カテゴリ: 恋愛

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは砂村かいりさんの

「アパートたまゆら」

です!
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☆感想☆

潔癖症故になかなか異性との関係を進められない27歳のOL・木南紗子。彼女はある日、友達を飲んだ帰りにお店に自宅の鍵を忘れてきてしまう。部屋に入れずに途方にくれていると、隣室の男性・琴引と出会う。泊めてくれるという琴引の提案を思い切って受けると、潔癖症の自分でも琴引に惹かれていることを自覚する。それ以降時々会話するようになった2人の距離は徐々に縮まるが…

砂村かいりさんのデビュー作!KADOKAWAから発売された作品を創元文芸文庫で文庫化したものになります。実は発売当初くらいには購入していたのですが、なかなか読む分きりがつかずに今になってしまいました。純愛な恋愛小説として楽しく拝読させていただきました。面白かったです。

まずは木南の日常や彼女についてが描かれていきます。27歳のOLでコールセンター勤務。仕事は順調なものの、潔癖症ゆえに男性との恋愛関係がなかなか進展しない。高校生活の最後に初体験こそ済ませているが、それはどこか義務的なもので社会人になってからは…
28歳社畜男性の私にはなかなか生々しいとも思える木南の日常や初体験のエピソードは正直少し引き気味に読んでいました。序盤イマイチ乗り切れなかった理由の一つはここです。

そしてもう一つイマイチ乗り切れなかったシーンの一つである木南がアパートの隣室に住む琴引の家へのお泊まりエピソードが描かれます。確かに琴引はイケメンでちゃんと紳士的な振る舞いをしていますが、除菌スプレーを持ち歩くほど潔癖症な木南がネットカフェやビジネスホテル、友達の家に泊めてもらうよりも優先してほぼ初対面の男性の家に泊まるか?と純粋な疑問がありました。とはいえ、ここで木南が琴引の家に止まらないと物語は進まないのですが…

以降は木南と琴引が惹かれ合う関係が描かれていきます。琴引にとって恋敵となる木南の初体験の相手・久米が登場して一波乱も二波乱もあったり、木南の親友である美冬と彼女の彼氏に関して問題が起こったり…そんなサイドエピソードの中で、木南が自分の潔癖を忘れてしまうほどに琴引に惹かれ、琴引もまた木南に惹かれていく過程が描かれていきます。2人がアパートの壁一枚を隔てて少しだけ不器用に距離を縮めあう。そんな2人の姿がよかったです。

個人的に印象に残ったのが木南と琴引が一緒に美冬の彼氏である舞台役者の演劇を見に行くシーン。こういう感性が一致する瞬間が、恋愛の一つ醍醐味的なところありますよね。

この作品のもう一つ好きなところはアパートたまゆらに住む個性的な住人たちです。いつもカレーを作っていて、時々住人に振る舞う府川さん。シングルマザーな佐藤さんとその息子であるマナトくん。木南のもう1人の隣人であるちょっと怪しい女性・多田…個性的な住人たちは決して出番は多くないものの印象に残るシーンが多く、この作品のタイトルである「アパートたまゆら」をよく表していると感じました。

木南と琴引の恋は終始純愛で混じり気がなく、最初の28歳男性読者である私の個人的なハードルの高さを除けば総じて読んでいて楽しい恋愛小説でした。また砂村さんの作品を読んでみたいと思います。オススメです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

アパートたまゆら



著者

砂村かいり



レーベル

創元文芸文庫


ISBN

978-4-488-80309-4

表紙画像のリンク先


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは落合裕輔さんの

「雨のちギャル、ときどき恋。」

です!
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☆感想☆

ストーリー B
内容は、広告代理店で働く南雲晃。彼はある雨の日、家の前に突然現れた疎遠となっていた義理の姪である美雨を助けることに。帰るところがないという美雨を家に住まわせることにする晃だが、幼い頃に仲の良かった美雨はすっかり大学生のギャルになっていて…姪と叔父の同居生活が始まる!とこんな感じです!

