カテゴリ: 青春もの

どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは来生直紀さんの

「霧桜に眠る教室で、もう一度だけ彼女に会いたい」

です!
⚠︎ネタバレあります
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、青春虚構具現症という非現実的な現象を引き起こす現象。そんな現象に立ち向かった霧宮澄御架。そんな彼女は一年前持病により亡くなってしまう。澄御架の相棒として同じ時を過ごした神波社は彼女を失った空虚感を抱えたまま高校2年生を過ごしていた。そんなある日、社は九十九里閑莉に脅迫されたことをきっかけに再び発生するようになった青春虚構具現症を解決することに。2人は澄御架のいない学校で青春虚構具現症を解決することができるのか…とこんな感じです!

〜青春に怪奇現象はつきもの⁉︎〜

来生直紀さんの新作!個人的には初挑戦の作家さんですね。青春×SF(すこしふしぎ)×ミステリといった感じで様々な要素が組み合わさった作品として楽しく読ませていただきました!
まず序盤。澄御架のいた頃が回想されます。短いシーンですが、ここでかつていた澄御架という少女について強烈な印象を植え付けてくる始まりはグッドですね!物語はそんな澄御架の相棒をしていた社と澄御架を英雄視する閑莉が青春虚構具現症を解決していくという形式で進んでいきます。突然様々な場所にワープしてしまう少女、無意識に人のものを盗んでしまう少女…最初はただの不思議な現象だったものが、なぜそれが起こるのかを突き止めていく過程はミステリっぽくていいですね!青春虚構具現症が発生した原因も、アオハルな理由からでそれがすごくいいですね!社と閑莉、社とその他の女の子とのやりとりもテンポ良くてグッド!中盤からは死んだはずの澄御架がなぜか生きていて…から始まる壮大な青春虚構具現症の解決フェーズへ。かつての社と澄御架の関係や、彼女がいた学校の様子はすごくキラキラしてましたね…だからこそ彼女がいることを望んでしまったことの重さが辛いです…澄御架の問題を解決してからのラストはこの作品でしか味わえない青春ものの良さが詰まっていました!最後まで楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
社は巻き込まれタイプの主人公ですが、ちゃんと周りを見て行動している感じがグッドですね!澄御架は本当に特別な女の子といった感じで、エネルギッシュでキラキラしていた引力の強い女の子でしたね。その他のキャラも魅力的でした!

最後に
青春ものにSFやミステリ要素を加えた盛りだくさんな作品として楽しく読ませていただきました!こういう作品は貴重なので続きが読みたいですね!

どんな人にオススメか?
青春ものに+要素があるような作品が好きな方は!学校内で発生するSF(すこしふしぎ)な青春虚構具現症や、それを解決するミステリ的な要素がグッド!気になった方は!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

霧桜に眠る教室で、もう一度だけ彼女に会いたい



著者

来生直紀



レーベル

富士見ファンタジア文庫


ISBN

978-4-04-075035-4

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは石川博品さんの

「冬にそむく」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、突如氷河期に入り冬に閉ざされた世界。神奈川県の出海町で暮らす高校生の天城幸久は同級生たちに内緒で真瀬美波と付き合っていた。高校からこの町に引っ越してきた美波と幸久は密かにデートを重ねていく。九月、十月、十一月と徐々に強まる冬に幸久と美波の関係も少しずつ変化していき…とこんな感じです!

〜冬に閉ざされた世界で〜

石川博品さんの新作!石川博品さんが新作発表されるのは「ボクは再生数、ボクは死」以来ですかね?まず言わせてください…素晴らしい。この一言に尽きると思います。冬に閉ざされた世界で紡がれる2人の物語。美波の住む広すぎる別荘と時折出歩く町やその先の世界が舞台となり、冬が伸びるたびに少しずつ変化していく2人の関係。ど真ん中の青春ものをこれでもかと味わうことができました。最高でした。
まず序盤。幸久と美波の関係が描かれます。雪が降らないような町で降り積もる雪。世界は氷河期に入りどこか絶望的な世界観を感じるのに2人の関係は瑞々しくてどこか不器用で初々しい。等身大だなと感じる2人のキャラや心の揺れ動きが心に沁みて最高です。そんな2人は誰にも知られることなくデートを重ねていきます。美波の家の前を雪かきして彼女が住む広すぎる別荘で一緒にオンライン授業を受けたり、時折町に出てみたり遠出してみたり…冬という制約がある中でお互いがお互いを繋ぎ止めるような、そんな関係がただ美しい。冬というのが(作者の意図しているところかは不明ですが)コロナを暗示していると思うんですけど、物理的な制約がある中で幸久と美波の等身大の恋を青春をこう描くんだと読めば読むほど刺さります。2人の日常には大きな起伏はないのですが、真っ白な世界で少しずつ変化していく2人の関係であったり徐々に明かされていく背景であったりが印象的でしたね。冬という外部的な制約がいつの間にか自分たちに害を及ぼす存在になっていた。冬が日常になっていく。そんな過程が印象的でした。終盤の展開であったりラストもこの作品、この2人の物語でしか味わえないような読後感でしたね。間違いなく傑作といえる作品でした。最高です。

