カテゴリ: 青春もの

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは雨宮和希さんの

「秘密の青春は夜の学校で」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、ぼっちな高校生一年生・水瀬修斗は家庭の事情から家に帰りたくない高校生活を送っていた。所属しているバスケ部の自主練で夜遅くまで学校に残る日々の中、彼に声をかける人が。なんと修斗に声をかけてきたのは才色兼備な女子バスケ部の月見楓だった。彼女に誘われた体育館倉庫には修斗と同じく家に帰りたくない3人の男女が集まっていた。家に帰りたくない少年少女たちが集まる夜の学校で青春が始まる!とこんな感じです!

〜家に帰りたくない彼らは〜

雨宮和希さんの新作!雨宮さんの青春もの大好きなので新作楽しみにしてました!「灰原くんの強くて青春ニューゲーム」好きなんですよね…2巻以降積んでますが…すみません…今作は家に帰りたくない少年少女たちが夜の学校で居場所を見つける青春ものとして楽しく読ませていただきました!面白かったです!

まず序盤。修斗の日常が描かれます!クラスではぼっち、弱小の男バスでは浮かない程度に練習をこなし、とある事情から帰りたくない家になるべく遅く帰るように大して力も入れていない自主練を学校が閉まるギリギリまで続ける…こういう生きづらさを抱えた主人公非常に良きですね!

そんな彼に声をかけたのは女バスの二年生にして県大会ベスト4の立役者、才色兼備で男女ともに人気な月見楓先輩。彼女に連れていかれたのは修斗と同じ家に帰りづらい事情を抱えた少年少女たちが過ごす体育館倉庫。修斗はお互いの秘密を詮索しない、昼間は他人として過ごすという盟約がある同盟に加入することになります。同じ境遇の少年少女たち5人が夜の学校で誰も知らない場所に秘密基地を作って夜を過ごす…憧れのシチュエーションをギュッと詰め込んでいて「これ好き!」となりますね!

そして始まる同盟がある生活!昼間は相変わらず憂鬱な学校生活を送り、夜は体育館倉庫で同じ境遇の仲間たちとボドゲをしたり、お菓子を食べたりして過ごす…クラスのムービーメーカーの赤澤陽、ギャルたちにいいように扱われる荻野美里、男たちに媚びていると女子たちから嫌われている風宮花音…昼間はそれぞれの顔を持つ仲間たちが夜にだけ見せる本当の姿がグッドでした!

しかしそんな同盟も長くは続きません。とある問題を抱える楓先輩。しかし彼女を助けたくても同盟の盟約である秘密を詮索しないが邪魔をして…楓先輩のために一生懸命に迷い悩む週とは印象的でしたね。美里もできることをやろうとしていたのがグッド!

終盤は楓先輩を助けるために行動する修斗がすごくよかったですね!ここまでの物語で魅せてきた彼のイメージを払拭するような活躍で、雨宮さんが見せたい青春を存分に味わうことができました!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
修斗はぼっちなバスケ部員。でも家庭の事情を考えるとそうなってしまうのは仕方ないですよね…ラストで魅せた楓先輩のための行動がめちゃくちゃかっこよかったです!

楓先輩は昼間は完璧美少女で夜はぽんこつ先輩というギャップがグッドでしたね!こういう10年前はこういう先輩に憧れてました…

陽、美里、花音といった同盟のメンバーたちも魅力的でしたね!個人的には美里がお気に入りで昼間と夜のギャップが好きでした!

最後に
夜の学校を舞台にした青春ものとして楽しく読ませていただきました!これはぜひ続きが読みたいですね!続刊待ってます!

どんな人にオススメか?
高校生たちの青春ものが読みたい方は!夜の学校を舞台に秘密基地に集まる男女5人という設定に惹かれたなら楽しめること間違いなしです!主人公をはじめ魅力的なキャラたちが紡ぐ青春ものはこの作品ならでは!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

秘密の青春は夜の学校で



著者

雨宮和希



レーベル

ガガガ文庫


ISBN

978-4-09-453268-5

表紙画像のリンク先




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは零真似さんの

「サマースコール」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、山の中腹にある廃墟となりつつあるオルゴールミュージアムに立て篭もる荻原コウ。彼は時折オルゴールを動かしながら誰もいない世界で暮らしていた。そんなある日、コウの前に1人の少女が現れる。青い瞳の彼女は渡来ユキと名乗り、体がいずれ泡になって消えてしまう人魚病を患っていることを告げる。山頂に行くために家出した来たという彼女は雨が止むまでオルゴールミュージアムで雨宿りをすることに。しかしユキの病は着実に進行していて…とこんな感じです!

〜泡のように消えていくなら〜

零真似さんの新作!第18回講談社ラノベ文庫新人賞の受賞作ですね。いわゆる難病もの+青春な作品として楽しく読ませていただきました!面白かったです!