〜義理の姪が居候を始めたら〜

落合祐輔さんの新作!落合さんの作品を読むのは「俺の姪は将来、どんな相手と結婚するんだろう? 」以来ですね。義理の姪と叔父というちょっと珍しい関係性の同居ものそれ自体は楽しく読ませていただいたのですが、個人的に色々と物足りない箇所がありnot for meでした。以後面白いとは言わないので見たくない方はブラウザバックで。
まずこれだけは言いたいのですが、決して面白くないわけではないです。義理の姪と叔父というほぼ他人みたいだけど他人じゃないみたいな複雑な関係性を丁寧に描いていますし、文章もめちゃくちゃ読みやすくてキャラクターも魅力的だと思います。

でもどの角度から物語を見ても色々ワンパンチもの足りないです。

ラブコメとしてみるとラブもコメも足りなければドキドキするようなシーンもない。恋愛ものとして見るなら恋愛関連の描写が少なすぎる。青春ものとしては晃が社会人すぎる。ヒューマンドラマとして見ても劇的なのは美雨が実質的な天涯孤独の身になった過去ばかりで、今へのフォーカスが少ない。日常ものや生活ものとしてみると、2人で暮らしているというシーンが足りなさすぎます。もちろん家事とかはしたりしてるんですけどね…物語を通して2人の関係性が劇的に変わるわけでもない。ずっと時速40キロみたいな物語な気がしてしまいました…結局この作品を僕はどうやって読めばいいかわかりませんでした。あと謎にラッキースケベが2回も入っていたのもよくわかりませんでした…この物語ってそういうお色気路線とかでやりたいんでしたっけ…?一回はともかく2回は…少しでも劇的な展開があれば印象が違った気がしてならないです。個人的にはスラスラと読めすぎてしまって悪い意味で引っ掛かりを覚えない作品でした。

キャラ A
前述の通りキャラは魅力的です。仕事もできて後輩からも慕われていて美雨に無条件に優しい晃、ギャルな見た目と反して自律して生きていこうとするたくましい美雨。それだけに物語がキャラに追いついていない気がしてならないです。

最後に
個人的には今作は微妙でした。ただ落合さんの作品は好きなので次回作は読もうと思います。

どんな人にオススメか?
個人的にはオススメしません。気になった方は試し読みの上で。原作のYouTube見てるなら印象違うかもしれません。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

雨のちギャル、ときどき恋。



著者

落合祐輔



レーベル

ガガガ文庫


ISBN

978-4-09-453209-8

表紙画像のリンク先


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さて、今回感想を書いていくのは三河ごーすとさんの

「義妹生活10」

です!
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前巻の記事↓

☆感想☆

ストーリー A
内容は、高校生活最後の夏休みに入った悠太と沙季。夏休みという時間を利用して悠太を遊びに誘いたい沙季だが、勉強に集中しようとする悠太を前になかなか切り出せずにいた。そんなある日、読売先輩からデイキャンプのお誘いが。悠太と沙季はバイト先の後輩である小園絵里奈と一緒にキャンプに向かうことになるが、沙季のモヤモヤが止まらずに…2人はどんな夏休みを過ごしていくのか…とこんな感じです!

〜高校生活3回目の夏休み〜

シリーズ第10弾!1巻読んだ当初はここまで続くとは思っていなかったので2桁巻数はなんだか感慨深いですね…色々あってすっかり読むのが遅くなってしまいましたが、今回も悠太と沙季の等身大の恋愛と生活が描かれていて楽しく読ませていただきました!面白かったです!
まず序盤。悠太と沙季が読売先輩からデイキャンプに誘われるところから物語は始まります!悠太が友達が増えたこととか回想するシーンは1巻のことを思い返すとなんだか感慨深いですね…小園さんもしっかり悠太と読売先輩に馴染んでいましたね!まぁそんなところにモヤモヤを感じるのが沙季らしいんですけど。沙季の内心は恋する少女全開でかわいいですね。お話は悠太と沙季の視点を交互に入れ替えながら進んでいきます。デイキャンプ前の買い物では悠太が沙季の求めているものを理解したり、沙季は沙季で悠太がどういう人間なのかを理解したり。デイキャンプではちょっとしたハプニングをきっかけに冷静になれない沙季に対して、悠太はあたふたとしながらも意外と冷静?だったり…同じ場面で同じ会話をしているのに見えている世界は全然違って、その面白さがこの作品の魅力だなと感じます。お話は悠太が勉強合宿でしばらく不在にしたことで図らずとも進んでいきます。悠太は自己肯定感の低さ所以の現状に悩んでいて、沙季は自分の中に生まれてしまった悠太に対するモヤモヤと戦いながら過ごしていく。こうした悩み自体は大なり小なり通り過ぎた身なので、どこかでなんだか青春してるなーと思ってしまうんですけど、彼らにとってはその感情がリアルで今を真剣に悩んで向き合っているんだなということが伝わってきますね。悠太と沙季のすれ違いにも満たないお互いのうまくいっていない感じも最後はしっかりと言葉にして擦り合わせていくのがよかったです。ラストは去年の夏とはまた違う2人の姿があって胸にくるものがありました!今回も最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
悠太は自己肯定感低そうですけど、理知的なタイプだと思っていたので今回の勉強合宿での行動は意外でしたね…10巻にしてまた彼の人間らしい部分を見た気がします。沙季は1巻あたりの戦闘モードを思うと恋する少女でかわいいなーと度々悶絶させられましたね!小園さんにジェラシー感じてるの可愛かったです!読売先輩や小園さんをはじめとしたキャラも魅力的でした!

