいのと、ヒロイン要素というかヒロイン力が分散されてしまっていたのが個人的には…

今後の期待度 A
続きがあるならぜひとも読みたいんですけど…この終わり方だと難しいですかね…? 待ってます…

どんな人にオススメか?
セカイ系が好きな方はハマると思います。かなり独特というか、驚くようなことが平然と行われているような描写があるので、それが嫌になってしまうかもしれませんが、好きな方は好きな作品だと思うので興味のある方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。) 

↑このページのトップヘ