まず序盤。コウがユキと出会うところから物語は始まります!山の中腹にある廃墟になりかけの潰れたオルゴールミュージアム。そこで時折オルゴールを鳴らしながら1人で暮らすコウ。そんな彼の前に青い瞳をした人魚病を患うユキが現れて…しっとりとした、でも印象的な2人の出会いで物語に一気に引き込まれましたね。

そしてオルゴールミュージアムでの2人の生活が始まります!山頂に行きたいというユキは降り続く雨が止むのをオルゴールミュージアムで待つことに。途中、コウの自称?友人である杉原太一も現れオルゴールミュージアムでの奇跡のような日々が描かれます。青春という感じで非常に良きですね!

しかしそんな日々も長くは続きません。人魚病が悪化したユキは入院することに。コウもオルゴールミュージアムから出て学校に復学して…と特別な世界から日常へ戻っていきます。ユキの入院する病院へ通い彼女への想いを伝えるコウの姿が印象的でしたね。

人魚病の進行は止まることなくユキは日に日に弱っていき…そんな彼女に過去を乗り越えたコウが寄り添うのが印象的でした。最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
コウは最初は捻くれたぼっちだなと思ったのですが、彼の過去を知ると180度見え方が変わりましたね。優しい少年でした。

ユキは人魚病という体が泡になって消えていく奇病を患う少女。最初は元気いっぱいで天真爛漫な彼女が徐々にらしくなっていく様子を見るのは辛い反面、彼女の生がこれでもかと伝わってきました。

最後に
難病もの+青春ものとして楽しく読ませていただきました!1巻完結かと思うのでまた別作品で零真似さんの作品に出会えるのが楽しみです!

どんな人にオススメか?
しっとりとした青春ものが読みたい方は!難病ものではありますが、難病ものの嫌なところは少なめです。気になった方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

サマースコール



著者

零真似



レーベル

講談社ラノベ文庫


ISBN

978-4-06-540493-5




どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは水原涼さんの

「恋愛以外のすべての愛で」

です!
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☆感想☆

純文学の新人賞を受賞しデビューし、大きな賞の候補になるもそこから単著は出せずにいる小説家の遥。彼は幼い頃から小説を書き続けていた幼馴染のすずがいた。しかし彼女は大学で小説を学ぶもいまだにデビューできずにいた。そんなある日、すずと一緒に小説を創り新人賞に応募することになる。だがすずの体は病に蝕まれており、彼女に残された時間はわずかだった。果たして遥とすずは小説を完成させることができるのか…

水原涼さんのデビュー2作目。私小説的な側面があるのかな?と読んでいて思いました。難病もの、と一言でくくれない読者に鮮烈な印象を残す青春ものでした。面白かったです。

物語は遥の日常から始まります。小説家としてデビューするも単著を出せずにいる。書いては消してを日々繰り返し、喫茶店でバイトをしながら食い繋いでいる。短いシーンに確かなリアルを感じます。

そんな遥の幼馴染で同じく小説を書いているすず。彼女は大学で小説の書き方を学ぶもまだデビューできずにいる。そんな彼女と小説を共作し、新人賞を受賞してデビューすることを目指します。

鳥取から上京してきた遥とすずの恋愛ではない関係性、距離が近づいたり離れたりした学生時代の思い出、2人を繋ぐ本と小説執筆…幼馴染という言葉以上の特別さがどこか淡くて優しくて印象に残ります。

個人的に印象的だったのはライトノベル作家である三田村とのやりとり。単著を出せずにいる純文学作家である遥とアニメ化も決まっている人気作家の三田村。ライトノベルを中心に純文学も読む身としては2人の会話は強く印象に残っています。ライトノベル、3000冊とか読んでもなんもわからないので三田村の話していることも遥が話ていることも多分正しいです苦笑

文章もよかったですね。小説の本質は物語にあると思っていますが、文章あっての小説ですし、文章がいかに大事かがよくわかります。この作品は文章の作品だと思います。

物語は中盤以降、悲観的な色が強くなっていきます。容態がどんどん悪くなっていくすず。なんとか小説を完成させようとする遥。何かに縋るように、2人の絆が解けないように、必死で生きていく遥とすずの姿が印象的でした。

結末はこの物語にとって当然の帰結なのかもしれません。ですが難病ものと一言でくくってしまうには、泣ける物語と一言で終わらせてしまうには、あまりにも読者に残すものが多すぎる作品です。愛は恋だけではない。家族でもない、友達とも言い難い、小説が繋ぐ2人の物語を存分に楽しませていただきました。

じわりと心に残る作品です。気になった方はぜひご一読を。


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

恋愛以外のすべての愛で



著者

水原涼



レーベル

星海社FICTIONS


ISBN

978-4-06-539971-2

表紙画像のリンク先


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのはさちはら一紗さんの

「ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!」

です!
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☆感想☆

人と喋るのが得意ではない小学六年生のヤコ。そんな彼女は自分が表現できるダンスを踊り、顔を隠して動画として公開しネットで人気となっていた。そんなある日、ヤコがいつも踊っている夜の公園に1人の少年がやってくる。リヒトという少年に誘われて一緒にダンスを踊ったときにヤコは誰かと一緒に踊る楽しさに気づく。リヒトに誘われてダンスの大会に出ることになったヤコは同じクラスでバレエを習っているヒオを仲間にすることに。果たして3人はダンス大会を勝ち抜くことができるのか…