最後に
今回も楽しく読ませていただきました!11巻も買ってあるので早めに読みます…!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

義妹生活10



著者

三河ごーすと



レーベル

MF文庫J


ISBN

978-4-04-683233-7

表紙画像のリンク先


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さて、今回感想を書いていくのは入間人間さんの

「人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話」

です!
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☆感想☆

ストーリー AA
内容は、二十代後半の既婚者高校教師・苺原樹。平凡な教師生活と安定した結婚生活を送る彼女は、ある日の夜ヨアソビをしている担任のクラスの生徒・戸川凛に出会う。過程環境に問題がある彼女を気にかけていくうちに徐々に彼女との距離が縮まっていく。最初はキャッチボールをするだけだったのに、いつしか2人でいることが特別になっていき…とこんな感じです!

〜せんせぇと呼ばれる度に堕ちていく〜

入間人間さんの新作!入間人間さんの百合は定期摂取しないと死んじゃうので百合の新作ありがたすぎますね…まず合わせてください…

最高

いや…これは凄まじい作品が出てきました。全日本百合ラノベ協会南関東支部副部長完敗です。こんな百合ラノベ読める日がくるなんて思っていなかったです。2024年最高傑作にして百合ラノベ史上でも5本の指に入る作品でしょう。最高に面白い。ただそれだけです。
まず序盤。樹が夜遊びをしている凛に出会うところから物語は始まります!この出会いがこの後の2人の関係の始まりだとは…夜遊びをする生徒とそれを注意する教師の関係だったんですけどね…凛の過程環境に問題があることを知った樹は、一緒に昼食を食べながら彼女に向き合っていきます。最初は一緒にお昼ご飯を食べたりキャッチボールをするだけだった関係。しかし自分よりも背が高くて美人な凛に「せんせぇ」と呼ばれる度に樹の中の境界が崩れていきます。校内で手を繋ぐようになり、連絡先を交換するようになり…この堕ちていく過程がすごくよかったですね!こんなの虜になっちゃいますよ!そんな樹の理性が決定的に壊れる瞬間が諸事情あってキャバクラに連れて行かれてベロベロになった樹が凛の家に泊まったシーン。酔った樹が凛にトイレの介助をされていたことが判明する瞬間があまりにもゴミクズで最高に好きです!こういう真面目ぶった人間のゴミクズさが白日の元に晒されるの非常に良きですよね!そしてここからはさらに樹が堕ちていきます!凛のことを常に考えるようになり、彼女の家に行ったり、ますます凛が樹に「せんせぇ」「せんせぇ」と甘えることを、樹を求めることを言い訳にしてどんどん落ちていく…もう止まれない。結婚しているとか、生徒と教師であるとか、未成年と成人済みであるとか、全ての歯止めが効かなくなっていく。その過程が、最後のあまりにも背徳的なシーンが、読者を狂わせます。そして最後でとんでもない爆弾をおいていく…もう本当にダメ。ダメですよ。こんな百合は。逮捕です。でもあまりのも最高すぎます。今年No.1と自信を持ってオススメできます!最高でした!

キャラ AA
樹は二十代後半の女性教師!結婚もしていて生徒からもかわいいと人気があって、教師としても真面目で…といい大人なのですが、そのいい大人がどんどん落ちていくのが背徳的な魅力がありますよね…あとキャバクラ泥酔事件でのおしっこ先生が最高でした!凛は綺麗で背が高くて大人っぽい女子高生。せんせぇ、せんせぇと樹に甘えて彼女を落とす悪い女子高生です。でもかわいいからOK!あと星高空!お前なんでここにおるんじゃい!入間人間ファンとしては嬉しいですけど!