キャラ A
幸久は本当にいいやつでなんで美波が彼のことを好きなのかよくわかります。当たり前のように人を助けたり、辛い時に側にいてくれたり…いい男の子でしたね。美波は綺麗でかわいい女の子、というだけではなくて弱いところも強いところもたくさん見せてくれましたね。こういう女の子すごく好きです。

最後に
終わらない冬という設定を生かしたこの作品でしか味わうことができない読後感を味わえる作品でした。1巻完結ですかね?石川博品さんの作品は定期的に摂取したいので新刊はずっと待ってます。

どんな人にオススメか?
青春ものが好きな方は!この作品でしか味わえない読後感を味わうことができます!冬に閉ざされた世界で2人だけの関係を築き、デートを重ねていく。まだこの作品を未読の方は僕を信じて黙ってこの作品を買ってほしいです。お願いします。年1のお願いです。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

冬にそむく



著者

石川博品



レーベル

ガガガ文庫


ISBN

978-4-09-453122-0

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは日日綴郎さんの

「あのね、じつは、はじめてなんだ。 ゆるそうでうぶな彼女との初体験まで、あと87日」

です!
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☆感想☆

ストーリー A
内容は、学校ではヤリチンと噂されモテモテな男子高校生・鏑木隼。そんな彼には実は童貞という秘密を抱えていた。そんなある日、高校入学前から片想いしていた仲村日和に軽い感じで告白するとなんとOKをもらえて付き合うことに。遊んでいると噂されている日和だが、なんと彼女は処女だった⁉︎お互い未経験であることを隠しながら付き合うことになった2人は果たしてどんな初体験を迎えるのか…とこんな感じです!

〜実は初な2人の初体験まで〜

日日綴郎さんの新作!前作がめちゃくちゃ好きだったので新作楽しみにしてました!今作は経験豊富と噂されている美男美女の主人公とヒロインが実は未経験で…という少し攻めて設定の作品でしたね。一生懸命経験があるように振る舞いながらも実は初な2人のやりとりが可愛くてずっと見ていられる素敵なカップルでした!面白かったです!
まず序盤。2人が付き合うまでが描かれます。高校デビューして陽キャグループに潜り込んだ結果、なぜかヤリチンと誤解され噂されるようになった隼。そして同じく高校デビューをきっかけにイメチェンしたことでヤリマンと言われるようになった日和。そんな2人が入試の時に出会っていてお互いに惚れていたというエピソードはめちゃくちゃ青春ですね。しかしそんなお互いの噂もあってなかなか近づけない2人。しかし隼が軽い感じで告白したところ日和からOKをもらい付き合うことに!隼の軽い感じに見える告白が実はめちゃくちゃ誠実な背景があるのすごくいいですね!日和ちゃんの内心もかわいい!甘酸っぱい!そして交際をスタートさせた2人の日常が描かれます!お互いがお互いのことを経験豊富だと勘違いして余裕そうに見える相手に内心慌てるのめちゃくちゃピュアでいいですね!普通のハプニングを「僕/私を試そうとしている…?」と誤解して頑張るところも悶えます。こいつらかわいいかよ!順調に恋人としての関係を築いていく2人ですが、日和が隼のことを拒否してしまったところから物語は本格的に動き出します。相手の気持ちを考えて不安になったりするのは鉄板なんですけど、そこに相手が経験豊富で自分が未経験…というのが不安に拍車をかけますよね。終盤では問題も発生しつつ2人らしい結末を迎えられて本当によかった!最後までめちゃくちゃ楽しく読ませていただきました!面白かったです!