さちはら一紗さんの作品。個人的には「彼女は窓からやってくる」以来のさちはらさんの作品です。小学六年生のヤコの感情が等身大に表現されたダンスをテーマにした作品として楽しく読ませていただきました。面白かったです。

物語はヤコがリヒトと出会うところから始まります。引っ込み思案で喋るのが得意ではないヤコ。そんな彼女が唯一自分を表現できるのがダンス。有名な曲のダンスを踊っていとこのお姉ちゃんに動画をアップロードしてもらってネットの世界で人気。そんなヤコがいつも通り公園で踊っていると、リヒトという中学一年生の男の子がやってきて一緒にダンスを踊ることになります。誰かと踊ることの楽しさに気づくヤコの表情が印象的なシーンでしたね。

そしてヤコはリヒトに誘われて一緒にチームを組んでダンス大会を目指すことに!メンバーが1人足りない!ということでヤコのクラスメイトであるバレエを習っているヒオに声をかけることに。しゃべるのが得意ではないヤコが頑張ってヒオに声をかけるシーンは印象的でした!

しかしヒオは踊りでプロになることを目指しており、ヤコの誘いには簡単に頷きません。そんなヒオにヤコはダンスバトルを持ちかけます!ダンスで戦って、感情を表現して、お互いの気持ちをぶつけ合う。ダンスを披露する中でお互いのことがわかっていく過程がすごくよかったです!

そして中盤以降はダンス大会での勝利を目指して練習することに!リヒトの過去が明らかになったり、3人の結束力が徐々に強くなってチームとして強くなっていく過程が素晴らしい!リヒトのライバルであるライジも魅力的でしたね!

終盤はダンス大会の一番の盛り上がりを存分に味わうことができて、最後まで楽しくよませていただきました!児童書(YA?)ではありますが、いろんな方に読んでいただきたい作品です!もちろんダンスのことを知らなくても楽しめます!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

ダンサー!!! キセキのダンスチーム【ヨルマチ】始動!



著者

さちはら一紗



レーベル

カドカワ読書タイム


ISBN

978-4-04-684460-6

表紙画像のリンク先


どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは東堂杏子さんの

「古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象」

です!
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☆感想☆

双子の兄妹である斉藤勇魚と真魚。2人は広島と福岡でそれぞれの生活を送っていた。勇魚は友人に恋人を奪われたショックを抱えながら、真魚は叔母に叶わない恋心を抱きながら日々を過ごしていた。そんなある日、2人に20歳離れた弟が誕生する。弟の誕生をきっかけに勇魚はマンションの隣室に住む飯田さんと、真魚は幼馴染である市原と距離を近づけていく。双子が離れた場所で送る青春の行き着く先は…

第31回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞、川原礫賞受賞作。最近は賞をとってMW文庫からデビューされる方の作品は女性向けな印象が強かったですが、今作はしっとりとした青春小説でした。二十歳の感情と行動力を鮮やかに描く青春小説でした。面白かったです。

物語は失恋の傷が癒えない勇魚が漫画研究部と葉月先輩というオタク男と性行為をしようとする場面から始まります。ちょっと衝撃的な始まりですが、この後すぐに勇魚はマンションの隣室の飯田さんとセックスします。序盤は恋人を親友に取られた心の傷の深さで読者をぐさりと刺していくように勇魚が描かれます。

一方の真魚は20歳も年下の弟ができたこと、好きな人である叔母が結婚してしまうことを知りどこか荒れ気味に。真魚は勇魚と違い実家に住んでいることもあり、環境の変化を直接受けているのでそれが感情の起伏に直接つながりますね。

そして物語は勇魚と真魚の視点を交互に入れ替えながら進んでいきます。広島で隣室の飯田さんと恋をする勇魚。北九州で自分を壊していくかのように幼馴染の市原と体の関係を持つようになる。2人を繋ぐのは双子という関係性と20歳も年下の弟という存在しかない。でもどこか繋がっていて、リンクするような2人の生活に次第に飲み込まれていきます。

もちろん2人の生活には様々な問題が起こります。勇魚は飯田さんと常にうまくいくわけではなく、飯田さんのことを泣かせたり、逆に勇魚が不安になったりします。真魚も叔母への気持ちばかりではなく、塾でバイトをしたり市原と笑顔で過ごしたりもする。どうしようもない心の傷を抱えながらも、苦しみながらも、激流と緩やかな流れを繰り返しながら2人は青春を過ごしていきます。

終盤、実家に帰った勇魚と真魚の短いやりとりや、飯田さんや市原を巻き込んだ楽しい日々は印象的でしたね。鮮やかで苦しいけれど美しい。そんな青春を楽しませていただきました。青春もの好きならぜひご一読を。オススメです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象



著者

東堂杏子



レーベル

メディアワークス文庫


ISBN

978-4-04-916273-8

表紙画像のリンク先


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