最後に
とんでもない百合作品が出てきました。2024年新作ラノベNo.1はこの作品に決まりです。ぜひ続刊を出して樹をどんどん堕としてダメにしてほしいです。続刊無限に待ってます!

どんな人にオススメか?
百合好きなら、百合が大丈夫ならとにかく読んでください!面白さは保証します!この作品を読まずしてラノベの百合は語れません!気になった方はぜひ!今回だけは僕を信じてください!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話



著者

入間人間



レーベル

電撃文庫


ISBN

978-4-04-915806-9

表紙画像のリンク先


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのはMikuraさんの

「暗殺者は不死の魔女を殺したい」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、不老不死の体を持つ魔女のララニカは人目につかない森の奥でひっそりと暮らしていた。そんなある日、死にかけていた少年・ノクスを拾う。ララニカの介護のおかげで回復したノクスだが、主人に捨てられ帰る場所がないと言う。ノクスに生きる術を教えながら一緒に生活をしていく2人。ノクスは自分を救ってくれたララニカに恋心を抱くようになるが、不死のララニカは人間を信用しておらずノクスの気持ちを受け取ることを拒否する。どうしてもララニカへの想いを諦めきれないノクスは暗殺者となりララニカを殺す方法を見つけて結婚しようとするが…とこんな感じです!

〜死なない魔女を殺す方法〜

Mikuraさんの新作!個人的には初挑戦の作家さんですね。Twitterなどで仲良くさせていただいているkyoikyoiさんからいただきました。ありがとうございます。まさに純愛というような不死のララニカとなんとか結婚しようと奮闘するノクスが愛おしい恋愛ものでした!面白かったです!
まず序盤。幼いノクスがララニカに拾われ、一緒に生活するところから物語は始まります。不老不死故に過去に辛い思いをたくさん経験し、人間不信となり森の奥でひっそりと暮らすララニカ。彼女は孤独というよりも孤高といった感じでしたね。そんなララニカが救ったノクスは主人から酷い扱いを受けた末に瀕死の状態で森に捨てられるというなかなかハードな始まり方…しかし名前のなかったノクスにノクスという名前を与え森で生活していくうちに2人は良い師弟となります。このあたりは微笑ましい関係性でしたね。しかし長い時間を一緒に過ごす間にララニカへの恋心を自覚してしまったノクスは彼女に必死にアピールすることに。しかし幼い+不老不死ゆえに辛い経験をしてきたララニカはノクスの想いを受け取ることはしません。このあたりノクス目線からだとなかなか辛いですよね…しかしそんなことでノクスは諦めません。家を出たノクスは暗殺者となり殺しの技術を磨いてなんとかララニカを殺す方法を見つけて彼女と結婚しようとします。ここまで熱い純愛と暗殺者になるという斜め上の発送はノクスならではですよね…成長したノクスとララニカの過ごす日々はほのかに甘く、そしてララニカもノクスに惹かれていき…ノクスがどれだけ頑張ったか知っている分、ララニカの感情の変化には思わずニヤニヤしちゃいますね!終盤ではララニカを殺すための方法を聞きつけた2人が旅へ…もういうことないくらい最高のラストで最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
ララニカは不老不死の魔女。魔女と言っても魔法を使ったりではなく、賢人という感じの女性でしたね。死なない故にとんでもない無理をしたり、ノクスへの気持ちの変化がかわいい女性でした!ノクスは真っ直ぐな青年!少年期の辛い思い出を乗り越えてララニカのために暗殺者になり、なんとかして彼女と結ばれたいと願う気持ちがあまりにもピュアでした!

最後に
ものすごく真っ直ぐな純愛ものとして楽しく読ませていただきました!綺麗に終わっていますし1巻完結ですかね?Mikuraさんの作品はぜひまた読みたいです!

どんな人にオススメか?
純愛ものが好きな方は!ララニカとノクスの変化していく関係と、ノクスの変わらない恋心が魅力の作品です!普段男性向けばかりという方でも読みやすいと思います!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

暗殺者は不死の魔女を殺したい



著者

Mikura



レーベル

オーバーラップノベルスf


ISBN

978-4-8240-0892-3

表紙画像のリンク先


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