キャラ A
隼くんはめちゃくちゃ優しくて真っ直ぐな男の子!高校デビューをきっかけにヤリチンとか言われてますけど本当に日和ちゃんのことが好きで大事に思っていることが伝わってきていい主人公でした!日和ちゃんはピュアでかわいい女の子!隼同様ヤリマンとか言われてますけど誰よりも隼のことを考えている女の子で健気に頑張る姿はすごく魅力的でした!そのほかのキャラも魅力的でした!

最後に
めっちゃ純粋で甘酸っぱくて青春!な作品でした!これはぜひ続きが読みたいですね!まだまだ隼と日和の関係がみたい!こういう作品めちゃくちゃ待っていたのでお願いします!お願いします!2巻!待ってます!

どんな人にオススメか?
甘酸っぱい青春ものが読みたい方は!タイトルの通り初でピュアな2人の関係がめちゃくちゃ良き!このカップル好きすぎる!久しぶりに手放しでオススメできる青春ものです!気になった方はぜひ!

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

あのね、じつは、はじめてなんだ。 ゆるそうでうぶな彼女との初体験まで、あと87日



著者

日日綴郎



レーベル

富士見ファンタジア文庫


ISBN

978-4-04-074923-5

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは四季大雅さんの

「ミリは猫の瞳のなかに住んでいる」

です!
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☆感想☆

ストーリー B
内容は、瞳を覗き込むことで過去を読み取る力を持つ大学生・紙透窈一。コロナ禍で退屈な大学生活を送る彼は猫の瞳を通じて未来視の能力を持つ柚葉美里に出会う。そんな彼女から告げられたのは未来で起こる連続殺人事件の話だった。窈一と美里は殺人事件と止めるために調査を始めるが…とこんな感じです!

〜瞳の中の記憶〜

第29回電撃小説大賞金賞受賞作!個人的には合わなかったです。以下面白いとは言わないので見たくない方はブラウザバックで。

気になった点は以下。
・ミステリにしては最後の展開があまりにも微妙
・青春ものにしては青春イベントや恋愛方面が薄い
・物語を構成する要素が多い割にどれも薄味
・登場人物が多い

まず1点め。この作品をミステリとしてみると最後の伏線回収があまりにも雑で唐突です。あれだけ本編中で一生懸命追ってきた謎の種明かしがこれか…と相当な肩透かしでした…窈一と美里が物語中でずっと追ってきた謎じゃないんですか…物語の芯じゃないんですか…
2点目。ミステリとしてはあまりにもアレだったので青春ものとしてはどうなのかというとこれもまた薄い。コロナ禍の大学生という絶好の設定があるにも関わらず制約のある青春が十分に描かれるわけでもなく、恋愛要素もかなり唐突感が強いです。コロナ禍要素は大学がリモート授業をしている程度ですし、慎重になるはずのサークルの合宿なんか平然と行われますし…これコロナ要素ないほうがいいのでは?と思う場面が多々ありました。猫の瞳を通してしか話すことのできない窈一と美里の関係はすごくいい設定なのに連続殺人事件を始めとした様々な要素に押し流されて気持ちを通わせる過程が弱いです。本当にめちゃくちゃもったいないです…
3点目。物語を構成する要素が多すぎます。連続殺人事件、過去を読み取る力・未来視といった特殊能力、天才がいる演劇部、そしてコロナ禍の青春…主役級の要素が複数ありそれぞれがお互いを殺し合っている印象が強いです。どれか一つに絞ればめちゃくちゃ面白くなりそう…という要素が詰め込まれた結果、それぞれの要素がパワーダウンしている印象が強すぎます…
最後に登場人物が多いです。名前と役割があるキャラが10人以上出てきて、その全員の魅力が発揮されずに終わっている感が強いです。作中でミステリに終始してくれるならいいんですけど、同時に青春をやろうとしているのですごく気になりました。阿望さんは本当にいいキャラだっただけにもう少しキャラを減らして出番を増やして欲しかったのが本音です…
と青春ものに終始すれば…と個人的に思わずにはいられないあまりにも惜しすぎる作品でした。

キャラ  B
前述の通りキャラが多すぎてそれぞれの魅力が十分に発揮できずに終わっている印象です。

最後に
面白くなりそうな要素がこんなにあるのに…というあまりも惜しい印象の作品でした。どれかに絞ってくれたら…

どんな人にオススメか?
個人的にはオススメしません。気になる方は試し読みした上で。

それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

ミリは猫の瞳のなかに住んでいる



著者

四季大雅



レーベル

電撃文庫


ISBN

978-4-04-914876-3

表紙の画像は「版元ドットコム」様より



どうも夏鎖です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています

さて、今回感想を書いていくのは裕夢さんの

「千歳くんはラムネ瓶のなか7」

です!
⚠︎ガチファン向けの感想ではないのでガチファンの方は読まんでください
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前巻の記事↓



☆感想☆

ストーリー A
内容は、夏休みが終わり2学期が始まる。夕湖との関係に一旦区切りをつけた千歳はこれまでとは少し違うこれまで通りの青春を楽しもうとしていた。そんな中、校外祭、体育祭、文化祭が連なる藤志高祭に向けた準備が始まる。青組の応援団に立候補した千歳たちはグループパフォーマンスを考えることに。3年生の明日風、そして1年生の紅葉と共に応援団の活動をしていくことになるが…とこんな感じです!

〜停滞と決断の9月〜

シリーズ第7弾!だいぶ読むのが遅くなりましたね…まぁこの厚さなので勘弁してください…
最初に…今回もめちゃくちゃ面白かったですし、青春ラブコメとして1巻から引き続き非の打ち所がない作品でした。ただ物語とは別のところでテンション持っていかれているので以下はテンション低めです。
まずページ数。分厚すぎ。いや別に必然性のある分厚さっていうこともわかるんですよ。でも600pもやって藤志高祭すら始まらないってどういうことなんですか…?7巻の物語の構成はこれ以上ないくらい完成されていてどれか一つのエピソードも欠落させられないのはわかります。わかるんですけどやっぱりめちゃくちゃ分厚い。文章とかページの使い方とか各キャラの視点とか…やりたいこと全部わかった上でもうちょいページ数なんとかしてくれっていうのが正直な感想です…
次に物語としての余白が全然ないです。前述の通り7巻の物語の構成としてこれ以上ないくらい完成されています。それはわかるんですけど、それについていけるのって細部まで全部全部描いて欲しいガチファンだけなんじゃないですか?僕はチラムネが好きですけど、それは年間200冊とか読むラノベの1シリーズとして好きなだけなんですよ。そういうライトな好きで読んだ時にチラムネ7巻で見せたいこと全部見せられるとお腹いっぱいすぎるんですよ。きっと聖地巡礼するようなガチファンにはいいんでしょうけど。多少想像で補う余白を作ってほしいです。僕が見つけられなかっただけであるかもしれないですけど…
最後にあとがきが長すぎるし重すぎる。ただでさえ600pも読んだあとなんですよ?ライトに頼みます…制作上、ページ数の都合があるのはわかりますけど金のブラジャーくらいのノリで書いてください(今このネタ通じるのか?)。
それでようやく物語の方ですが…最初に書いた通りめちゃくちゃ面白いです。チーム千歳に明日姉を加えながらも、停滞感を変化させるスパイスとしての紅葉。登場人物それぞれにもしっかり役目を与えた上で構成もあまりにも完成されすぎている。青春ラブコメの一つ頂点といってもいいかもしれません。でもライト層が読むには物理的にもエンタメ的にも重すぎます。もう僕がチラムネシリーズが想定している読者じゃないってだけかもですけど。

キャラ A
紅葉はめちゃくちゃよかったですね!チーム千歳の女の子ができることを全部持っている女の子でワイルドカード的存在。そんなのが後輩キャラでかわいいとか最強すぎます。個人的に好きだったのは陽。こういう女の子の敗北は何度見てもいいですね。

最後に
面白いのは間違いないですが、物理的にも物語的にも重すぎます。8巻もこんな感じだと今後このシリーズを追い続けるかどうかはちょっと考えちゃいますね…3巻の頃くらいまでが1番面白かったかもですね…


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル

千歳くんはラムネ瓶のなか7



著者

裕夢



レーベル

ガガガ文庫


ISBN

978-4-09-453085-8

表紙の画像は「版元ドットコム」様より




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